「自分を守る」ことを第一に仕事をする。それでいいじゃない【ライター/北条かや】

自分を守る




働くことの辛さややりがいについて、皆さんと一緒に考える当コラムも、もうすぐ10回目です。前回(「あなたの仕事がツラい理由」)は、そもそも「働くこと自体が私たちにとって切実な問題なんだから、辛くて当たり前かもしれない」というお話をしました。

 

働くことは「義務」だと思いすぎるからツラい

働くことって、今の日本では当たり前の「義務」だと思われています。「働かざる者食うべからず」という言葉があるように、私たちは仕事をしていないだけで、もしくは仕事をサボりたいなぁと思ってしまうだけで、なんとなく「自分はダメだ」と思ってしまいます。

 

でも、本当にそうでしょうか。

 

憲法で保障された「働く権利」

実は日本国憲法第27条には、こんなことが書いてあります。

 

「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。」

 

あれ? と思われた方、するどいです。私たちは働く「義務」と同時に、「権利」ももっているのです。「自分が納得いく働き方」を求める権利といってもいいかもしれません。

 

いまいちピンとこない方もいると思うので、少し遡って説明しましょう。

 

会社につぶされない権利

労働とは、自分の能力を、会社や社会に買ってもらうことです。自分の適性や、能力に見合うお給料をいただく。でも、セクハラやパワハラを受けた、サービス残業が当たり前、能力に見合わない仕事を押し付けられて苦痛など、働く上でツラいことは数多くあります。

 

それらの苦悩から私たち労働者を守り、適切な労働環境を実現するための考え方が「働く権利」なんです。会社や社会に、つぶされない権利といってもいいかもしれません。

 

残業時間や休日などについて定めた「労働基準法」や「労働組合法」などは、働く権利を実行に移すためにつくられた法律です。

 

義務だけで頑張っていませんか?

こうして、憲法で「働く権利」がうたわれ、それを実現するための法律もたくさんあるのに、私たちはどこかで「義務」を優先しすぎていないでしょうか。

 

「働かざる者食うべからず」の言葉に縛られ、仕事ができないと「私はダメな人間だ」と思ってしまう。仕事を休むことに強い罪悪感があったり、苦しい職場環境にあっても「我慢しなきゃ」と、耐え忍んだりしてしまう人もたくさんいると思います。

 

でも、我慢しすぎる必要はないんです。私たちには「(社会からおびやかされずに)働く権利」がある。どうかこのことを忘れないでください。

 

あなたには、納得できる働き方を求める権利がある

いちばん大事なのは、あなたが納得できる働き方を求めることです。私たちには「適切な労働環境を求める権利」がある。国が憲法で定めた権利ですから、もっと意識していいんです。少しワガママになっていいんです。

 

この大前提を忘れてしまったら、私たちはただ「働く義務を果たすために頑張るだけの存在」になってしまいます。いきいき働くどころではありません。

 

自分を守ることを大前提に仕事をする

私も以前は、自分に権利があるということを忘れてしまい、嫌な仕事でも断れないことがありました。……今もけっこうあります(苦笑)。

 

でも、それだとあまりに生きるのがツラいんですよ。それに、我慢して仕事を受けても自分がしんどい思いをするだけ、と気がついてからは、少し前向きになった気がします。自分を守ることを大前提に仕事をする。それでもいいのだと、今は思っています。(文・北条かや)

 

北条かや

北条かや

石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。
自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。
以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。
最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イーストプレス)、
他に『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、
『こじらせ女子の日常』(宝島社)。公式ブログは「コスプレで女やってますけど Powered by Ameba」(https://ameblo.jp/kaya-hojo
ツイッターは@kaya_hojo (https://twitter.com/kaya_hojo)






自分を守る