「準委任契約」の意味とは?
法律についての仕事を頼むときだけ「委任契約」といわれており、この他の仕事について頼むときは全て「準委任契約」といわれています。
例えば、IT関係の開発などの仕事を頼むときは、「準委任契約」になります。
「準委任契約」は、次のような特徴があります。
- 報酬が労働期間に対して払われる
- 指揮命令権が頼む側にない
- 瑕疵担保責任がない
そのため、はっきりした目標がなく、1ヶ月間仕事をするといくらもらえるというようなものです。
完成する必要はありませんが、「善管注意義務(善良な管理者の注意の義務)」(民法第644条)があります。
この義務をクリヤーしないときは、損害賠償請求や解約などができるため注意しましょう。
また、瑕疵担保責任が「準委任契約」ではありません。
例えば、一部のシステム開発を担当したときは、エラーが担当した箇所で発生しても法的には「準委任契約」のときは修正する義務はありません。
なお、「準委任契約」のときは、直接頼む側に作業指示が細かくできる権利はありません。
契約した内容に従って、「準委任契約」を受けた側は作業を自由に進められます。
駐在型の作業で、「準委任契約」は結ばれるときが多くあるようです。
また、ITの開発などにおいて契約スタイルを開発段階によって変えるときは、「準委任契約」が基本設計や要件定義、ユーザーテストなどで選ばれることが多くあります。
「請負契約」と「準委任契約」の違いとは?
「準委任契約」は、善管注意義務がありますが、瑕疵担保責任はありません。
瑕疵担保責任というのは、不具合や欠陥が完成したものにあったときは、責任を負う必要があるものです。
「準委任契約」は瑕疵担保責任がないため、不具合や欠陥が事務処理したものにあっても、責任は基本的にありません。
しかし、「準委任契約」でも、実際の契約では不具合や欠陥があったときに責任を負わせるようにすることができるため、契約書をチェックすることが大切です。
「準委任契約」でも不具合や欠陥がある仕事をしてもいいということでなく、不具合や欠陥が無いように注意する義務があるとされています。
このように不具合や欠陥が無いないように注意する義務が、善管注意義務になります。
一方、瑕疵担保責任が「請負契約」にはあるため、不具合や欠陥が完成したものにあると、不具合や欠陥が無いように修正したり、損害を賠償したりするなどが必要になります。
「準委任契約」は、どちらからでもいつでも解約ができます。
仕事を頼まれている側でも、仕事を頼んでいる側でも解約ができるため、仕事中に急に解約になることもあります。
そのため、報酬がもらえなくなるときがあるため注意しましょう。
一方、「請負契約」は、基本的に仕事を頼んでいる側が解約するときは損害を賠償します。
「準委任契約」でも、実際の契約で解約するときは、一定額を払ったり、損害を賠償したりする必要があるなどの規定を入れ込むことができます。
「準委任契約」は、第三者に頼まれた仕事を再度頼むことができません。
というのは、契約がお互いの信頼関係をベースになっているからです。
例えば、書類を作るように頼まれていたときは、基本的に頼んだ側は頼まれた人を信用していたためであり、第三者が仕事をするのであれば頼まないということになります。
第三者に再度頼みたいときは、契約書に再度第三者に頼めることを入れ込む必要があります。
「請負契約」の目的は、仕事を完成して、完成したものを入手することです。
基本的な考え方は、きちんと入手できると問題ないということです。
例えば、「請負契約」として家を建てることを結んだときは、不具合や欠陥がないものを完成することが大切になります。
もし家を建ててもらう人を限定したいときは、再度第三者に頼むと駄目ということを契約書に入れ込む必要があります。
「準委任契約」のメリットとは?
適切に事務処理が行われると、報酬を仕事が完成しなくても請求できることが、「準委任契約」のメリットです。
例えば、システム開発のときに、「準委任契約」で適切に開発の仕事を行うと、トラブルが開発で起きてシステムが完成できなくても報酬が請求できます。
報酬をプロジェクトの結果に関係なく請求できるので、収入プランが立案しやすいこともメリットです。
なお、「請負契約」のときは仕事を完成させる責任があるので、トラブルが起きても完成する必要があります。
そのため、「準委任契約」は仕事を行う責任、「請負契約」は仕事を完成する責任があるため、責任は「準委任契約」の方が軽くなります。
「準委任契約」のデメリットとは?
「準委任契約」のときは、民法第651条第1項によって、仕事を頼む側も仕事を頼まれる側も無条件でいつでも解約することができます。
「準委任契約」を業務委託契約で結ぶときは、仕事を頼まれる側は急に解約されるリスクがあります。
そのため、収入が安定しにくいフリーランスにとっては、急に解約になるのは相当リスクが大きくなるでしょう。
先にご紹介したように、「準委任契約」は責任が「請負契約」よりも軽いことがメリットですが、逆にいうとデメリットにもなります。
一部の事務処理の仕事を頼まれて、いつ解約されるかわからないのではそれほどアルバイトと違わないという人もいます。
責任が重くないため、仕事の継続性についても安定しにくくなりがちであるため、安定して仕事をするためにフリーランスはどのような契約が自分に適しているか判断する必要があります。
「準委任契約」で注意することとは?
「業務委託契約書」だけでなく、最も大切なのは初めに結んだ契約内容です。
しっかりと契約内容をチェックしておかなければ、先々のトラブルの要因になります。
ここでは、「準委任契約」で注意することについてご紹介します。
「準委任契約」での仕事の範囲や内容をはっきりさせて、契約書の中にはっきりと書いておきましょう。
ここがはっきりしていなければ、先々のトラブルの要因になったり、責任問題になったりすることもあります。
報酬については、契約の中でしっかりと決める必要があります。
例えば、契約した仕事は報酬が固定であるか、仕事量が多くなれば報酬も多くなるか、支払いはいつまでか、支払いはどのような方法になるかをチェックしておきましょう。
これ以外にも、支払いは分割か一括か、完成後の支払いか前払いかなどについてもはっきりと決めておきましょう。
また、契約に必要な交通費などについては、負担するのはどちらかを決定しておく必要があります。
仕事を頼まれた側は、仕事の経過や結果を報告する義務があります。