「扶養手当」とは?
「扶養手当」とは、子供や家族がいる社員に支払われるもので、家族手当ともいわれています。
就業規則で企業が決めて支払うもので、企業によって金額は違っています。
企業が必ず社員に支払う必要があると決まっているものではないため、支払わないような中小企業なども結構多くあります。
「扶養手当」が支払われる条件としては、税法上の扶養配偶者になる年収が103万円以下などの家族にしているときが多くあります。
また、社会保険の扶養になる130万円以下の年収にしているときもあります。
配偶者の年収が103万円あるいは130万円をオーバーするときは、「扶養手当」が配偶者は支払われません。
「扶養手当」は、返金を要求されるときがあります。
例えば、「扶養手当」がすでに支払われてから、103万円を扶養家族の所得がオーバーしていることがわかったときは返金を要求されます。
所得が扶養家族にあるときは、「扶養手当」の規定を前もってチェックしておきましょう。
「扶養手当」の内容とは?
「扶養手当」が生まれたのは、労働力を高度成長期に確保するためです。
当時は終身雇用が当然であったため、会社側が家族がいる社員を経済的にサポートして心配なく仕事をしてもらうとメリットが会社側にもありました。
具体的な「扶養手当」の内容は、会社によって違っています。
全ての扶養家族が対象になるときもあったり、一定の年齢になる前の子供のみが対象になったりするときもあります。
「扶養控除」と「扶養手当」の違いとは?
「扶養控除」と「扶養手当」は、いずれも扶養についてのものですが、正しく内容まで把握している方はそれほど多くいないのではないでしょうか。
ここでは、「扶養控除」と「扶養手当」の違いについてご紹介します。
「扶養控除」と「扶養手当」は、それぞれのルールを決めているところが違っています。
「扶養控除」は国が決めており、「扶養手当」はそれぞれの会社が決めています。
「扶養控除」は、所得税を納めるときに所得から控除されるもので、お金を支給されるものではありません。
なお、控除というのは、一定の金額をある金額から差し引くことです。
一方、「扶養手当」は、給料と一緒に会社から支給されるお金です。
「扶養控除」と「扶養手当」について詳しくご紹介します。
「扶養控除」
「扶養控除」は、所得税を納めるときに、16歳以上の扶養親族がいるかどうかによって控除されるものです。
なお、民法の規定に対象になる親族の範囲は従うため、「扶養控除」の対象は16歳以上の3親等内の姻族および6親等内の血族になります。
法律で「扶養控除」は決められているので、会社によって違うことはありません。
「扶養控除」の控除額は次のようになっています。
- 16歳以上は38万円
- 19歳以上23歳未満は63万円
- 23歳以上70歳未満は38万円
- 70歳以上は48万円
なお、老親と同居している70歳以上であれば、所得税を納めるときに所得から58万円が控除されます。
「扶養手当」
「扶養手当」は、会社の就業規則に決められて支給されるため、特にどの程度支給する必要があるというような決まりがなく、金額は会社によって違っており、支給しない中小企業なども多くあります。
会社の就業規則によって支給する対象は決めるため、18歳までが対象になったり、22歳までが対象になったりします。
「扶養手当」が支給される対象になる人の所得についても、103万円以下の所得税の扶養控除範囲であったり、130万円以下の社会保険の扶養範囲であったりすることもあります。
会社が決めて支給するため、どのように決めるかは会社によって違っています。
つまり、「扶養控除」は税金を納める金額が少なくなるもので、「扶養手当」は支給されるものです。
「扶養手当」を受ける条件とは?
ここでは、「扶養手当」を受ける条件についてご紹介します。
「扶養手当」を支給することを決めていない会社もあり、「扶養手当」を受ける条件は会社によって違っています。
しかし、「扶養手当」を受ける条件としては、最低限被扶養者であることが間違いなく必要でしょう。
また、「扶養手当」が支給される被扶養者は条件があるときもあります。
例えば、被扶養者としては、国家公務員であれば、配偶者(内縁関係を含む)、満22歳未満の孫や子供・兄弟姉妹、重度心身障がい者、満60歳以上の祖父母・父母になります。
公務員であれば、所属している自治体、団体によって条件が違うことがあるため、先にご紹介した条件以外にもあります。
では、共稼ぎのときは、「扶養手当」を受けられる条件はクリヤーするのでしょうか?
会社によって条件は違っていますが、間違いなく言えることは、別の会社に夫婦がそれぞれ勤めており、その2つの会社とも「扶養手当」を支給していたときは、いずれか片方からしか「扶養手当」を受けられません。
扶養のスタイルとしては、ほとんど女性を男性が扶養するときが多くあります。
しかし、法律で決まっているということではないため、「扶養手当」の支給額が大きい方の扶養に入るのがいいでしょう。
場合によっては、女性の扶養に男性が入ることもいいでしょう。
なお、共稼ぎのときは、多く収入がある方の扶養に入ると節税になります。
例えば、先にご紹介した「扶養控除」を受けられるときは、所得税が少なくなります。
「扶養控除」の制度は、税率が差し引かれるものです。
しかし、高額な「扶養手当」が支給される会社に勤めているときは、「扶養控除」よりも「扶養手当」の方がお得に感じるときもあるため、しっかりと「扶養控除」と「扶養手当」の内容をチェックして、シミュレーションしていずれがお得なのか見極めしておきましょう。
いろいろな手当が他にもある
ここでは、「扶養手当」についてご紹介しましたが、いろいろな手当が他にもあります。
「扶養手当」以外には、「家族手当」がよく挙げられます。
「家族手当」は、子供や配偶者がいるときに支給されるものであり、会社の一つの福利厚生として挙げられます。
生活費は、やはり扶養家族がいるかどうかによって違ってくるでしょう。
そのため、生活費をできる限り軽くしようとオリジナルに会社が決めている手当になっています。
「家族手当」は公的なものではないため、会社によって「扶養手当」はあるが「家族手当」はない、あるいはいずれもないときもあります。
「家族手当」も「扶養手当」もオリジナルに会社が決める福利厚生であるため、はっきりした決まりはありません。
例えば、名称が違うのみで、ある会社の「家族手当」が別の会社の「扶養手当」と同じようなものであることも多くあります。