「ボトムアップ」の意味とは
「ボトムアップ」は、英語表現では「bottom up」になります。
「bottom」の意味は「底」ということで、「up」の意味は「上がる」ということであるため、「bottom up」の意味としては「下から上げる」「底上げする」というようなことになるでしょう。
会社の組織でいうと、従来は「トップダウン」という経営層から社員に仕事を指示するようなものが多くありましたが、最近は「ボトムアップ」という組織に属している社員から現状の改善に対する提案や意見が経営層に上げられて、スムーズに仕事を行うようなものが多くなっています。
また、最近は、会社の古い経営スタイルが嫌がられており、社員が自立したビジネスパーソンとして仕事ができる環境を作るために気配りする会社も多くなっています。
「ボトムアップ」の使い方とは?
「ボトムアップ」は、設計や会社など、いろいろなシーンで使われています。
しかし、具体的な「ボトムアップ」の内容は使われるシーンによって違っています。
ここでは、「ボトムアップ」の使い方についてご紹介します。
システム設計における「ボトムアップ」
システム設計における「ボトムアップ」は、構成する個々の要素からまず着手して、それぞれの要素の詳しい設計を決めてからこの要素を組み合わせて大きなものを作って、全体のシステムを最終的に作り上げるというものです。
そのため、システム設計における「ボトムアップ」というのは、部分からちょっとずつ全体へ大きくしていく方法になります。
会社や組織における「ボトムアップ」
会社や組織における「ボトムアップ」は、上層部に現場の社員の意見を提案し、これを受け入れた上層部が了承するというような流れで意思を決定することです。
そのため、会社や組織における「ボトムアップ」は、仕事が下から上に上がることによって進むことで、最終的に決定するために見極める材料として、積極的に現場の意見を吸収しながら意思を決定するときの方法です。
「ボトムアップ」のメリット・デメリットとは?
ここでは、「ボトムアップ」のメリット・デメリットについてご紹介します。
「ボトムアップ」のメリット
ここでは、「ボトムアップ」のメリットについてご紹介します。
現場の意見がよく反映できる
仕事の現場の意見を実際にまとめて経営層に上げるので、改善すべきことや問題になっていることに迅速に対応することができます。
また、なかなか一人では経営層に意見がいえなくても、現場の人同士であれば意見をいいやすいこともあるでしょう。
普段このような社員が思っていることを把握しやすいことも一つのメリットです。
社員が積極的に行動する
現場の意見が経営層に上がることがわかると、「このようなことはできないだろうか」「このような要望も出してみよう」などというような積極的な意見がよく出るようになります。
このような現場で毎日仕事をしていれば、社員のモチベーションがアップするのみでなく、社員が積極的に行動するようになってきます。
「ボトムアップ」のデメリット
ここでは、「ボトムアップ」のデメリットについてご紹介します。
意思を決定するために時間がかかる
現場の意見をまとめることが、意思を決定する前には必要になります。
この後、経営層に話を上げるので、意思を決定するために時間がかかることが非常にデメリットであるといえます。
現場をまとめるために優れた人材が必要である
経営層に話を上げるためには、現場で仕事をする非常に多くの社員の意見をまとめる必要があります。
そのため、現場の一人ひとりの社員の意見をまとめるために優れた人材が必要になります。
このような人材がいない現場では、上手く「ボトムアップ」はいきません。
会社の意思を決定するときは「トップダウン」のみでも「ボトムアップ」のみでも上手くいかない
物事を決定するときは、アイデアや意見を持ち寄って打ち合わせする方法がありますが、打ち合わせするときは「いろいろしなくては」とよくなるため、物事がなかなか決定しないようになります。
そのため、「ボトムアップ」のみで進めれば、大きな投資や新しい取り組みを行うようなプロジェクトのときは、意思を決定することが困難になります。
打ち合わせをしているうちに、アイデアや意見が平凡なものになるのはよくあるケースです。
では、「ボトムアップ」ではなく「トップダウン」ではどうでしょうか?
「トップダウン」というのは、会社の経営などで、会社の経営層が意思を決定して、その実行を社員に指示するような方式です。
現場の社員の方が、意思を決定するための材料になる情報は多く持っているでしょう。
そのため、現場の社員の情報を抜いて決定すれば、的外れなものになるときがよくあります。
「ボトムアップ」のみでは強さが不足し、一方、「トップダウン」のみで決定した戦略や計画がいいものとは必ずしも限りません。
そのため、会社の意思を決定するときは「トップダウン」のみでも「ボトムアップ」のみでも上手くいかないでしょう。
企業成長力があるのは「ボトムアップ」と「トップダウン」のどちらか?
企業成長力という観点では、ベンチャー企業や中小企業においては「トップダウン」の爆発的な成長力やスピードは驚くべきものがあります。
意志を早く決定してマーケットで一気にシェアを拡大するのは、大手企業のように何千人、何万人の社員がいるところではできないスピード感です。
特に、起業した直後のベンチャー企業では、意思を「トップダウン」で決定することが必要であるといえるでしょう。
しかし、ベンチャー企業でも、「トップダウン」に適さないケースがあります。
「トップダウン」に適さないケースとしては、次のようなものがあります。
高い専門性が有るサービスや業界
一般的に、「トップダウン」は単一サービス、単一商品のような業界が適しているといわれています。
「トップダウン」タイプの企業の多くは、マニュアル化したシステムを整備し、全国を一気に制覇するというような店舗展開を行っています。
一方、「ボトムアップ」は、高い専門性があり、複雑な調整や判断が現場で多い業界は適しているといわれています。
というのは、全ての専門性を経営層が理解して、意思を最善に決定することができないためです。
多くの事業がある
多く事業がある、あるいは大きな企業規模になって、同時にいくつかの事業が動き出すときは、「トップダウン」は難しくなります。
というのは、経営層が意思を決定するために全ての事業を把握するのは限界があるためです。
そのため、多くの事業があるときは、「ボトムアップ」が適しているといえるでしょう。