子どもを大切にしながら、エレコムだからこそできる新しい商品を生み出し続けたい!【エレコム株式会社ヘルスケア課課長代理/岩井眞琴さん】

岩井眞琴




今回のインタビューはエレコムの中で急成長のヘルスケア分野を率いる、ヘルスケア課 課長代理の岩井眞琴さんです。大学時代は、適当に働いて結婚したらやめればいいや、と思っていたという岩井さんが、いま感じている仕事のやりがいや、大切にしていることなどについて語ってくれました。

EMSは本当に効果があるのか? が出発点

商品開発部ヘルスケア課の課長代理です。企画、デザイン、製品開発、PR戦略、商談同行、勉強会の開催など、ブランドマネージャーとして包括的に仕事をしています。

エレコムはパソコン、スマホ周辺機器の分野で、競合を分析し、低価格、デザイン力、開発スピード力で強者となってきました。それに対し、ヘルスケアは女性中心の新たな分野なので、市場調査から始め、「エレコムヘルスケア」の具体的なコンセプト、ターゲットを決めていきました。

その中で美意識の高い大人向けヘルスケアブランド「エクリア」を立ち上げ、グッドデザイン賞をいただいたコンパクトなコードレス低周波治療器や、半永久的にタンク内を抗菌するパーソナル加湿器など、後発だからこそ差別化でき、際立つ製品を展開しています。

例えば、昨年発売した家庭用EMS機器「エクリア リーン」の開発では、まず、一般的なEMSのイメージが「効果がない」と思われてきた原因を調べるところから始めました。その年の新入社員に調査をまかせた結果、彼は公開論文から仮設を引き出しました。脂肪は油のため電気を通しにくく、皮下脂肪が比較的男性よりも多い女性は、これまでの周波数帯では筋肉まで電気が届いていないのでは、と。この「気づき」があったため、すぐに製品化を検討。様々な被験者での長期試験、製品検証を行い、コードレスEMS機器としては初めて、皮下脂肪に合わせて中周波を変えられる製品を昨年7月に発売しました。

また、当時SNSでは、ただ細いだけではない「細く引き締まったカラダ」を目指す女性が、#腹筋女子というハッシュタグでブームになっていました。そこで、今までのダイエットグッズではなく、美容機器やファッションの一部になるよう「見せたくなる美しいデザイン」にしたところヒットし、Instagramにパッケージ写真や使用シーンをUPしていただいています。さらに今年6月に発売した新製品「エクリア リーンアップ」は、スマホのアプリと連携できるようにもして、お洒落に敏感な男性も使いやすいデザインにしました。

女性が活躍できる仕組みを作れば、会社も変わる!

岩井眞琴

チームには8名のメンバーがいて、全員個性と専門性があるため、それぞれの能力を活かし、問題提起し合ったりしながら、skypeを使いながらもできる限りコミュニケーションをとって、メンバー全員で製品を作っていくのがすごく楽しいです。

新規参入のため、商談に同行し、全国の店舗で勉強会を開催してエレコムのヘルスケア製品認知を上げる活動が必要ですが、そもそも製品点数が10,000以上ある中で、経験のないヘルスケア製品を、当社の営業に注力してもらう事自体、とても難しいんです。そのため、「この製品きっと売れるよ。営業頑張ってくる!」などと言ってもらえるだけでうれしいですね。

エレコムは女性向けに力を入れているように思えますが、実は、商品開発部では初めての女性課長であり、現在100名以上の役職者の中で女性は2、3名です。普段から「女子向け」という言葉を良く聞いたり、製品に黒色が無い理由を何度も説明しなければならなかったりと、違和感を覚えます。女性社員も多いエレコムですので、男性と同じように女性も昇進できる仕組みを作れたらと思っています。男女差を無くせば、自然とマーケティング力も上がります。

計画通り、結婚して仕事をやめたはずが・・・

大学の時は仕事を真剣にやるなんて思ってなくて、働いて、結婚して子ども産んでやめるストーリーを描いていました。そして実際に、金融の受付や事務として働き、結婚してやめました。真剣に仕事と向き合ったのは子どもを産んでからですね。

主婦をしながら空いている時間に、グラフィックデザインの学校に通っていました。そこで、デザイナーを募集している健康機器の会社から声がかかり、DTPデザイナーとしてパッケージや販促物のデザインをやっているうちに企画やプロダクトのデザインもやるようになりました。その後産休を経て、1年後にはヒット商品を出して取材対応しているうちに、広報も兼務するようになりました。

その会社には約11年いたので、ヘルスケアはやり尽くしたという思いがあり、新領域への興味と、自分自身35歳は最後のステップアップだと考えていたので、誕生日を迎えてすぐに転職サイトに登録。その月にエレコムからスカウトがきました。当時のイメージは、デザイン性の高い会社というイメージでした。

数年前Francfrancでダンボールの卵ケースに卵型のマウス「エッグマウス」をいれたパッケージデザインの演出に感動して、職場にパッケージのまま飾っていました。そこでエレコムを知り、面白い、デザインに自由な会社だなと思っていたので、社長とお話をしてすぐに入社を決めました。

エレコム疲れは、エレコムの製品で癒す!

岩井眞琴

入ってすぐに「何を作ってもいいよ。何やってもいい、失敗してもいい」と言われたのが、すごく印象に残っていますね。もともとエレコムはパソコンラックから始まって、パソコンの周辺機器、そしてスマートホンの周辺機器と新しいものに果敢に挑戦して大きくなってきた会社で、ちょうど次の変化の時期に差し掛かっていたので、私の入社時期がちょうどマッチしていたんだと思います。

最初の1年間は、エレコムのロゴが入ったマッサージ機が売れるのかな、とか、エレコムがヘルスケアをやる意味があるのかなとか1年間悩み続け、「エレコム疲れを癒す」という社員全員が納得するキャッチーなコンセプトを打ち出すことができました。

エレコムはパソコンやスマホ周りを便利に楽しくする製品を出していますが、IT機器は使えば使うほど疲れ、運動不足にもなりますよね。それを緩和するのがエレコムヘルスケアです。まずはUSBで充電できるコードレス低周波治療器を発売。それまでシニアイメージの強いカテゴリでしたが、実は肩こりや腰痛、足の疲れを感じているのはもっと若い世代であり、忙しいので移動中にでも治療できる製品を開発。またあえてピンクとブルーのカラーとかわいいデザインで、若い世代への需要を拡大することができました。

心が折れそうでも、ブレなければ道は拓ける!

商談同行で、バイヤー評価はすごく高かったです。ただ、社内の営業からは「なぜピンクとブルーなんだ」とか「もっとシニア向けに作るべきでは」という声がありました。でも、すでに大きすぎる競合がいる市場に同じ戦略で参入しても絶対に勝てません。既存にはない潜在市場をみつけて、そこに注力しないと勝機はないです。様々な調査とマーケティングでターゲットを決め、特化したインパクトある製品開発を行っているので、そこは貫きました。

社内で自分の意見を貫くのは、本当にすごく疲れますね。心が折れ、自信がなくなりそうになったときは、市場調査を行い、間違ってないかどうかを確認します。そしてブレずに言い続けること。女性目線だからとか、笑顔がないと「怒ってるの?」 とか女性が少ないと言われがちになるので、今では完全にロジカル思考になっています。そこはすごい成長ですね。

ヘルスケア製品は顧客とのコミュニケーションが非常に重要です。社長や役員に広告の必然性をプレゼンした結果、次の年には広報、PR担当の2名が入社。昨年EMS「エクリア リーン」発売に合わせ、ローンチイベントやPRを行い、ヒットに繋がりました。「エクリア リーン」開発から、広告戦略までの取り組みでは、社内でも高く評価され、業績功労賞も受賞しました。

アプリを介して、機器とユーザーをつなげていきたい

現在売り上げの主軸はEMSと体組成計などの体型管理関連となっています。そこで今注力しているのがアプリです。すでにローンチしている「エクリア APP」は「エクリア リーンアップ」と連携し、自分の体型に合わせてモードを自動で設定します。今後は体型管理など、エクリアブランドコンセプトである「自分のカラダは自分でコントロール」できるアプリとして育てていく予定です。よりパーソナルな需要に答えていけるように研究していきます。アプリや通信関連技術はエレコムにとっては得意分野ですので、今後はさらにヘルスケア・美容関連にも通信技術を取り入れていきます。

子どもを大切にしながら、仕事もできるカッコいいママになる!

岩井眞琴

仕事って嫌なものではなくて、楽しいものだと思います。だから、ツライことしかなければやめたらいい。特に20代は何回でもやり直しができますし、楽しい仕事、やり甲斐のある仕事は絶対にあります。それを見つけるのが20代で、成長していくのが30代、そして、40代は周りを成長させていくことが重要かと思っています。

私の場合は、26歳で子どもを産んでから本気で仕事と向き合いました。子どもを産んでから人生変わる人もいますし、20代でチャレンジして失敗しても、30歳を過ぎてからでも取り戻せると思います。

女性は複数のことを同時に考えながら行動できるので、産休のブランクがあってもキャリアは伸ばせると思います。エレコムの課長で母親は私だけなので自由にやっている面もありますが、子どもが自慢できるママになる、という自分の信念があるので、そこを一番大切にしています。

実際、子どものイベントにも積極的に参加をしていますし、学校行事は仕事を休んでいます。子どもとしっかり向き合えて、仕事もバリバリこなして、その姿を見せられるカッコいいママになりたいんです。休むことのある分、土日は仕事を持ち帰って家でやっていたりもしますけど、時間を有効的に使うこともできるので、非常に働きやすいと思っています。

プロフィール

岩井眞琴

エレコム商品開発部ヘルスケア課課長代理。結婚、出産後に11年働いた健康機器の会社から2014年、エレコムに転職。エレコムヘルスケア株式会社の立ち上げに加わり、低周波治療器「エクリア リフリー」卓上加湿器「エクリア ミスト」、マッサージ器「エクリア コロル」を次々に発売。昨年7月には初代の家庭用EMS機器「エクリア リーン」を、今年6月には、2代目となるアプリ対応EMS「エクリア リーンアップ」発売。趣味は、週に1、2回通うヨガ。「ホットヨガに変えたのでめっちゃ汗をかきます。仕事を忘れ無になれる時間です」

エレコムヘルスケア http://www2.elecom.co.jp/healthcare/




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RUN-WAY編集部

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