【短期集中連載・第4回】自分で自分の仕事をデザインするためには?【文筆家/岡田育】

岡田育




首から入館証を下げて同僚とランチに行ったりして、まるで何年も勤めているような顔をして大企業のオフィスに出入りすることもあります。でも所詮は契約スタッフ。一週間、一ヶ月、あるいはプロジェクトが終わるまで、机を間借りしているだけのドライな関係です。仕事の依頼も「納期がやばいんだけど明日から来られる?」「途中で辞めちゃった前任者の代わりに全部やり直して!」「あなたに頼むともっと安く作れるって本当?」といった無茶振りが多く、時には「忙しいから無理!」ときっぱり断らないといけません。

 

クリエイター向け転職サイトを眺めてみても、職歴の浅い私が応募できる求人は「急募」「短期」「パートタイム」「フリーランス」ばかり。日本のように新卒一括採用の仕組みがないため、誰もがずーっと転職活動を続けながら、いつでも辞められる働き方を維持し、少しでも条件の好い仕事で少しでも長く稼げるようにと、チャンスを窺っています。世の中には私のように「フラフラ働いている」いい年をした大人が、結構いるわけです。

 

そうやって回る小さな世界では、短期間で実績を出してサッと転職し、さまざまな仕事を経験した実績をたくさん持っているほうが有能、という価値観が生まれます。他の業界では事情が全然違うでしょうが、何十年も同じところに同じ条件で勤めている人材というのは、他の会社からヘッドハンティングされなかった、要領の悪い冴えない奴、という印象を持たれることもあるのです。

 

渡米前に思い描いていた理想の働き方は、「平日の9時から17時まで会社に勤務し、残り時間で日本語エッセイの仕事をする」というものでした。日本国内で続けてきた、そんな労働モデル以外に思い浮かばなかったんですね。でもこちらでは、毎日定時に出退勤することと福利厚生とは無関係だし、どんな雇用形態だろうとクビになるのは一瞬です。社員か否かにこだわるよりも目の前のギャラをふっかけたほうが早いな、と考えが変わるようにもなります。




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RUN-WAY編集部

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