「瞑想」と聞いて思い浮かぶのはどんなイメージですか。ヨガで行われることも多い瞑想は、一流ビジネスパーソンも日常的に行っていることが知られており、様々な効果があるとされています。
つい、仕事の後悔や未来への不安にとりつかれてしまいがちな方も、「瞑想」を取り入れれば、自分がどうするべきかが見えてくるかもしれません。ここでは瞑想についての基本的な知識と、瞑想方法を紹介します。
瞑想とは
今、Google社やFacebook社をはじめとし、世界中の企業で取り入れられている瞑想。瞑想とは、深く自分を見つめ直すことができる方法です。瞑想を行うことにより今の自身の心がどう感じているか知り、心を鎮めて、頭の中にある雑念や日常のストレスに向き合えます。
瞑想やマインドフルネス瞑想によって、普段なら素通りしてしまうようなあなたの心の中に駆け巡る雑念や感情があることに気がつきます。あなた自身に芽生えている不安やストレスを客観的に見つめなおす機会となるでしょう。
瞑想のメリットとは
瞑想を行っていると、悲観的な感情を抱かずにすむのが最大のメリットと言われています。日々、情報過多の中で過ごしている私達は、無意識のうちに物事に対して主観的に物事を見がちです。
しかし瞑想を通じて自身の感情をコントロールできるようになれば、物事をより客観的に見ることができ、悲観的になることを避けられます。
なぜ瞑想で客観的に物事を見られるの?
瞑想は、脳をリラックスさせて自分の内側と向き合えるようになるための行為です。
脳は絶えず毎日の生活で働いています。たくさん働いたら、ゆったり体を休めるように、脳にも休憩をさせてあげてください。
瞑想というと、雑念が一切ない無の状態を想像する方も多いでしょう。しかし、初めから無の状態を目指すのはむずかしいものです。最初は、思考の整理をしてみましょう。
脳を休ませることで、「明日は何しよう」「どんな服を着て出かけよう」など、とりとめのない思考が浮かび上がってくることでしょう。こういった思考を雑念と排除せず、ゆっくり向き合ってみてください。そうすることで、今の自分に必要な思いが分かってくると言われています。
瞑想で幸福感をアップできる
瞑想は、心と体に良い変化をもたらしてくれます。瞑想の効果として「幸福感」もアップできます。これは、瞑想によって得られる脳内ホルモンの1種と言われる幸せホルモン「セロトニン」の分泌によるものです。
セロトニンの分泌が促進されると、思考と感情のバランスが整い、前向きな気持ちや幸福感を感じられるようになります。ふさぎこんでいた心も開き、ささいなことで悩みにくい強い心に成長します。さらに、精神的に大きな改善をすることもできるでしょう。
日常の中のちょっとした出来事に幸せを感じられる人・物事の良い面に着目できる人。嫌な面にばかり着目してしまう人や、幸せを感じられない人。より幸福度の高い人のほうが物事をプラスに考えることができ、健康で長生きすることができるとされています。
人にとって、心のコンディションはそれほど大切なのです。
瞑想の効果を知ろう!
瞑想を行うと「今」に集中することができるようになります。そのため、いろいろな感情に振り回されることもなくなります。ここでは、そんな瞑想の効果について詳しくご紹介します。
ストレスが減少する
上記で説明したように、瞑想を行うと、頭に浮かんでくる思考を客観的に考えられるようになります。思考は取り留めのないものが多いですが、中には嫌な感情やイライラ・ストレス・人間関係もあるでしょう。
そんな雑念を手放すことができ、ストレスを抱えずに感情に振り回されなくなります。
自分に自信が持てる
瞑想をすると、ありのままの自分を受け入れることで、遠くにいる自分を、ぼーっと眺める感覚を得られることがあります。これまで自分に対して否定的であった自分自身の感情に気がつき、今の自分を見つめ直せるのです。
そして、瞑想で気持ちが沈んだりネガティブな感情になったりすることが減り、人生を前向きに歩めるようになります。
物事をポジティブに考えられる
瞑想を行うことによって、穏やかで落ち着いた気持ちになれます。なぜなら、不安な気持ちが強い方は、自律神経に乱れが生じており、交感神経が高ぶり過ぎているためです。瞑想で緊張や不安を緩和する副交感神経が優位になり、前向きな思考をサポートしてくれるのです。
一流のビジネスパーソンはどうやって瞑想をするのか
GoogleやFacebook、Intelや米ゴールドマン・サックスなど名だたる世界企業では「マインドフルネス」と呼ばれる瞑想を企業全体で推進しているそうです。イチロー選手や長谷部誠選手などのスポーツ選手も瞑想を実践していると明言していますし、ロサンゼルス・レイカーズの黄金期を築いたヘッドコーチも、練習にマインドフルネスを活用していました。
ここでは、一流のビジネスパーソンはどうやって瞑想をするのかを紹介します。
スティーブ・ジョブズとウォール街のビジネスパーソン
リーマンショック直後の2008年頃、ウォール街のエグゼクティブの間で瞑想がブームになり始めていました(タオゼン・アソシエーション代表大内雅弘氏による)。スティーブ・ジョブズが火付け役となりました。
今後リーマンショックのような事態になっても自分を見失わないため、瞑想が有効だとしたんだとか。ちなみに、ジョブズは僧侶・乙川弘文氏に師事し、本格的な禅を学んでいたとも言われています。
京セラ・第二電電創業者 稲盛和夫氏
創業者・稲盛和夫氏は、京セラが急速に発展していった40代半ばの頃、重圧に心が折れそうだったと言います。勝つか負けるかのギリギリの日々の中、稲盛氏は毎晩寝る前に深く呼吸をしながら瞑想を行っていたといいます。
「ありがとうありがとう」と声に出して唱える行為を行ってから眠っていたとのことで、正確には瞑想ではありませんが、心が穏やかになり、感謝によって自分も周囲も明るい気分になったとのことです。
稲盛氏は瞑想で、ぎすぎすしがちな自分と周囲の間に循環を作っていったのでしょう。ある意味では、柔軟性を作る心のエクササイズだったのかもしれません。
瞑想は1分でOK!気軽にやり方をマスターしよう
瞑想の効果を理解したでしょうか? ここからは、瞑想の正しいやり方を覚えていきましょう。瞑想は難しいのではないかと思う方も多いかもしれませんが、実は瞑想はわずか1分で行えてしまう「お手軽」なものなのです。
瞑想をする前に気をつけたいこと
瞑想を行う前に準備しておくといいポイントから押さえておきましょう。まずは、1分間瞑想を集中して行うために、タイマーなどをセットしておくようにしましょう。
服装は、できるだけゆったりとした服装がおすすめです。体を締め付ける服装だとリラックス効果が薄れてしまいますので、瞑想がしにくくなってしまいます。瞑想を行う時間をなるべく一定にすることで、効果を最大限に実感できます。
おすすめの時間は、朝起きたときや夜寝る前の静まり返った自室で行うと良いでしょう。もちろん、お好きなタイミングで構いません。
通勤しながらできる1分間瞑想
まずはその最も初歩的な方法として、通勤しながらできる瞑想の「1分間コース」と「10分間コース」を紹介します。
1分間コース「謙虚さを感じる瞑想」
まずは楽な姿勢で座り、手は手のひらを天井に向けて膝の上に置きます。
胸の中央部分に意識を集中させ、ひとつひとつ「ありがたいと感じていること」を思い浮かべていきます。些細なことでも、なんでもかまいません。
これを1分間だけ行います。
慣れてきたら、これを「奥さんが弁当を作ってくれることがうれしい」など、感謝するために、相手の価値を認めますよね。そうすると、自然と自分が謙虚になっていきます。
謙虚になると、周囲からの意見も素直に聞けるようになり、自身の成長はもちろん周囲との関係も円滑になっていきます。
10分間コース 調身・調息・調心で行う「マインドフルネス瞑想」
マインドフルネス瞑想は、一般的に20〜30分間かけて行うゆったりした瞑想です。「マインドフルネス瞑想」では、「呼吸の観察」を行っていきます。慣れるまでは10分程度で問題ありません。
GoogleやIntelなどが取り入れているのも、この瞑想です。
1、調身
あぐらをかくような形で、背骨がまっすぐになるよう、首や頭がスッと伸びることを感じて坐骨で座りましょう。適度に顎を引いておきます。
2、調息
ゆっくりと息を吸いながらお腹を膨らませ、ゆっくりと息を吐きながら徐々にお腹を凹ませていきます。複式呼吸で息をします。身体の隅々にまで息を巡らせるイメージです。
を持ちます。
3、調心
最後に、呼吸の吸う、吐く、に集中して心を整えます。意識を「呼吸」に集中させていきます。呼吸が浅くなったり、深くなったり、あるいはスピードが変化する様子を体全体で感じていくことで、意識を「今その瞬間」に向けていくのです。
その際に考えが意識の中に入り込んでくるかもしれません。それに気づいたらもう一度呼吸に意識を戻すようにします。どうしても気持ちが焦ってしまう方は、呼吸のリズムに合わせて数を数えるといいですよ。
10分間を通じて深く呼吸をすることで、過去のことを後悔し、未来の不安を感じないようになっていきます。過去や未来のストレスを軽減し、今に全力を尽くせるようにするのが「マンドフルネス瞑想」なのです。
癒し効果抜群!眠るヨガ「ヨガニードラ」
疲労回復やストレス軽減をしたい方は、1時間のヨガニードラがおすすめです。ヨガニードラは一般的に2つの方法があります。
ボディスキャン
体の各部に意識を集中させるヨガニードラです。うまくできるようになると、体全体が睡眠状態になっているにもかかわらず、意識と聴覚だけが目覚めているという感覚が得られるのだとか。
サンカルパ(決意)
幸福・元気・健康・価値・才能・創造力などの「なりたい自分」を表現するヨガニードラです。「私は価値のある人間です。必ず幸せになります」といった断定表現で唱えることで潜在意識に働きかけます。
マイナス思考が強い人は、意識と聴覚だけが目覚めている状態に到達できない場合も多いようです。その場合はリラクゼーション音楽やヨガアプリなどを活用してみましょう。
瞑想によって仕事をスムーズにこなせるようになろう
仕事ができない人というのは、「れば」や「もし」のような「過去」や「未来」にとらわれすぎてしまっていて、「今この瞬間」のことを冷静に見られていない人です。生活の中に瞑想を取り入れ、「今」に集中できるようにしましょう。そうすることで、自ずと今何をすべきなのか、これから何をしていくべきなのかを考えられるようになります。