アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントの意味は、怒りを管理する方法ということです。
上手く怒りの感情と付き合うための心理トレーニングあるいは心理教育として、アンガーマネジメントはアメリカで1970年代に誕生しました。
犯罪者のための矯正プログラムなどとして初めは利用されていましたが、時代とともに、会社の研修などにも採用されるようになりました。
怒りのメカニズム
まず、ライターに例えて、どのように怒りが発生するかというメカニズムについてご紹介します。
ライターは、火花が着火スイッチを押すことによって発生し、燃料のガスに引火させます。
そして、今まで自分が大切にしてきた理想や価値観が裏切られたときに、人は怒ります。
ガスのようにマイナスの感情の不満や不安などや思いが溜まっていれば、「○○すべき」というような自分の中にあった価値観や理想が裏切られたときに、着火スイッチが入ります。
そして、怒りの炎は、マイナスの感情が溜まっているほど大きく燃え上がります。
例えば、自分が「5分前の集合が待ち合わせのときは必要である」と考えているとします。
しかし、相手が5分集合時間に遅れて来たとすればどうでしょうか?
現実と自分の考えにギャップ生じ、「遅い!」と憤るでしょう。
このように、怒りが発生するのは、強い「○○すべき」というこだわりとマイナスの状態・感情が揃うことです。
逆にいうと、怒りはいずれかを少なくするのみでも小さくすることができます。
アンガーマネジメントの意味
アンガーマネジメントは、物を壊したり、自分を責めたり、相手を怒鳴ったり、激しい攻撃性が強まる怒りの感情です。
この怒りの破壊的なことのみを見れば、怒りは良くない感情と考えて、抑え込む必要があると考えがちです。
しかし、建設的な面が怒りにはあります。
例えば、試合に負けたときに自分に対する怒りや悔しさをバネにしてトレーニングするなど、人を動かすモチベーションとしても怒りは有効に利用できます。
そのため、怒らない状態をアンガーマネジメントでは目指しません。
怒るべきシーンでは上手く怒り、怒る必要のないシーンでは怒らなくていいようにトレーニングします。
怒りを区別し、自分が感情を主体的に選べるように、アンガーマネジメントを一種のスキルとしてマスターします。
アンガーマネジメントをマスターするメリットとは?
ここでは、アンガーマネジメントをマスターするメリットについてご紹介します。
自己分析ができる
アンガーマネジメントでは、どのようなシーンで自分が怒りを感じるかを掴んでおきましょう。
例えば、完璧主義な面がある、正義感が強い、素直に思ったことを伝えたい、などです。
自分を客観的に捉える習慣が付けば、怒りのみでなくいろいろなシーンでどのように自分が振る舞う人かがわかるでしょう。
自分でいい面や良くない面などが分析できると、足りない経験や伸ばしたいスキルなどもわかります。
対人関係のストレスが少なくなる
対人関係のストレスが、怒りをコントロールすることによって少なくなります。
怒りの感情を持って発散すると、怒りのストレスに自分も晒され、ストレスを怒られる側も感じます。
怒りをアンガーマネジメントで抑えることによって、相手や自分にかかるストレスが少なくなると、対人関係も良くなるでしょう。
働きやすい風通しのいい職場環境にもなるでしょう。
さらに、パワハラも少なくなります。
思考の幅が広がる
怒りが生じるのは、現実と自分の価値観に起きたことのギャップです。
このギャップが起きないように、思い込みや価値観というような枠組みを広げます。
アンガーマネジメントの方法は多面的に事象を捉えることによって価値観を広げていくことであるため、思考の幅が広がって考え方が柔軟になります。
アンガーマネジメントのテクニックとは?
ここでは、アンガーマネジメントのテクニックについてご紹介します。
イライラすると6秒間待つ
衝動的に怒りは出現しがちですが、衝動性をコントロールすると、ストレスを無くすことができます。
怒りのピークは6秒間であるといわれています。
そのため、怒りの衝動性は6秒間を過ぎれば収まってきます。
怒りを感じて行動を6秒間以内に起すと、酷いことを相手にいう、物を壊すなど、後悔するようになります。
しかし、6秒間も怒りを感じたときに待つのは大変でしょう。
この6秒間をやり過ごすために、慣れるまでは紙に怒りの詳しいことを書き出すのがおすすめです。
また、心を落ち着かせるために深呼吸をしたり、一旦その場を離れたりするなどもいいでしょう。
「~するべき」の境界線を広げる
6秒間怒りが起きたときに待つことができるようになれば、次の段階に進みましょう。
怒りを人が感じるときには、感情面のみでなく、密接に思考面も関係しているといわれています。
というのは、多くの人は、自分の中の価値観を「~するべき」というように持っており、その考えが他の人と違っていると、怒りを感じるようになるためです。
そのため、他の人が考える「~するべき」と自分が考える「~するべき」の間には、ギャップがあることを把握することが大切です。
そして、相手の価値観に対して、考え方が自分とは違うものもあることを見つけて、100%を何もかも要求しないという考え方を持つことが必要です。
自分でできることに注力する
怒りを感じたときに、6秒間待つ、自分の「~するべき」という価値観の境界線を拡大することができるようになれば、自分の行動に気配りすることに注力することが大切です。
そのため、行動が自分でできることだけに着目して、エネルギーを行動のコントロールが自分の力でできないことについては使わないようにします。
例えば、電車が何らかのトラブルで予定時刻よりも遅れると、誰でもイライラするときもあるでしょう。
しかし、電車が予定時刻よりも遅れることは、コントロールが自分の力でできることではありません。
コントロールが自分の力でできないことについて怒りを感じても、エネルギーが無駄になります。
スムーズにこのことが理解できるようになると、怒る必要がないシーンでは怒らないことができるようになります。