拒食症を克服し、現在、食に関わる仕事をしている榎本彩花さん。社会人経験ゼロ・知識ゼロでショップを立ち上げた経緯や、「キャリアがなくてよかった」と感じているという理由をお聞きしました。
ポイントは……
- 食べものは“愛”
- ネガティブでいい
- まっさらなことは武器になる
拒食症で高校を中退
私、15歳のときに拒食症になったんです。最初はかわいい服が着たくてダイエットをはじめたのですが、だんだん周りの心配=愛情と思うようになってしまって。「もっと愛してほしい」という表現のひとつとして無理なダイエットを続けてしまいました。その結果、28kgまで痩せて学校に通うことも難しくなり、高校を中退しました。
ある日、病院で点滴すらも「太るからイヤ」と駄々をこねていたら、母が「もう無理!」と泣いて暴れたんです。心身ともに限界が来ていたんでしょうね。いつも温厚で、そんな姿を一度も見たことがなかったので本当にショックで…。「母をこんな風にしてしまったのは私だ。取り返しのつかないことをしてしまった」とやっと気がつき、真剣に治療することを決めました。
食べ物の力を感じた瞬間
通院とカウンセリングで少しだけ食べられるようになったときに、友人の家で4年ぶりにお米を食べました。無農薬の玄米だったのですが、食べた瞬間に体中から湧き上がるエネルギーを感じたんです。「無農薬ってなに!」「玄米ってなに!」と、もう衝撃で。
そこから食材や食事方法について独学で勉強し、「私みたいに食べられなかった人が食べられるようになるきっかけを作りたい」と思うようになりました。