ビジネスシーンだけではなく、日常生活でもよく使われる「必須」という言葉。あなたは、駄たしい意味と使い方を知っているでしょうか。よく使われるからこそ知らない用法もあります。今回は、この「必須」について詳しく説明していきます。 いままでなんとなくで使っていた人も、ぜひこの機会に正しい意味を押さえてくださいね。
「必須」の意味とは
「必須」は「ひっす」と呼ばれるのが一般的ですが、本来の読み方は「ひっしゅ」でした。長い間をかけて「ひっしゅ」が「ひっす」に変化していき、今ではほとんど本来の読みを使う人はいませんね。
「必須」の「必」は「必ず」「絶対に」といった意味があります。「須」には「必要とする」のほか、「用いる」という意味もあります。この二つが合わさり、「必須」の意味は、「必ずなくてはならないもの」となるのです。
ちなみに「須」には「ひげ」という意味もありました。男性にとってのひげは男性らしさの象徴であり、「必ずなくてはならないもの」とされていた時期があります。ここからも、「必須」が「必ず持っていなくてはならないもの」という意味が生まれたとも言われています。
「必須」の正しい使い方
必須は名詞なので、単体でも主語として成立し得る「今日の会議には筆記用具が必須です」の場合は、言葉単体で使うことができます。さらに、「免許を持っていることが必須条件です」といったように、必須に他の名刺を加えた複合名詞としても活用できます。
もう一つの活用方法が、形容動詞的方法です。形容動詞は、「仕事において学習することが必須だ」というように、何らかの動詞を形容する表現に使われます。学習するという動詞を、必須という単語が形容しているのです。
「必須」の類義語「必要」との違い
必須と似た響きの言葉に、「必要」があります。他にも「所要」「不可欠」「必需」のように同じような意味の言葉がありますが、基本的にはどれを使っても「必要とする」という意味合いが伝わります。
似ている意味の言葉ですが、違いもあります。必要は「なくてはならない」「どうしてもしなければならない」というような意味を持っています。必須も同じように「必ずなくてはならない」という強制力を持った言葉です。
必須と必要では、「必須」のほうが強制力があります。必要は、「絶対にだめとは限らない」という余地があるのです。ですから、使用するシーンが異なります。他の言葉も使用シーンを選ぶ場合があるので、その時々に合わせて表現を変えられるとよいでしょう。
「必須」の対義語・反対語は存在しない?!
実は、「必須」には反対の意味である対義語は存在しません。そのかわり、「必要」には、対義語が存在しています。これがほとんど「必須」の反対語としての意味持っているので、ここでは必要の反対語を紹介していきます。
必要の反対語で最も有名なのが「不要」です。必須の「なくてはならないこと」に対して、不要は「なくてもいいこと」、「いらないこと」を意味していますから、この「不要」が最も必須の反対語に近いといえます。
また、「任意」という言葉も必須の反対語として使えます。任意は、「書いても書かなくてもいい」「選んでも選ばなくてもいい」として、「受け手の自由意思に基づく」ことを指しています。そのため、「必ず選ばねばならない」必須の対極に位置しているといえるのです。
まとめ
なんとなく使っていた必須という言葉について、知識を深めてきました。必須と必要の間には小さな差がありますが、その小さな差がビジネスシーンでは大きな差ともなりえます。必ず回答してほしい連絡なのに、「必要」は「状況に応じて要る」ことなので、回答が来ない可能性もあるのです。
必須という言葉は強制力を持っていますが、多用しすぎてもよくありません。必ず確認してほしいことは「必須」を、「確認してもしなくてもいい」なら「任意」を。そして、「確認しなくてもいい」なら「不要」を使うように、シーンに合わせて言葉を使い分けてみましょう。