5年後や10年後、これからのことが見えにくくなった今、注目されているワークスタイル「パラレルキャリア」をご存じですか。
パラレルキャリアは、予測できない時代の今、必要な選択肢として考えられていて、年齢性別を問わずすでに取り入れている方が少なくありません。
とはいえ、「パラレルキャリア」に馴染みのない方としては、具体的にどのようなワークスタイルなのかはいまいちピンと来ないもの。
そこで、今回はパラレルキャリアについて詳しく解説します。副業との違いや、注目されている理由、メリットなど幅広く見ていきましょう。
今こそ注目したい「パラレルキャリア」とは?
パラレルキャリアとは、本業とは別にキャリアを築くワークスタイルの確立方法です。
一般的には、仕事は本業のみという選択をする方が多く、一部では副業で+αの収入を得ている方がいるような状況。そのような従来のスタイルとは異なるのがパラレルキャリアです。
必ずしも営利目的で別のキャリアを構築するだけではなく、ボランティアや趣味などもパラレルキャリアに該当します。
本業が終わった後や休日などの自由な時間を使い、キャリアを構築することがパラレルキャリアの最大の特徴です。
パラレルキャリアと副業の違い
パラレルキャリアは、よく副業と混同されてしまいますが、根本部分からそれぞれは考え方が異なります。
パラレルキャリアは、非営利のボランティアも該当するうえに、本業とはまったく関係のない仕事もあります。さらに、複数のキャリアを同程度の比重で持てることから「複業」といった呼び方をすることもあります。
一方、副業は、収入を増やすことが主な目的です。そのため、非営利のボランティア活動が副業に該当することはありません。また、本業で得たスキルを使って本業とは別の仕事をするケースが多い傾向にあります。
パラレルキャリアとは異なり、全体の割合の大部分は本業が占めており、副業の割合は本業よりも小さいのが特徴です。
パラレルキャリアが注目されている理由
パラレルキャリアが注目されている理由は、時代の変化に伴うものが大きいと言えます。
時代が変わり、人々の考え方や、企業の在り方などが大きく変化しました。これが、パラレルキャリアが注目されることとなった理由として挙げられます。
具体的には、以下の2点がパラレルキャリアが注目されるようになった理由として考えられるでしょう。
価値観やワークスタイルの変化
パラレルキャリアが注目されている理由の一つは、価値観やワークスタイルが変化してきていることです。
かつては、一つの会社で長く働くことが一般的でした。新卒で入社したまま数十年、もしくは定年まで勤めあげる方も多く、現代のように積極的に転職を考える方は少なくなったのです。
また、企業の制度としても、フレックスタイム制度や在宅ワークの導入など、新たな制度が生まれてきました。そのうちの一つが「パラレルキャリア」なのです。
パラレルキャリアは、社員一人ひとりの能力が向上するといった点から、企業にもメリットがあります。そのため、パラレルキャリアを推奨している企業が増えつつあります。
企業寿命の短命化
パラレルキャリアが注目されている背景には、企業寿命の短命化が挙げられます。
少子高齢社会やIT業界の躍進などにより、企業の寿命は短くなりつつあるのです。平均すると、企業寿命は30年程度と言われていて、働く従業員としては決して他人ごとではありません。
勤めている企業が寿命を迎えないうちに、次の転職先を探せるよう、さまざまな経験やノウハウを得ておきたいと考えることはもはや自然なことと言えるでしょう。
パラレルキャリアにおけるメリット
パラレルキャリアは本業とは別に活動を行うことから、なんとなく「面倒くさそう」「忙しくて大変そう」といったイメージがあるでしょう。
しかし、それでもパラレルキャリアに挑戦するメリットは大きいのが事実です。
マネジメント能力の向上
パラレルキャリアにおけるメリットとして、まず挙げられるのが「マネジメント能力の向上」です。
本業のほかに、複数の活動を行うことになるため、必然的にマルチタスクとなります。本業とパラレルキャリアの活動を通しながらタイムマネジメントも身につき、社会人としてのヒューマンスキルを向上することにつながるのです。
本業にはない経験やチャンス、人脈が得られる
パラレルキャリアは、本業にはないチャンスや人脈を得られるといったメリットがあります。
とくに、本業とは異なる分野の活動をしている場合、通常では得られなかったであろう機会に恵まれ、人生の財産となることは間違いあません。
将来的に転職する際、その経験やチャンス、人脈が活かせる場合もあるでしょう。
パラレルキャリアを始める前の注意点
パラレルキャリアを始めるにあたり、いくつか注意点があります。
貴重な時間を大切に使うためにも、以下の点を覚えておきましょう。
本業の制度や規約を確認する
パラレルキャリアを始める際には、まず本業の制度や規約をきちんと確認しておきましょう。
もし、パラレルキャリアに関する何らかの制度があれば、積極的に利用したほうが評価が高くなったり、金銭的な負担が軽減したりすることなどが期待できます。
また、逆にパラレルキャリアを既定で禁止している場合は、企業に無断で活動を始めてしまうとトラブルになる恐れがあるので注意が必要です。
本業に支障が生じないよう工夫する
仮にパラレルキャリアを実現するとしても、あくまでも「本業」があることを念頭に置いておきましょう。本業を忘れて活動に専念してしまうと、睡眠不足で勤務先に迷惑をかけたり、パフォーマンス・クオリティが低下してしまう恐れもあります。
また、忙しさから体調を崩し、本業を頻繁に欠勤するような事態も好ましくありません。
まとめ
パラレルキャリアは現代を生きるビジネスパーソンが目を向けなければならないワークスタイルの確立と言えます。
とくに、将来に対して漠然とした不安を感じている方や、現段階のスキルや経験などに疑問を感じている方にとって、パラレルキャリアは有益な選択肢となることが予想されます。
ぜひ、「このままでいいのだろうか」と悩んだときには、パラレルキャリアという道もあることを思い出し、興味のある分野で活動を始めてみてはいかがでしょうか。
粕谷麻衣
ライター・キャリアコンサルタント。「子育てと仕事を両立したい」「自分らしく働きたい」「自分の好きなことを仕事にしたい」など、今どきの働き方にフォーカスした情報を発信。取材やインタビューを通して、リアルな声を追求していくことが好き。
自身は一児の子どもを持つシングルマザー。ワーキングマザーとしての人生を楽しく謳歌中。