スクールソーシャルワーカーとして、青少年や保護者の悩みと日々向き合う美濃屋裕子さん。ご自身の挫折経験を糧にしながら、人が幸せになるための歩みによりそっています。お仕事をするうえで心がけていることや、これまでの道のりについて伺いました。
ポイントは……
- 周りに相談できる力を
- つまずいた経験は武器になる
- 今後は同世代の支援も
現在のお仕事内容について
現在は、公立高校のスクールソーシャルワーカーをメインに、電話で子どもたちから相談を受ける仕事もしています。
高校には週2回通っていて、保健室に行ってみたり、図書室に行ってみたり、進路指導室に行ってみたり……常に校内をうろうろしています。高校生は、何かあっても自分から大人に相談できない子が多いため、日ごろから生徒と話しやすい関係を築くようにしているんです。それ以外の時間は基本的に職員室にいて、先生たちから「あの子がちょっと心配」といった話があれば聞き、その後の生徒たちのケアにつなげています。
周りに相談できる力を
青少年支援の業界では、高校は“最後のセーフティーネット”と言われています。18歳までは、児童福祉法などいろいろな法律にも守られていますし、学校に通っていれば教員をはじめ、身近で見守ってくれる大人もいますよね。でも、高校を卒業してしまうと、自分から助けを求めないかぎり、問題を抱えていても気付いてもらいにくくなってしまいます。だから私は高校のソーシャルワーカーとして、生徒たちが安心して社会に参加できるように支援していくことを強く意識しているんです。幼稚園や保育園、小学校、中学校、高校……と生徒たちを支えてきた方々から、つながれ、託されたバトンを社会にわたす最後の仕上げのようなものだと思っています。生徒たちが自分の力で自分の人生をつかみとっていくための手伝いをできるのは、とても大きなやりがいですね。
また、相談を受けたときは必要に応じて、私以外にも支え、見守ってくれる大人をつけるようにしています。私が学校にいないときでも安心して過ごせるように、たとえば保健室の先生などにも話しておくんです。なぜかというと、大人も子どもも関係なく、一人で生きることはとても大変だから。仕事で行き詰まったときも、一人で抱え込むのと、信頼できる人に相談するのとではぜんぜん違いますよね。だから、相談する勇気を持ってもらうためにも、生徒たちとしっかりと関係を築くことを心がけています。初めから「なんとかしよう」とするのではなく、まずは一緒に楽しんだり悲しんだりすることが大切なんです。