美容師の平均年収は296万円!地域・年齢別の年収やボーナスも解説!




誰かをきれいにしてあげることに喜びを感じられる人は、美容師に憧れるのではないでしょうか。美容師を目指す前に、気になるのが平均年収ですよね。この記事では美容師の平均年収はどのくらいなのか、詳しく解説します。

美容師の平均年収は高い?低い?

美容師は男性も女性も活躍できる職業です。技術を身につけてお客さんに喜んでもらえる美容師に憧れる人も多いでしょうが、平均年収がどのくらいか気になりませんか?いつもオシャレなファッションに身を包んでいる美容師は給料が高いのでしょうか?それとも仕事がハードな割には給料が低いのでしょうか?

美容師の平均年収

平成29年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、美容師の平均年収は約296万円ということです。このデータの平均年齢は31.2歳なのですが、男女別に見てみると男性が約317万円、女性が約284万円です。平均年収は決して高いとはいえない金額ですね。

美容師の平均月収

美容師の平均年収をご紹介しましたが、これから美容師を目指す人は、美容師が毎月いくらくらいお給料がもらえるのか気になるのではないでしょうか。男性の平均月収は25.9万円、女性の平均月収は23.2万円です。

美容師の月収はランクによっても異なります。美容師には「アシスタント」や「スタイリスト」「ディレクター」などのランクや肩書きがあります。最初はアシスタントからスタートするのですが、経験を積むことでランクが上がっていく仕組みです。スタイリストの中にもランクが設けているサロンも多いです。

ランク別の収入については後ほど解説いたしますが、アシスタントの収入はかなり低い傾向です。

美容師の平均年収は他業界と比較して高いか低いか

国税庁の「平成29年分民間給与実態統計調査結果」によると、平成29年の平均年収は432万円です。男女別では、男性が532万円、女性が287万円となっています。美容師の平均年収は296万円なので、日本の平均年収より約130万円低いということになりますね。とくに男性の平均年収が低いことが目立ちます。

ちなみに他の業種の年収と比べるとどのくらい違うのか、平成29年の業種別平均年収をご紹介します。

  • 建設業…493.9千円
  • 製造業…507.4万円
  • 卸売業、小売業…373.2万円
  • 宿泊業、飲食サービス業…252.8万円
  • 金融業・保険業…614.7万円
  • 不動産業、物品賃貸業…417.9万円
  • 電気・ガス・熱供給・水道業…746.8万円
  • 運輸、郵便業…431.7千円
  • 情報通信業…598.6万円
  • 医療、福祉…399.4万円
  • 学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業…510.1千円
  • 複合サービス事業…436.6千円
  • サービス業…347.8千円
  • 農林水産・鉱業…325.9千円

【参考】国税庁 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/minkan/index.htm

美容師の年収を他の業種と比較すると、ほとんどの業種が美容師の年収より高いことがわかります。

ちなみに同じ美容関連の職業の場合、エステティシャンの平均年収は正社員で300〜400万円、ネイリストは正社員で年収300万円程度といわれています。

美容師の年収はなぜ低い?

美容師は国家資格が必要な職業でありながら、年収は低い傾向があります。なぜ美容師の平均年収は低いのか解説していきます。

美容師は長く勤めたら自動的に年収がアップしていくわけではありません。美容師の給料は、基本給+歩合給なので、実力があって人気が高い美容師ほど収入が高くなっていきます。30代の男性でも平均月収は20〜25万円程度なので、転職してしまう人も多いそうです。そのため美容師は若手や女性の割合が高くなり、平均年収が低いといわれています。

また、最近は低料金の美容院が増え、値下げ競争が激しくなっています。客単価が下がると売上が伸びませんが、固定費は毎月発生します。経費を節約するために人件費をコストカットすることが美容師の年収の低さにも関係しているようです。

美容師の給料の仕組み

美容師の給料は固定給+歩合給が基本です。アシスタントの頃は固定給のみが一般的ですが、スタイリストになってからは固定給に歩合給がプラスされます。頑張れば頑張るほど給料アップにつながるので、モチベーションアップにもつながるでしょう。

歩合の割合はお店によって異なりますが、10〜20%程度です。また、給料が完全歩合制のお店では、歩合の割合が約30%といわれています。

美容師の年収を様々な角度から解説!

美容師の平均年収は、他の業種と比べて低いことがわかりました。しかし、美容師によって年収に大きな開きがあるようです。美容師の年収を様々な角度から見ていきましょう。

地域別の平均年収

美容師の年収は、地域によっても差が生まれているようです。やはり東京や神奈川など関東では平均年収が高い傾向です。地域別の平均年収をご紹介します。

  • 北海道・東北…306万円
  • 関東…355万円
  • 甲信越・北陸…314万円
  • 東海…328万円
  • 関西…294万円
  • 中国…316万円
  • 四国…314万円
  • 九州・沖縄…314万円

【参考】求人ボックス給料ナビ https://求人ボックス.com/美容師の年収・時給

ランク別の平均年収

先ほども触れましたが、美容師にはランクがあります。美容師になりたての頃は「アシスタント」として働きます。アシスタントの給料は、月収13〜17万円程度で、年収にすると180〜230万円です。

都心の人気店であれば給料が高そうなイメージがありますが、逆にそのような店のアシスタントの給料は低く、月収が10万円前後ということもあります。アシスタントの収入だけでは生活していけないため、アルバイトを掛け持ちする人もいるようです。

アシスタント時代は基本的に固定給で、歩合制ではありません。仕事の内容はスタイリストがおこなう施術の手伝いや雑務などです。ただし、シャンプーをしながらお客様と会話する機会がありますので、おすすめしたシャンプーやトリートメントをお客様が購入してくれたときは歩合給がつくこともあります。コミュニケーション力が高ければ、お客様の心を捉える巧みな話術が販売につながり、インセンティブで収入アップするアシスタントもいるようです。

アシスタントを経てスタイリストにランクが上がると給料も上がります。個人差もありますが、一般的には3年ほどアシスタントを経験してスタイリストになるケースが多いようです。スタイリストになりたての頃はJr.スタイリストと呼ばれることもあり、月収は18〜20万円程度に上がります。また物販による歩合給がつくことはありますが、指名料はつかない場合が多いです。仕事内容は施術のサポートに加え、簡単なカットを任されることもあります。

Jr.スタイリストを卒業してスタイリストになれば、月収は20 〜30万円に上がります。平均年収は300〜350万円くらいです。お客様にカウンセリングをおこない、施術全般が可能になります。スタイリストは歩合制なので、実力や人気によって収入に差が出てきます。また、スタイリストの中でも特別な実力と人気を兼ね備えている人は「トップスタイリスト」と呼ばれ、月収50万円以上、年収は1000万円を超えるトップスタイリストもいます。

このように美容師の年収はアシスタントの頃はかなり低いのですが、ランクが上がるにつれ、年収がアップしていきます。美容師の平均年収は高くありませんが、トップスタイリストまで上り詰めたら日本の平均年収を超えることも可能です。

男性の年齢別平均年収

平成29年の男性美容師の平均年収は317万円です。女性の平均年収よりも高い傾向です。男性美容師の年齢別平均年収はどのくらいなのか確認しておきましょう。

  • 20〜24歳…228万円
  • 25〜29歳…287万円
  • 30〜34歳…366万円
  • 35〜39歳…424万円
  • 40〜44歳…462万円
  • 45〜49歳…416万円
  • 50〜54歳…456万円
  • 55〜59歳…348万円
  • 60〜64歳…356万円

【参考】キャリアガーデン https://careergarden.jp/riyoushi/salary-29/

女性の年齢別平均年収

平成29年の女性美容師の平均年収は284万円です。女性美容師の年齢別平均年収も確認してみましょう。

  • 20〜24歳…224万円
  • 25〜29歳…277万円
  • 30〜34歳…321万円
  • 35〜39歳…351万円
  • 40〜44歳…348万円
  • 45〜49歳…328万円
  • 50〜54歳…359万円
  • 55〜59歳…323万円
  • 60〜64歳…301万円

【参考】キャリアガーデン https://careergarden.jp/riyoushi/salary-29/

美容師の福利厚生・ボーナス

美容師の福利厚生は充実していないという話を聞いたことがある人もいるでしょう。美容師の福利厚生やボーナス事情はどのようになっているのか確認しておきましょう。

美容師の福利厚生はある?ない?

福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生があります。法定福利厚生とは、「健康保険」「厚生年金」「介護保険」などです。また、法定外福利厚生とは、「交通費」「住宅手当」「家族手当」などです。

健康保険や厚生年金などの社会保険は一般的な企業であれば加入義務があります。しかし、美容院の場合、社会保険完備ではない場合があるので注意が必要です。

美容院には法人と個人経営があり、法人であれば社会保険への加入義務がありますが、個人経営は任意です。また、個人経営でも従業員が5人以上であれば加入義務があるのですが、一部の業種では加入義務がありません。美容業は加入義務がないため、個人経営の美容院では従業員が5人以上であっても社会保険を完備していない可能性があります。

健康保険や厚生年金などの社会保険は、会社が費用を半分負担しなくてはなりません。規模が小さい美容院にとっては大きな負担になってしまいます。そのため加入義務のない個人経営の美容院では、社会保険に加入していないところも多いのです。

社会保険完備でない美容院で働くと、自分で国民年金や国民健康保険に加入しなくてはなりません。社会保険の方が保障が手厚いため、求人を探すときは社会保険完備の美容室を探した方が安心です。

美容師のボーナスはどのくらい?

福利厚生が充実していない美容室が多いことをご紹介しましたが、ボーナスはどのくらいなのか気になりますね。美容師のボーナスは、かなり少ない傾向です。経験年数別の平均ボーナスは次のようになっています。

  • 1~4年目…3.8万円
  • 5~9年目…5.2万円
  • 10~14年目…6.8万円
  • 15年目以降…11.7万円

【参考】スタディサプリ進路 https://shingakunet.com/bunnya/w0029/x0382/nenshu/

ボーナスの金額を確認すると、かなり少なくて驚く人もいるでしょう。ボーナス一括払いで大きな買い物をするのは難しいと思えるほど低い金額となっています。美容師の平均年収が低いのは、ボーナスの金額が低いことも大きく影響しているといえるでしょう。

美容師になるには?

美容師の平均年収はあまり高くないことをご紹介してきましたが、美容師の年収には個人差があります。技術を高めて人気が出たら、高年収が期待できます。また、将来独立することも可能なので、夢がある職業といえるでしょう。美容師になるためにはどのようなルートをたどればよいかご紹介します。

美容師になるためのルート

美容師になるためには、美容師国家試験に合格して美容師免許を取得する必要があります。国家資格を受験するためには、厚生労働大臣指定の美容師養成学校の必要課程を修了することが条件です。厚生労働省の認可を受けていないヘアメイク得られないのに通っても受験資格を得られないので注意が必要です。

美容師養成学校は昼間課程が2年、夜間課程も2年、通信課程が3年です。入学資格は高校卒業以上となっていることがほとんどですが、中卒でも入学できないわけではありません。中卒の場合は高卒認定試験に合格することで、高校卒業以上が条件の美容学校にも入学できます。

美容師国家試験に合格したら、美容師免許を申請してください。試験に合格するだけでは美容師として働けません。美容師免許を一度取得すれば、一生有効です。

美容師になる難易度・確率

美容師を目指している人は、美容師の国家資格の内容や難易度が気になりますね。合格率はどのくらいなのでしょう?

美容師国家資格の試験は年に2回、夏と冬におこなわれます。実技試験が2月と8月、筆記試験が3月と9月です。筆記試験は50問中60%以上正解していなければ合格できません。また、「関係法規&制度」「衛生管理」「美容保険」「美容の物理&科学」「美容理論」の全ての課目で無得点がないことが合格の条件です。不得意な課目があっても無得点ということにならないよう、しっかり勉強しておく必要があります。

また、実技試験では、技術だけでなく身だしなみがチェックされています。爪が長ければ減点されてしまいますので、短くしておきましょう。持ち物も多いので、忘れないように準備しておいてください。

美容師国家試験の合格率は夏の試験が5〜6割、冬の試験が8割といわれています。夏と冬では合格率にかなり差があることが気になりますね。しかし、時期によって問題の難易度が異なるわけではありません。冬は専門学校生の受験が多いため、合格率が高い傾向があるようです。

美容師で開業するには?開業した時の年収は?

美容師の中には、独立して開業する人もいます。開業するにはどのような手続きを取ればいいのでしょう?また、開業することで年収がグンと上がるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

美容師の開業に必要な資金

開業資金の金額は、店の規模や立地条件、内装工事や外装工事の内容によって異なります。一般的には1000万〜2000万円程度は必要です。しかし、美容師の平均年収は300万円にも満たないため、将来のための貯金に回す余裕がない人も多いことでしょう。足りない費用は融資を頼ることもできますが、開業資金の30%程度は用意しておく必要があります。

開業資金の内訳は、テナントの賃料、内装工事費、設備費、広告費、運転資金などです。テナントの賃料は前賃料が1ヵ月分、保証金が賃料の6〜10ヵ月分、仲介手数料が賃料の1ヵ月分程度必要です。内装工事は坪あたり40〜50万円が目安で、椅子や鏡などの設備、薬剤などの仕入れ費用もかかります。節約するなら設備を中古にするという方法もあります。

また、新規開店の広告費やスタッフを募集する求人広告費用なども必要です。オープンと同時に経営が軌道に乗るとは限りませんので、ある程度の運転資金を用意しておかないといけません。とくに従業員を雇う場合は給料を支払わなくてはいけないため、開業時に運転資金を確保しておく必要があります。

開業する前には事業計画を立ててから資金計画を立てることが必要です。しっかりした事業計画を立てずにスタートすると失敗する可能性があります。理想通りの美容室を計画する前に現実とすり合わせなくてはいけません。しっかりした事業計画を立てることで、融資が通りやすくなる可能性もあります。

美容師の開業の手続き

美容室を開業するときは、さまざまな機関に届け出が必要です。提出時期が決められているものもありますので、必ず確認してから手続きを済ませておきましょう。

  • 保健所

工事開始前に保健所に事前相談に行きましょう。保健所から営業許可をもらうためには、さまざまな基準があります。改善要請があるかもしれないので、工事を始める前に計画図面を持って事前相談に行ってください。

保健所には「開設届」の提出が必要です。その他にも「施設の位置図」「構造、設備の平面図」「従業員名簿」「結核、皮膚疾患について記載されている医師の診断書を従業員全員分」「全員の美容師免許」など必要な書類はたくさんあります。さらに法人は「登記簿謄本」、外国人は「外国人登録証明書」も必要です。検査手数料も必要です。

届出後に検査があり、確認証の交付が済んでから開店となります。営業開始まで1週間以上の余裕を持って届けましょう。

  • 税務署

税務署には個人の場合「個人事業の開廃業届出書」、法人の場合は「法人設立届出書」を開業から1ヵ月以内に提出します。任意ですが「青色申告の承認申請書」を出しておくと税金に影響します。

  • 都道府県税事務所

開業後すみやかに「事業開始(廃止)等申告書」を提出してください。

  • 労働保険監督署

一人でも従業員を雇ったら労災保険の加入義務があります。「労働保険 保険関係成立届」「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」の提出が必要です。

  • ハローワーク

労働時間が週20時間以上で雇用期間が1か月以上の従業員を雇用した場合は、雇用保険の加入義務があります。「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。

  • 年金事務所

法人の場合は「健康保険/厚生年金保険新規適用届」「新規適用事業概況書」「健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届」「健康保険扶養者(異動)届出」「健康保険/厚生年金保険料納入告知書送付(変更)依頼書」の提出が必須です。個人事業主は任意加入となっています。

  • 消防署

火災報知器設備など、消防検査の基準を満たすための手続きが必要です。条件は規模によりますので内装設計時に消防署へ相談や確認しておくと滞りなく手続きできるでしょう。

美容師の開業のタイミング

美容師を目指す人は、いずれ独立して開業したいと考える人も多いのではないでしょうか。美容師はどのくらいキャリアを積めば開業に最適なタイミングとなるのでしょう。

独立のベストタイミングは、キャリアを8〜10年積んだ30歳頃といわれています。このくらいの年齢になると、キャリアを十分積んでいるので、十分な技術が身についています。また、独立を目標に貯金をしていた人なら、資金も貯まってくる頃でしょう。

若くして独立すれば、トレンドにも敏感で顧客が増えやすい可能性がありますが、資金が貯まっておらず、融資に頼りすぎると開業してから返済が大変になります。しかし、開業のタイミングを逃してしまい年齢が上がりすぎてから開業するのもベストタイミングとはいえません。美容師は45歳前がピークで、それ以降に開業しても成功しにくいといわれています。

開業のタイミングは早すぎても遅すぎてもよくありませんので、適切なタイミングを逃さないようにしましょう。独立して成功するには、しっかり計画を立てて、資金も準備しておくことが大切です。

開業後の平均年収

独立して開業したら、サロン勤務の頃よりも大幅に年収アップするのでしょうか。美容師になって自分の店を持つ夢を持っている人は、年収のことも気になりますよね。

独立して店が軌道に乗ってきたら、年収は300万円以上といわれています。成功して店舗を増やすほどになれば、年収1000万以上になる人もいますが、独立した美容師の8割は年収450万円以下だそうです。

独立して成功すれば年収に上限はありません。しかし、事業に失敗すれば倒産するリスクもあります。

まとめ

国家資格が必要な美容師ですが、平均年収はあまり高いとはいえません。一日中立ちっぱなしのハードな仕事の割には年収が安いため、転職を考える人もいるようです。しかし、経験を積んで技術を高め、指名が多く入る人気美容師になれば収入もアップします。トップスタイリストや、マネージャーになって役職がつくようになれば、平均年収よりはるかに高い年収も夢ではありません。

また、独立して開業し、経営がうまくいけば高い年収を実現できます。もし将来は独立したいという夢を持っているなら、夢で終わらせないようにしっかり計画を立て、開業資金を準備しておきましょう。




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  • RUN-WAY編集部

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