あなたはSNSなどのネット上で、どれくらいの影響力がありますか。ネット上でどれくらいの影響力を持てるかによって、新しいビジネスをスタートする際にもその出来が左右されるといいます。注目されるような適切なコメントをして、影響力のある人間になるにはどうしたらいいか。そんな適切なコメントをするためのポイントについてご紹介します。
ネットの「拡散力」と「影響力」は違う
SNSを見ていると、バズっていること、すなわち多くの人に拡散されていることが、世の中の主流の意見のように錯覚してしまいがちです。しかし、現実はそうではありません。
ツイッターで10,000いいねや10,000リツイートを記録したとしても、世間に何かしらの影響を与えるということは考えられず、現実社会は淡々と流れていきます。
ただ、マスメディアが取り上げたときは異なります。ネットの情報をマスメディアが取り上げることで国民に広く知られるトレンドとなるわけです。
拡散力と影響力の違いとは?
ネットの「拡散」とは、ネットユーザーがある情報をネット上で不特定多数のユーザーに伝える行為です。
- 自分が最初に情報を発信した「1次ソース」を自分自身で拡散するケース
- 他の誰かが発信した「2次ソース」を拡散するケース
などがそれにあたります。ツイッターの「リツイート機能」などはわかりやすい例です。
それに対して、ネットにおける「影響」とは、圧倒的多数の人々に情報を伝えること、そしてそれを信じ込ませる現象です。信頼性がある情報を伝えることを日々繰り返すと、「影響力」が形成されるというわけです。
つまり、拡散力があると一つの情報に対し多数の個人が二次的情報を伝え続けてくれる(永続的に情報が拡散される)ため、最初の発言者に影響力が生まれるというわけです。
個人発信者とマスメディアはまだ力の差がある?
大手メディアの影響力には力の差があるものの、SNSやYouTube上で生まれた個人で多くのフォロワーを抱え拡散させる(バズらせる)力を持っている「インフルエンサー」の台頭は見逃せません。
個人のインフルエンサーと大手メディアとでは、積み上げた信頼度が違います。情報の信用性ではまだまだ大手メディアが圧倒的です。
しかし、個人インフルエンサーの中には100万人以上のフォロワーがいる方もおり、最近のテレビのニュース番組などを見ていると、多くのインフルエンサーが露出しています。
家庭内の会話や友達とカフェで話しているときに話題になることも多く、その影響力は大きなものと言えるでしょう。
ちなみに、メディアに取り上げられるネットの情報は、インフルエンサーだけではありません。某海外大統領のような大物政治家のSNSでの発言を大手メディアが取り上げることもありますし、国民の声(世論)を紹介するのに、ネット上に出ているコメントを取り上げる、ということも増えてきました。
そういう意味では、ネットの「影響力」も上がってきていると言えるでしょう。
ネットでのコメント力を上げることで影響力につながる
ここからは、実際に「影響力」を上げるにはどうしたらいいかについて考えてみます。ネットでは、影響力にはコメント力が欠かせないといわれています。では、そのコメント力とは何なのでしょうか。この章で、詳しく見ていきましょう。
コメント力とは?
そもそも、コメント力とはなんなのでしょうか。
ネット上だけでなくビジネスシーンでも、日常的にあらゆる機会でコメントを求められます。そのとき、相手はあなたに対して「状況をちゃんと理解しているか」「どう考えているのか」を聞きたいと考えています。ですから、的確なコメントが言えると、それが直接評価につながるチャンスなのです。
コメントによって新たなアイデアが生まれたり、いいコメントを返してくれる人は、相手に好感を持ってもらえたりと、コメント力が鍛えられると多くのメリットがあるのです。
コメント力を磨くために必要なこととは?
情報を発信する前のチェックポイントについて見ていきましょう。
- 事実関係や表記に間違いはないか
- 他の人と差別化ができているか
- その投稿は面白いか、新しい発見があるか
- この内容でだれか傷つく人はいないか
- 必要以上にだれかを持ち上げたり、貶めたりしていないか
- 反論がくるとしたらどんな反論がくるか、それにどう応えるか
- 自分が言ったことや、これから言う可能性があることと整合性がとれているか
これを実行するため、コメンテーターを例にしてみましょう。コメンテーターは、たとえ自分の専門外のトピックでも自分なりの意見を述べています。これができるのはなぜなのでしょうか。
それは、彼らが観察眼を磨き、人の話をしっかり聞くことでしっかり話の内容を理解し、自分ならどうするかという視点を持っているからなのです。
日頃から人がどんな考えを持って、どんなコメントをしているかに興味を持ち注目することで、ボキャブラリーも増えて、誰でもある程度のコメントはできるようになるでしょう。
情報はタテとヨコから考える
ここからは、実際にネットでのコメント力を鍛える方法について解説していきます。ネットのコメント力を上げることで、影響力のある発言ができるようになりますよ。
まず、情報はタテとヨコから考えるのが鉄則です。日本や世界の政治、経済の動き、社会や国土の成り立ちに関する「基本的な数字」について、大まかに把握しておきましょう。大げさかもしれませんが、経済のニュースや政治に関するニュースもこの基本的な数字が入っているかどうかで、理解度がまったく変わってきます。
これが頭に入っている状態で、情報を何かのトピックについて全体像で見るとき、情報をタテ軸とヨコ軸において考えます。縦軸は時間軸で、横軸は地理軸です。
- もし、コロナウイルスが「江戸時代」だったらどうだったのか
- もし、コロナウイルスが広まったのが「中国」ではなく「アメリカ」だったらどうか
こういった視点で考えると、偏った世論に傾きにくく、その問題を全体的な視点で見られるようになります。
ストーリーを意識する
次に意識したいのが、ストーリー(物語)です。情報をただの数字や記号として扱うのではなく、物語として扱うことで、反応がまったく変わってきます。
ストーリーを意識するとき、大事なのは世界各国に共通するストーリーの型です。
- 歴史や背景がある
- 登場人物がそれぞれの動機と目的を持っている
- 何かが起こり、その結果が影響となる
ネットでコメントをするときも、このような流れを意識しましょう。
「野菜が不足している」というテーマでコメントをするとします。そこで、
「降り続く雨の影響で野菜が不足している」
と書くより、
「八百屋にいったら野菜が高くて、いつもまるごと買える白菜が半分しか買えず、鍋の予定が八宝菜になった」
とコメントしたほうが、ずっと具体的で、感情移入しやすいですよね。
最初から情景描写や心理描写を交えながら語るのは難しいと思いますので、はじめはなるべく抽象的な表現をさけて具体的な表現を意識してください。そうするだけで、ディティールを伝えられます。
自分なりの付加価値の付け方を考えよう
付加価値とは、簡単に言えば情報発信に利用できるオリジナリティのことです。情報はただ発信すれば影響力を持つわけではなく、コメント力を高めて「この人の情報なら読みたい」と思わせなければいけません。
コメントをする上で重要なのは、人と同じことは絶対に言わないと決めることです。すでに同じようなことを言っている人がいれば、あなたの発言に付加価値は生まれません。
付加価値には、次の4つがあります。
- 情報分析ができているか
- 体験に独自性があるか
- コンテクストが整っているか
- 表現が美しいか・正しいか
これらの4つを意識しながら、あなたならどのような付加価値をつけることができるのか考えましょう。
簡単なのが、自らの体験に基づいた独自性の付加価値です。人とは違うルールや縛りを自分に課して生きることで、自然と他の人と差別化ができ、そのコメントにもオリジナリティが出てきます。
表現や分析、コンテクストは専門的に学ばないとできないところもありますから、最初はふだんからいろんな体験をすることを意識しましょう。
アイデアは移動距離に比例するといいますし、体験の独自性を得られれば、必然的にコンテクストの独自性を獲得でき、自分なりの情報発信ができるようになります。
ネットでの中傷コメントは「影響力」になる?
コメント力を考えるとき、「中傷コメント」と混在して考えてしまう人がいます。ここでは、本当に「ネットでの中傷コメントは「影響力」になるのか」を考えていきます。
ネットの中傷コメント拡散は「コメント力」ではない
ネットでは、毎日のように顔も名前も分からない人から根拠のない批判や誹謗中傷を受けることがあります。ある程度ネットで発信を続けているのであれば、思い当たる方も多いはずです。
この時注意すべきなのが、そのコメントが建設的な意見を述べているか、こちらの人格を否定するような中傷コメントなのかということです。
言い方がきつい方は、本当にコメント力があるとは言いにくいですが、しかし的を射ていることがあります。その際は誠実な対応をするべきですが、そうでない場合は基本的に無視するのが一番と言われています。
ただ、ムキになって反論してしまうこともあるでしょう。その瞬間、どちらが正しくてどちらが間違っているかを競う「権力闘争」の土台に自分も上がることになります。この相手の考えとして、「売られた「喧嘩」を買われたということは、自分の発言に力がある、つまりコメント力がある」と勘違いする方がいます。
それは、大きな間違いです。
中傷コメントはコメント力から最も遠い場所にある
根拠のない批判や誹謗中傷は、コメント力とは非常に遠いところにある「自己正当化」です。では、無視するだけでいいのでしょうか。
せっかくですから、冷静になって相手の目的がどこにあるのかを考えて自分のコメント力を上げ、ネットでの影響力を高める助けにしてしまいましょう。
会ったことも話したこともない誰かをネットで強く批判したり、誹謗中傷したりする人の行為には、どう考えても「相手を傷つける」こと以外に何か別の目的があるはずです。ネットで中傷コメントばかりする人たちの”本当の目的”を考えれば、的確な反論ができます。
相手を「むきになって言い負かす」のではなく、「しっかり論理だててネットに影響を与えつつ、コメント力高く言い負かす」ことができれば、あなたももう立派なコメント力所持者です。
まとめ
影響力と中傷コメントは似て非なるものです。確かに一時はコメント力ができたと開館をボ得るかもしれませんが、残念ながらそれはコメント力ではなく、炎上です。
ネットで影響力を持つためにコメント力を養うことは、観察眼を磨き、人の話をしっかり聞くことでしっかり話の内容を理解し、自分ならどうするかという視点を持つことです。
ネットでより影響力を持ちたいと考えているならば、ぜひたくさんの実体験をしてください。