四字熟語の「玉石混交」という言葉は、ときおり会話などでも聞くことがあるかもしれません。
しかし、同じような紛らわしい言葉もあるため、どれが正しいのかと悩むときがあるでしょう。
ここでは、「玉石混交」の意味と使い方についてご紹介します。
「玉石混交」の意味とは?
「玉石混交」の意味は、悪いものと良いものが混じっていることで、劣ったものと優れたものが一緒になっていることです。
「玉石混交」は、状況的に性質が全く逆のものが混じっているという意味合いが強いものです。
「玉石混交」の由来とは?
基本的に、「玉石混交」は中国の古典に由来します。
中国の古代の晋の時代に、『抱朴子』という道教の教えを説いた書物がありました。
この中の「尚博」という外編の一編に、「眞僞顚倒し、玉石混淆す」という一節が著者の言葉として出てきます。
この言葉の意味は、「偽りと真実が逆になって、ただの石ころと宝石がごちゃ混ぜになっているのと同じである」ということです。
この書物は、文明の進歩や日常道徳などを儒学思想に基づいて論じており、「玉石混交」も「価値がないものと価値があるものは入り交じっている」という現実を表現し、真偽や善悪を判断する眼力の大切さを説いたものです。
「玉石混淆」とも「玉石混交」は記載する
「玉砕混交」は、読み方が同じで「玉石混淆」と記載するときもあります。
いずれも意味は同じになりますが、現在は文字の読みやすさや書きやすさ、あるいは言葉の意味が想像できる「交」を使用するときが多いといわれています。
「玉石混同」と「玉石混合」は間違っている
相対的な「玉石混交」の意味合いから、「玉石混同」あるいは「玉石混合」と記載することがあるでしょう。
しかし、このような記載方法は2つとも間違っているので、「玉石混交」を手紙やメールで記載するときは注意する必要があります。
ビジネスシーンにおける「玉石混交」の使い方とは?
ここでは、ビジネスシーンにおける「玉石混交」の使い方についてご紹介します。
言葉のトゲに「玉石混交」を使う時は注意する
「玉石混交」の意味は、「良」である優れたものや良いものなどと、「不」である価値が無いものや悪いものなどが混じることです。
そのため、ビジネスシーンにおいては、「不」の方に取引先が取り扱っているサービスや商品、あるいはスタッフや従業員が立たないように気配りする必要があります。
ビジネスシーンにおいては、「判断」や「批判」の声が言葉の端々から伝わることあるので、口をうっかり滑らせてしまって、不快な感情を取引先に与えないように注意しましょう。
ビジネスシーンにおける「玉石混交」の例文
ここでは、ビジネスシーンにおける「玉石混交」を使った例文についてご紹介します。
マーケットに溢れている製品は玉石混交です。
日本国内において規模が最大クラスの会社であるが、人材は「玉石混交」でしょう。
会社や担当者の方針によって、サービス内容は「玉石混交」と言えます。
上長は「玉石混交」の部下の報告書を確認して悩みました。
ネットの情報は「玉石混交」です。
「玉石混淆」の正しい使い方とは?
ここでは、「玉石混淆」の正しい使い方についてご紹介します。
他の人に対して「玉石混淆」を使うときは注意する
「玉石混淆」を他の人に対して使うときは、失礼になるときがあるので注意しましょう。
「玉石混淆」の意味は「悪いもの」と「良いもの」が混じっていることであるため、使うと「悪いものもある」と相手に伝えるようになります。
特にビジネスシーンにおいては、目上や取引先の方に使えば「失礼である」と見られるときがあるので、注意しましょう。
「玉石混交」は常用漢字を使う
「玉石混交」は、「玉石混淆」とも表記します。
読み方や意味は「玉石混交」と同じで、「悪いものと良いものが混じっていること」を表します。
漢字の4つめの「交」と「淆」の違いは、常用漢字かどうかです。
「淆」は常用漢字と違うので、「交」の常用漢字が代わりに使われます。
いずれを使って間違いではありませんが、新聞や公文書などのときは常用漢字が使われます。
「玉石混合」は間違いである
「玉石混合」は、同じような言葉の音であるため、間違いとしてよくあるものです。
「混」という同じ漢字が使われていますが、「混合」の意味としては「混ざり合うこと」だけでなく、「性質が違ったものを混ぜて均一にすること」というものが含まれています。
「混交」は「入り混じっていること」を単純に表しているので、「玉石混合」と間違わないように注意しましょう。
「珠玉混合」は意味が違う
形が「珠玉混合」は似ていますが、「玉石混交」とは使い方や意味が違っています。
「珠玉混合」は、「玉石混交」と「宝石や真珠」の意味である「珠玉」が混じって作られたものといわれています。
「玉石」の意味は「悪いものと良いものが混じること」ですが、「珠玉」の意味は「宝石と真珠」を表しているため2つとも「良いもの」です。
「玉石混合」や「珠玉混合」のように、形や読み方が同じような言葉があるので注意しましょう。
「玉石混交」の類義語とは?
「玉石混交」の類義語としては、次のようなものがあります。
「玉石同架」
価値がないものと価値があるものが混じっていること
「玉石雑糅」
価値がないものと価値があるものが混じっていること
「牛驥同皁」
同じ待遇を愚かな人と賢い人が受けること
「玉石同匱」
価値がないものと価値があるものが同じ取り扱いになること
「玉石同架」と「玉石雑糅」は、意味が「玉石混交」と全く同じです。
しかし、「牛驥同皁」と「玉石同匱」は、意味合いが「玉石混交」とは少し違うことがわかります。
「質が悪いものと良いものが混じっているうえに、同じ取り扱いを受ける」という意味があることが、両方の特徴です。
一方、「玉石混交」は、「質が悪いものと良いものが混じっている」ということだけを表しています。
さらに、「牛驥同皁」と「玉石同匱」は、使い道がお互いに少し違っています。
「牛驥同皁」は人だけに使われますが、「玉石同匱」は人と物の両方に使われます。
「玉石混交」の英語表現とは?
「玉石混交」の英語表現は、次のようになります。
「mixture of tares and wheat」(雑草と小麦の混合)
「mixture of chaff and wheat」(もみ殻と小麦の混合)
「mixture of the bad and good」(悪いものと良いものの混合)
「mixture of tares and wheat」では、価値がないものを「雑草」に、価値があるものを「小麦」にそれぞれ例えています。
一方、「mixture of chaff and wheat」では、価値がないものは「もみ殻」で、価値があるものは「小麦」でそれぞれ表されています。