こんにちは、北条かやです。前回は、2003年に出た『13歳のハローワーク』をきっかけに、そもそも「好きなこと」を仕事にしよう!という考え方自体が新しいものであることをお話ししました。
「仕事にしたいほど好きなことがない」
確かに、ツラい仕事を我慢してやり続けるより、好きなことを仕事にしたほうが人生豊かになるような気がします。そうやってキラキラしている人はいっぱいいます。でも、世の中には「仕事にしたいほど好きなことがない」とか、「好きなことを仕事にしても稼げない不安がある」とか、色んなタイプの人がいますよね。
漫画家のさくらももこさんが以前、エッセイでこんなことを書いていました。それまで一生懸命、〆切に追われて漫画を書いていたのが、産休に入って何にもしなくてよくなったとき、仕事中は時間がなくてできなかった細かな手芸やイラスト描きなどをやってみたそうです。そしたら、しみじみと楽しかったと。
仕事にしたらツラいことがいっぱいある
自分は絵を描くのが大好きだったから仕事にしたけど、仕事にしたらしたでツラいことがいっぱいある。それが、〆切など関係なしに自由に絵を描いていいとなってみた途端に、「こんなに好きだったんだ」と原点に帰ったような気持ちになったそうです。
売れっ子漫画家だからこその発言だとも思いますが、ここからいえるのは、「好きなことを仕事にしてある程度成功すると、必ず『好き』だけでは処理できなくなる」ということです。次々とやってくる〆切、売れ続けることの不安、ややこしい人間関係……ぜんぶ、「好きなことを仕事にしたから平気!」というわけにはいきません。