誰でも活躍できる環境をつくりたい
帰国した当初は、技術的にも経験的にも自信はあったのですが、日本のメイクアップ業界の慣例に直面して少し悩んだ時期もありました。日本は卒業した専門学校からのつながりで仕事を得ていくか、一人の師匠のアシスタントとしてやっていくか、どちらかがほとんどなんです。
でも、どちらの道を選んでも独り立ちするまでの道のりが長い。人生で一番動ける時期に、人にくっついて仕事をする期間が長いのはもったいないと思うんですよね。私は葛藤の末にフリーでやっていくことに決めましたが、今後は私みたいに海外から帰国した子が活躍できる環境が作れたらなと思っています。
それに、アメリカではアシスタントも名前を入れてもらえるけれど、日本では一切出ません。名前が出ることで仕事をもらえるようになったりするので、アシスタントの名前も入れてあげられるようにしていきたいですね。
便利な道具で、衛生面でもキレイな業界に
アメリカと日本のメイクアップ業界を両方知って驚いたことは、アメリカは衛生面、サニテーションをすごく重視していること。ファンデーションを手で塗るとか、消毒してないブラシを使うとか、リップグロスをそのまま直塗りするとかは絶対にNGなんです。
だから日本でも衛生面を強化していきたいと思ったんですが、アメリカで使っていた使い捨てのブラシとかパレットとか、キレイな環境を作るための便利で、そして可愛い道具が日本にはなかったんです。日本にいてもそういうものを気軽にそろえられるようにしたいと思って、セレクトショップの会社を立ち上げました。
お店は完全予約制で1対1で接客しています。モデルさんや芸能人の方も来店されるのでプライベート感は維持しつつも、いずれは自由に出入りできるだけのスペースも作れるように会社を成長させていきたいと思っています。