調理の世界からフェイシャルサロンの経営者にキャリアチェンジ
調理の専門学校を卒業後、東京で調理関係の仕事に携わっていました。やりがいはありましたが、早朝に出勤して夜中に帰ってくるような生活で……。出産を機に地元の大阪へUターンし、3年間は専業主婦として家庭に専念していました。
その後、調理の仕事や料理教室のインストラクターで社会復帰しました。あるとき美容の仕事に出会い、食生活や栄養など調理との共通点もあって没頭していきます。好きなことを見つけたら熱中しやすく、一直線に進んでいくタイプなので、新しい分野となる仕事のスタートに迷いはありませんでした。
初めは副業で組織に所属しながらスタートし、しばらくして個人事業主として独立。肌悩みに特化したフェイシャルサロンを自宅でオープンしました。常にお客様や仕事のことを考え、オン・オフの切り替えはまったくない生活でしたが、一緒に働く仲間がいたり自分がやった分だけ結果に反映したりするところは、すごく面白かったですね。本当に夢中になって取り組んでいました。
将来のキャリアへの不安と人生の転機をバネに転職を決意

フェイシャルサロンは、トータル8年ほど運営していました。しかし「美容のことばかりして、ほかのスキルを持っていない自分のままでいいのだろうか」「いつまで今と同じように働き続けられるのだろうか」と将来のキャリアに対する不安を感じるように。新しいことにチャレンジしたい気持ちはあったものの、お客様と仲間に対する責任や自分の生活もあるため、簡単には動けずにいました。
そんなときプライベートで大きな出来事があり、本当に悲しく、ショックでした。ですが、すぐに「これは新たな環境へ挑戦する、めっちゃいいチャンスだ!動くタイミングだ!」と思ったんです。不思議とポジティブに捉えられた自分に驚いたのを覚えています。
「次に進もう」と決心したその日、縁あってSNSでフォローしていた弊社代表の奥田が、ちょうど求人募集の投稿をしていました。見た瞬間に「ここで働いてみたい!」と強く思い、迷わず即応募。このときの決断も、完全に勢いでしたね。
また、奥田が発信するSNSを見る中で、目標に向かって純粋にまっすぐ進んでいく方だと感じていたことも即行動する決め手になったと思います。その姿勢や行動力の高さから「この方が率いているのは、どのような会社なのだろう」と興味を持っていました。奥田が経営していた株式会社NASHは、沖縄県の離島である西表島・石垣島・宮古島を中心にツアー業務を主軸とした事業を行う会社で、調べてみると沖縄の同業他社と比べて体制構築などがしっかりしているとわかりました。さらに住宅手当や子供手当もあり、働きやすい環境が整っていたため、応募にあたって不安はありませんでした。
未経験の観光業界で苦手なバックオフィス業務に挑戦
応募後、すぐに面接を受けました。ただ、そのときの求人が管理本部、いわゆるバックオフィスでの人材募集で。「苦手だから」と、それまでの自分が全部捨ててきた分野でした。
「本当に未経験ですが大丈夫でしょうか?」と相談したところ「やってみて無理だったら考えましょう」と前向きに捉えていただけて。自分でも「苦手分野に向き合うチャンスだ」と考え、経験がなかったバックオフィス業務への挑戦を決めました。
転職を機に大阪から石垣島へ2人の子どもたちと共に移住
実は、大阪にいた頃からシングルマザーだったんです。転職先は決まりましたが、大阪から石垣島という長距離の移住が必要でした。
私自身はいろいろな場所へ行くのが好きなので、石垣島への移住はワクワクする気持ちのほうが大きかったです。しかし、小学生の2人の子どもたちのことを考えると「石垣島の気候や生活に馴染めるだろうか」「大阪の友だちと離ればなれになって大丈夫だろうか」と心配が尽きませんでした。当の子どもたちからは「友だちとはオンラインですぐに連絡が取れるから大丈夫!」と言われ、私の心配をよそにたくましかったです。
移住後の生活に車が必須になるなど変化はありましたが「自分次第でどうにでもなる」と思い、新生活をスタートしました。
未経験の苦労を乗り越え、新たな知識の習得がモチベーションに

2024年4月に入社し、主に労務・経理を担う管理本部へ配属されましたが、未経験の業界・職種だったため、初めは何をしたらいいのかまったくわかりませんでした。
パソコン作業が苦手で、個人事業主のときは事務を外部に任せていたため、知識はほぼゼロの状態。表計算ソフトの操作方法がわからなかったり、会社の決算書の作り方を知らなかったりと、上司にはかなり助けてもらいました。ゼロから勉強が必要で自分でも知識を身につける努力はしていたものの、いろいろ教えてもらうために上司の時間を奪ってしまうことが本当に申し訳なかったです。
弊社には、もともと経験が少ない中で入社して携わっているメンバーが多く、いろいろ質問や相談をしたときも「全然気にしなくていいよ」という温かさがあります。未経験でも安心して飛び込んでいける環境があり、まわりからの丁寧なサポートに救われました。
「苦手な分野にも、しっかり向き合おう」と決めて入社したので、これまで知らなかったことを知って自分の成長になっていくところに面白さを感じています。たとえば、表計算ソフトの関数の意味がわかるだけでも嬉しくて。「もっとわかるようになりたい」「新しい知識を吸収していきたい」という探究心が仕事をするうえでのモチベーションになっています。
石垣島に来たことで仕事と家庭のバランスが取りやすくなった
大阪にいた頃は、仕事ばかりを優先していたので子どもたちと関わる時間が取れていませんでした。石垣島に移住してからは、仕事と家庭のバランスが取りやすくなったように思います。会社が完全週休2日制なので家族で出かける機会も増え、島の豊かな自然やおおらかな住民の方々と触れ合う中で子どもたちとの関係性も良くなりました。
子どもたちも大阪にいた頃より、のびのびと過ごせるようになって楽しそうです。移住前に心配していた環境の変化にも適応し、友だちもたくさん増えました。子どもたちの新たな一面や成長を見ることができて嬉しく思います。
会社のスピード感に乗って今後は業務効率化の推進も目指したい

石垣島は沖縄の離島なので、時間がゆっくり過ぎていくようなイメージを持つ方もいると思います。弊社にも短パンにビーチサンダルのラフなスタイルで出勤するという石垣島らしさがあります。
しかし、役員陣のスピード感はすさまじく、次々に物事が合理的に進んでいくんです。服装からは想像できないくらい「無駄なことはしない」という合理性に基づいた社風が当たり前です。シンプルで本質的な考え方が仕事の進め方にも反映されていて、とても面白いですし、会社の躍進力を日々感じます。
私自身、まだまだ勉強中の立場です。会社の仕組みや業務の合理的な進め方などをより深く理解し、役員陣のスピード感のレベルに近づけるよう挑戦を続けていきたいと思っています。毎日レベルアップして、会社の躍進に追いつきたいです。
これから、さらに拡大を続けていける会社です。自分も一緒に成長し、積極的に携わり、会社に貢献していきたいと考えています。新しい取り組みにも柔軟に対応できるよう、知識やスキルはどんどん身につけていきたいですね。
会社のスピード感についていきながら、AIを使った業務の仕組み化や効率化など、沖縄ではあまり取り入れられていない新しい取り組みを構築して事業の拡大へ繋げていきたいと思っています。
<プロフィール>
飯開奈津美
調理の仕事を経験後、個人事業でフェイシャルサロンをオープン。美容のプロ・経営者として活躍。2024年4月に沖縄県に本社を置く株式会社NASHに入社し、同時に石垣島へ移住。管理本部にて労務・経理などのバックオフィス業務を担当している。プライベートではシングルマザーとして小学生の子ども2人を育てる。
(2025年2月取材時点)
株式会社NASH:https://nash-holdings.com/