悲喜こもごもの意味とは?
悲喜こもごもは、悲しみと喜びが同時に・次々とやってくることを表現する言葉です。
四字熟語ですが、現代では一般的に悲喜交交の代わりに、ひらがなで悲喜こもごもと表記されるようになっています。
意味を理解する上では、悲喜こもごもは1人の人の感情であることが大切です。
例えば、試験の合格発表のときに、その場の複数の人が合否に悲しんだり喜んだりする様子には悲喜こもごもは使えません。
というのは、複数の人は悲しみか喜びのいずれか一方だけ感じるためです。
悲喜こもごもは、1人の人に悲しみと喜びが交互あるいは同時にやってくることを表現します。
悲喜こもごもを使うシーンとは?
例えば、入試や選挙の合格発表の番組やニュースのときは、悲喜こもごもという表現を使わないのでしょうか?
悲喜こもごもは、一度または交互に悲しみと喜びが訪れた1人の人の感情・心境について使います。
そのため、複数の人の感情・心境を表現するときは使いません。
例えば、選挙に落ちて悲しむ人がいる一方当選して喜ぶ人もいる、あるいは、入試に落ちて悲しむ人がいる一方受かって喜ぶ人がいるなどというようなときは、一般的に悲喜こもごもという表現は使いません。
このようなときは、悲しむ人、喜ぶ人、いつもながらの情景などというような表現を使います。
近年、悲喜こもごもの間違った使い方があるためか、国語辞典の中には補説として語釈の後に次のように書いているものもあります。
「一人の人が悲しみと喜びを味わうことで、悲しみ人と喜ぶが入り乱れるという意味で使うのは間違っている。」
悲喜こもごもの使い方とは?
ここでは、悲喜こもごもの使い方についてご紹介します。
悲しみと喜びの感情があることを表現する
悲喜こもごもという言葉は、悲しみと喜びの感情があることを表現します。
悲喜こもごもは、同じのシーンで、悲しみや喜びが交互に押し寄せたり、同時に感じたりする様子です。
例えば、新しい生活を都会でスタートしたときは、嬉しい一方、同時に友達や家族と別れる悲しみも味わいます。
このようなときに、「新生活は楽しいが、友達や家族と別れる悲しさもあり、悲喜こもごもである。」というように使います。
1人の人の中に感情が複数あることを表現する
悲喜こもごもは、1人の人の気持ちの中に、複数の悲しみと喜びという感情があることを表現します。
悲喜こもごもは、1人の人の中で悲しみと喜びの感情を一緒に感じることです。
例えば、入試の合格発表で、合格しなかった人と合格した人の様子を表現するために、「合格発表を見る生徒たちは悲喜こもごもです。」という表現は間違っているため注意しましょう。
悲喜こもごもを使った例文
悲喜こもごもを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「プロジェクトが終了するまでには、悲喜こもごものことがありました。」
- 「新しいところでの暮らしは楽しみですが、友達と別れるのは悲しく、悲喜こもごもな感じです。」
- 「昨年は入院したり、結婚が決まったりと、悲喜こもごもでした。」
- 「結婚式に参列すると、悲喜こもごもな表情を新婦の父親が浮かべていました。」
- 「どのようなことをするときでも悲喜こもごもあるが、体験は財産になるため行動あるのみである。」
悲喜こもごもの類義語は?
ここでは、悲喜こもごもの類義語についてご紹介します。
悲喜交錯
悲喜交錯というのは、悲しみと喜びの感情が入り混じることです。
悲喜の意味は悲しみと喜び、交錯の意味は複数のものが入り混じって混乱していることです。
そのため、悲喜交錯は悲しみと喜びの感情が入り混じって、混乱している状態です。
悲喜こもごもと意味がほとんど同じであるため、類義語としても使えます。
笑いあり涙あり
笑いあり涙ありというのは、笑えることと泣くことのいずれもがあることです。
例えば、ドラマなどで、面白くて笑えるシーンと泣けるシーンがあるときに、「このドラマは、笑いあり涙ありです。」などと使います。
笑いあり涙ありは、小説やドラマなどの内容を表現するときによく使われるものですが、人や人生に対しても使えます。
悲しみと喜びの気持ちがあるという意味の悲喜こもごもと、意味合いが同じようなものとしても使えます。
笑いあり涙ありを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「人生は笑いあり涙ありで幸福でした。」
- 「ドラマは、お笑いの要素や感動的なシーンがあり、本当に笑いあり涙ありのものでした。」
人生いろいろ
人生いろいろというのは、いろいろなことが人生には起きるということです。
いろいろとは、違った状態や事柄の数が多いこと、種類が多いことを表現する言葉です。
人生いろいろは、人生にはいいことや良くないことなどさまざまな事柄があることです。
また、さまざまな人生が人によってあることも、人生いろいろという表現になります。
悲喜こもごもの意味は、1人の人の中で悲しみと喜びの感情があることですが、人生いろいろはさまざまな出来事や事柄が人生においてあることです。
人生いろいろを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「病気もしたが、現在はいい伴侶がいるため幸せなので、人生いろいろであると思います。」
- 「人生いろいろであるため、気にしないで頑張ります。」
悲喜こもごもの英語表現とは?
ここでは、悲喜こもごもの英語表現についてご紹介します。
「bittersweet」
「bittersweet」というのは、形容詞で、甘くて苦いことを表現します。
「bitter」(苦い)と「sweet」(甘い)という英単語が組み合わさった「bittersweet」は、チョコレートのほろ苦い味わいを表現するときにも使われます。
また、相反する感情が両立する悲喜こもごものようなときにも使われます。
例えば、頑張って休まなかった部活の思い出について、苦しくてつらかったが楽しかったと感じるのであれば、「bittersweet」になります。
「alternate between joy and grief」
「alternate between joy and grief」というのは、喜びと悲しみの間を行来することです。
「alternate」の動詞は、2つの動作を交互に行うこと、2つの状態を行来することを表現します。
「between」の前置詞は、交互に喜びと悲しみの感情を繰り返す状態を作っています。
悲喜こもごもの意味の違った感情を交互に体験するということが表現されています。
なお、「in my breast」(私の胸の中で)をプラスすれば、心境がより伝わりやすくなるでしょう。