巣材を運ぶ、穴を掘る、木に登る、走る、遠くを見る、食べ物を隠す……。たしかにリスは毎日たくさんの仕事をしている。実に忙しい。
ほら。それなら、がんばらなくちゃいけない時があるってこと、わかるよね?
そんなことはない。リスの仕事は、リスのキャパシティを超えることは決してないのだ。
リスのキャパシティ。そんなの考えたことなかったけど……。
背伸びをしても身長が伸びるのは、ほんの一瞬だけ。わかりきっていることではないか。
等身大、ってことね。なんかリスがうらやましくなってきちゃったな。
リスに憧れるのも、無理はない。リスという存在は生命の最高峰だからな。しかしながら、人間の雌はリスにはなれない。せいぜいリスをあがめよ。心の中にリスを描くだけでも精神的な充足を得ることはできるだろう。
……リスをあがめる……? 何言ってんの……? ハッ。無駄話しすぎた。さっさと仕事やらなくっちゃ! また後でね、リス。
こうしてヤマザキの残業はまだまだ続き、リスはそれを見守るのでした。
斎藤充博さんの記事一覧
イラスト
ude
twitter:https://twitter.com/tr