「懇願(こんがん)」の意味とは?
「懇願」は、「ひたすらお願いする」または「ねんごろに願う」という意味です。
「ひたすらお願いする」の「ひたすら」は、「一向」または「只管」という漢字になります。
「ひたすら」の意味は、「それのみをもっぱら行う」や「そのことのみに気を遣う」で、副詞で使うときの意味は「一途に」「一筋に」ということになります。
「ただ一つのことのみを」ということが、全ての意味に共通しています。
「ひたすらに願う」にこの意味を当てはめれば、「懇願」の「ひたすらに願う」という意味は、「とにかく願うことのみを行う」や「とにかく願うことだけに考え・気持ちを使う」ということを表現しているといえます。
また、「ねんごろに願う」の「ねんごろ」は、「懇ろ」という漢字になります。
「ねんごろ」の意味は「親身な様子」または「心がこもっている様子」であるため、「懇願」は「親身に願う」「心を込めて願う」「ねんごろに願う」という意味になります。
「親身」の意味は、「心遣いを身内のようにすること」「血縁が近い身内」ということですが、「ねんごろに願う」で使うときの意味は「心を込めて」になります。
「懇願(こんがん)」のビジネスシーンでの使い方とは?
ここでは、「懇願」のビジネスシーンでの使い方についてご紹介します。
ビジネスシーンでは多く「懇願」を使うのを止める
「懇願」の意味は「ひたすら願う」「誠意をもって願う」ということで、相手が目上の方のときでも使えます。
しかし、「懇願」をビジネスシーンで多く使うと、誠意を込めていても軽く見られることがあります。
また、誠意を持って繰り返し願われると、「重い」と思う人もいるかもしれません。
そのため、「懇願」を多く使わないで、「ひたすら誠意を持って願う」というな状況であるかを見極めて使いましょう。
「懇願」をビジネスシーンで使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「お力添えいただきますよう、懇願いたします。」
- 「重々お忙しいのは承知していますが、ご参加いただきますよう懇願いたします。」
「懇願(こんがん)」と「歎願(たんがん)」の違いは?
よく「歎願」と「懇望」の言葉は間違われるときがあるので、ここではそれぞれの言葉の違いについてご紹介します。
「懇願」は「ひたすら願う」という意味で、「ひたすら」の意味は「それのみを願う」「一途に願う」ということです。
一方、「歎願」は「詳しく事情を述べて熱心に願う」という意味で、「心を込めて願う」という意味になります。
明らかな「歎願」と「懇願」の違いは、「詳しく事情を述べて」ということです。
「歎願」では「願う」に「詳しく事情を述べる」をプラスしますが、「懇願」ではメインが「願う」ことです。
そのため、「歎願」は「詳しく事情を述べる」ことにした上に「心から願う」ことで、「懇願」は「事情を述べないで、ただ一途に願う」ことになります。
「切願(せつがん)」と「懇願(こんがん)」の違いとは?
「切願」の意味は、「心から願うこと」で、「心の底から自分が果たしたい願望や目的を願う」ということはありますが、「懇願」のように「他の人に頼み事をする」ということはありません。
「願」がいずれも使われているため同じような意味であると考えられがちですが、「自分だけで願っているか」「他の人に願い事をしているか」で全く意味は違います。
「懇願(こんがん)」の類義語とは?
ここでは、「懇願」の類義語についてご紹介します。
「歎願(たんがん)」
「歎願」の意味は、「詳しく事情を述べて、熱心に願うこと」です。
「熱心」は「心を深くあることに打ち込むこと」という意味であるため、「歎願」の意味は「詳しく事情を述べて、心を望み求めることに打ち込むこと」になります。
「哀願(あいがん)」
「哀願」の意味は、「相手の同情心に事情を述べて訴えて、ひたすら願うこと」です。
「哀れむ」に「願う」をプラスしているので、要素として「同情心に訴える」ということが含まれています。
「哀願」は「同情で聞いてもらおうとすること」、あるいは「同情するような願い方・内容」をいうときもあります。
「切願(せつがん)」
「切願」の意味は、「心から願う」ということです。
「切」の意味は「強く心に思う」、つまり「心から」です。
「切願」は心からという「切」に願うの「願」をプラスしたものであるため、「心から願う」という意味になります。
「熱願(ねつがん)」
「熱願」の意味は「熱烈に願うこと」です。
「熱烈」の意味は、「感情が高ぶったりして激しい言動であること」または「物事に熱中すること」になります。
そのため、「熱願」の意味は、「激しい感情で望み求める」ということになります。
「懇望(こんもう)」
「懇望」の意味は、「ひたすら願うこと」です。
「懇ろ」に「望む」をプラスしているため、このような意味になります。
「望む」の意味は「こうしたい」「こうなりたい」「こうなれ」というようなことで、「欲しがる」ということもあります。
簡単にいうと、「懇望」の意味は「心を込めて望むこと」になります。
「哀訴(あいそ)」
「哀訴」の意味は、「相手の同情心に訴える方法のこと」です。
「わかってもらおうとすること」「嘆いて訴えること」です。
「哀訴」の使い方としては、次のようなものなどがあります。
- 「待って欲しいと何とか哀訴しても、先はどのみちわかっている。」
- 「社長に全員で哀訴しても、彼を解雇することが決まってしまった。」
「懇願(こんがん)」の英語表現とは?
ここでは、「懇願」の英語表現についてご紹介します。
「crave」
「懇願」の英語表現としては、「crave」という英単語が挙げられます。
「crave」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「She craves to be the top seller.」(彼女は切にトップの営業成績になることを願っている。)
この例文の意味は、「craves to」に動詞の原形をプラスすることによって、「~することを切に願う」「〜することを懇願する」ということになります。
当然ですが、「crave」のすぐ後に名詞を目的語として持ってきて、「〜を切望する、懇願する」ということでも使えます。
「pray」
「懇願」の英語表現としては、「pray」という英単語が挙げられます。
「pray」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「She prayed for a transfer to the marketing department.」(彼女はマーケティング部に異動することを懇願した。)
この例文において、「pray for〜」の意味は「〜を懇願する」になります。
また、「〜に祈る」という意味の「pray to〜」の英語表現や、「〜に祈る」という意味の「pray for pardon」の英語表現もあります。