休職とは?
休職というのは、労働契約を維持しながら仕事が免除される制度で、会社を個人の都合によって長期間休むことです。
法律上、休職ははっきりした定義がなく、基本的に会社のオリジナルの制度です。
そのため、条件は会社によって違っており、休職制度自体がない会社もあります。
休職制度がある会社の場合は、ほとんど就業規則で休職制度の内容を決めています。
休職の理由とは?
ここでは、休職の理由についてご紹介します。
会社によって休職の理由は違う
先にご紹介したように、法的な決まりは休職にないため、休職制度がない会社もあります。
休職は、会社側が労働者の休職の申し出を認めることが大前提であるため、休職制度があるときでも雇用契約書や就業規則に休職の理由がはっきり書かれていないときは、休職を会社側に認めさせることは困難でしょう。
健康上の休職の理由は認められる
休職の理由として認められるのは、心身の健康が悪くなって仕事ができなくなったときの傷病休職があります。
なお、労働災害保険の対象になる通勤するときや仕事をしているときの怪我などは、休職の理由にはなりません。
また、セクハラやパワハラなどによるうつ病などのために出勤できないときは、労働災害保険の対象になるケースが多くなっています。
その他の休職の理由
健康上の休職の理由の他にも、事故休職という私的な障害事由によるものや起訴休職という刑事事件で起訴されたことによるものがあります。
また、調整休職という組合専従や出向など別の制度との関係を理由とするもの、依願休職という自己啓発のためのセミナー参加や留学などが認められることもあります。
休職の期間とは?
ここでは、休職の期間についてご紹介します。
休職の期間は3ヶ月間~3年間程度
休職自体は会社がオリジナルに決めるものであるため、休職の期間も会社によって違っており一律ではありません。
しかし、ほとんどの場合は、3ヶ月間~3年間程度になっているようです。
また、休職の期間は勤続年数によって変わるときが多くあり、長い勤続年数になるほど休職が長期間認められるようになります。
長期間の休職が大企業ほど認められる傾向がある
一般的に、長期間の休職が大企業ほど認められる傾向があります。
退職によって人員が足りなくなったときは人員が補充されますが、休職のときは別の社員が仕事を負担するときが多くあり、大企業のように人員に余裕があるところでなければ長期間の休職には耐えられないためです。
どの程度の休職の期間になるかについては、休職する前に雇用契約書や就業規則でチェックしておくようにしましょう。
また、休職事由が休職の期間が過ぎても続いているときに休職が延ばせるかどうかについても、休職する前に把握しておく必要があるでしょう。
休職のメリットとは?
休職のメリットとしては、専念して治療できる、負担が多い仕事から解放される、時間を好きなことに使える、ことが挙げられます。
酷いうつ症状があるにも関わらず仕事を継続すると、いろいろな良くない影響が生じることがあります。
例えば、顧客とのコミュニケーションミスやパソコンの操作ミス、上長や同僚との連携ミスも発生しがちです。
そのため、自分がミスをしたことを責めて、信頼を取り戻そうとしてさらに負担が多くなり、最終的に再度ミスをするという良くない循環になることも考えられます。
このような良くない循環を断つことが、休職のメリットです。
仕事から離れて専念して治療することによって、症状が改善できます。
休職のデメリットとは?
休職のデメリットとしては、自分のキャリアや評価に対する良くない影響が挙げられます。
また、この他に、所得や給与に対する良くない影響も一つのデメリットとして考えられます。
休職は、会社や上長によってはネガティブであると見られるときもあるでしょう。
しかし、このような他の人のことを気にし過ぎるために、不調を改善しないで仕事を継続しても、パフォーマンスを維持するのは難しいでしょう。
そのため、症状を改善するためにある程度期間の休職を経てから仕事に戻る方が、長期的に見ればキャリアや評価にとっては望ましいでしょう。
もし、一回の休職によってその後のキャリアや評価に良くない影響があるような会社や上長であれば、休職した後に転職することも一つの選択肢として考えるのもいいでしょう。
休職の別のデメリットとしては、所得や給与が少なくなることが挙げられますが、手当てや給付を受け取ることによってカバーすることができます。
休職の理由が通勤途中あるいは業務中の怪我のときは、休業補償給付を受けられます。
また、休職の理由が通勤途中あるいは業務中の怪我でないときは、傷病手当金が受けられることがあります。
このような休業補償給付や傷病手当金は条件があるため、会社や役所に受給資格があるかどうかを問い合わせする必要があります。
傷病手当金が休職中に支給されるケースもある
休職のときは、有給休暇をまず消化してから休みに移していきます。
仕事ができなくて給料が全く無くなってしまいますが、金銭的には社会保険などを負担する必要があるため厳しくなる可能性が大きくなります。
そのため、このように仕事ができない人を保護するために傷病手当金が準備されています。
全ての人が必ずしも傷病手当金は付与されるものではありませんが、所定の手続きをハローワークで行うと一時金が受け取れます。
傷病手当金が受け取れる条件としては、次のようなものがあります。
- 業務外の事由による怪我で療養する
- 仕事に就けない
- 連続する3日間を含んで、仕事が4日間以上できない
- 給料が休業した期間に支給されない
このような条件をクリアすると、傷病手当金が受けられる権利があります。
傷病手当金は、支給され始めた日から最長1年6ヵ月間受け取れます。
このような期間が設けられているのは、基本的に休職はもとの職場に戻ることが前提になっているためでしょう。
傷病手当金が永久的に受け取れると、仕事をしなくてもいいというようになりかねません。
休職中の社会保険の取り扱いとは?
社会保険料の納付は休職中も免除されません。
というのは、復職できる可能性があるための休職制度であるため、健康保険、厚生年金の社会保険の被保険者資格は休職中も継続し、社会保険料も発生します。
そのため、社員も会社も負担分をそれぞれ納める必要があります。
ほとんどの場合、社員の社会保険料は毎月の給料から控除されます。
しかし、給料が休職中に支給されなかったときは、社員の給料から会社は天引きできないため、社員から社会保険料を直接徴収する必要があります。