9月に新著、「『やばいこと』を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション」(毎日新聞出版)を出したばかりの西澤真理子さん。リスクコミュニケーションのプロとして、国内にとどまらず世界で活躍しています。
新卒で就職した銀行での“いじわる”からスタートしたキャリアでしたが、そこからどうやって成長し、キャリアを積み上げてきたのか、インタビューしてきました。
確実に絶対安全なものはない
科学技術のリスクについてわかりやすく一般に伝える仕事をしています。と言ってもわからないですよね(笑)
私たちの生活はパソコンもエアコンも、すべて科学技術に頼っているんですが、素晴らしいだけではなくて地球温暖化とか事故とか、ネガティブな要素もあって。新幹線も車も、確実に絶対安全というものはない。
そういう、ひょっとしたら起こるかもしれないというリスク、ネガティブなサイドについても誠実に伝える仕事をしています。企業のコンサルですね。福島の原発事故後の住民参加の意見交換会や、国連のIAEA(国際原子力機関)で原子力に対するコミュニケーションのガイドラインづくりにも携わってきました。
センシティブな話を共有する場と空気のつくり方
先月出版した、「『やばいこと』を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション」(毎日新聞出版)という本も、そういう経験から書いたものです。
対話ってこうやって話をしているようになんとなくできそうなんですけど、集団になった時、さらにテーマがセンシティブになった時ってすごく難しいんです。第三者としてプロが入ることで少しクールダウンさせて……という、センシティブな話を共有する場と空気のつくりかたを、第4章でも書いています。
科学技術は常にリスクがあるから、トラブルはあるんですよ。でも日本の企業はその時の対応がうまくない。いいものを作っているのに、その反面伝えかたが得意ではないんですよね。