転職面接での「キャリアビジョン」の回答事例と注意点




転職面接で、よくされる質問のなかにキャリアビジョンにかかわるものがあります。キャリアビジョンについては多くの質問パターンがありますが、日頃から今後について考えていない場合は答えるのが難しくなりがちです。今回は、転職面接でキャリアプランを聞かれた時におすすめの回答事例と注意点についてご紹介します。

キャリアビジョンの定義を確認する

まずは、「キャリアビジョン」とはどんなものなのかを考えていきましょう。「キャリアビジョン」は「キャリア」と「ビジョン」が接続されたビジネス用語です。

キャリアは、ラテン語の「carrus(車輪の通った跡である轍)」が語源とされています。つまり、車の通った後のように「これまで過ごしてきて得た経験」のことをキャリアと呼ぶのですね。人生や生き方も、キャリアに当たります。

ビジョンは、将来の見通しを指しています。実現したいことを描く未来予想図のようなものをイメージすると分かりやすいでしょう。

つまり、キャリアビジョンとは、「これまで過ごしてきて得た経験」をもとにした「将来の見通し」のことなのです。あくまで仕事の面接であることを念頭に私生活に関する夢に終始しないようにしましょう。

キャリアビジョンを明確にもっておけば、未来の仕事だけではなく、自分自身のライフプランにもプラスになります。キャリアビジョンを考えることで、自分がいまどのような行動を起こすべきか、どのような問題に直面しているかを知ることができます。

キャリアビジョンを明確にしないでおくと、転職活動の目的も見失ってしまうかもしれません。

間違えやすいキャリアビジョンと類義語

キャリアビジョンには、近しい言葉があります。類語の意味もあわせて知っておけば、面接時に間違えることもありませんし、自身の将来に対する理解も深まります。

キャリアプラン

プランは「計画」という意味で、キャリアビジョンを具体的にしたもののことです。転職面接では、回答に具体性を求められることが多いため、キャリアビジョンを考えるタイミングでキャリアプランも考えておくことをお勧めします。

キャリアパス

「パス」は道筋のことなので、今いる企業の中でどのようにステップアップするか、その道筋を指しています。昇給するため・昇進するためにはどうしたらいいかなどを考えることを、「キャリアパスを考える」といいます。

キャリアデザイン

キャリアデザインは、キャリアプランの設計図のことです。言葉の流れとしては、まず「キャリアビジョン(将来の予想図)」を考え、「キャリアデザイン(設計図作成)」を行い、「キャリアプラン(具体的な計画)」を仕上げます。そのうえで、「キャリアパス(目標達成への道筋)」をたどる、というルートです。

キャリアビジョンを考えるメリット

では、どうしてキャリアビジョンを考えなければいけないのでしょうか。面接で聞かれる理由は後々で解説しますので、ここではキャリアビジョンを明確にしておくことで得られる自分自身に対するメリットを押さえていきます。

メリット①:自分を見つめ直す機会になる

キャリアビジョンを考えることで、今現在の自分を見つめなおせます。未来の自分を想像することで、今の自分に何が必要なのか、何が足りないのかが分かるのです。そのため、足りないところを見つけて落ち込むのではなく、課題を整理することが大切です。

メリット②:自分に有効な情報を正しく掴める

キャリアビジョンを把握すると、自分に足りない部分を理解できるようになります。すると、自然と自分に足りないものを補うために必要な情報を掴めるようになるのです。

もし、転職活動のさなか、情報が多すぎてどうしたらよいかわからなくなったら、キャリアビジョンを考えてみましょう。そうすることで、自分がどんな情報を得ればいいか分かります。

メリット③:面接対策になる

今回紹介したい最も大きなメリットが、こちらです。キャリアビジョンは近年、転職面接で非常によく問われる質問です。

現代日本は、働き方改革によってさまざまな働き方を選べるようになりました。だからこそ、企業は求職者がこれからどんなキャリアをつないでいきたいと考えているのかを知りたいのです。それによって、長期で働いてくれる人材化、短期で辞めてしまう人材か分かるためです。

キャリアプランが「ない」と答えるのはNG

たしかに、面接でいきなりキャリアプランを問われても、用意がないと答えにくいものです。だからと言って、「これから考えます」「ありません」と答えるのはNGです。

ないと言ってしまうと、将来の計画を立てずになんとなくこの企業を選んだと思われてしまい、採用担当者に「計画性がない」「目標がない」と評価されてしまいます。だからこそ、自分がしっかりとしたビジョンを持っていなければ、転職面接では不利になってしまうのです。

あなたにとっても、入社してから自分の価値を高められる企業のほうが嬉しいはず。キャリアプランはしっかり考えておき、好印象を持たれるようにアピールしてください。

転職面接でキャリアビジョンを聞かれる本当の理由

面接でキャリアビジョンが重要なのは理解できたかと思います。それでは、どうして企業側はあなたのキャリアビジョンを聞いておきたいのでしょうか。ここでは、その理由を紹介します。これらを踏まえて、面接で聞かれた時の回答を考えてみてください。

理由1 自社と転職者がマッチしているか知りたいから

企業にとって、求職活動というのは時間もコストもかかるハードな仕事です。採用にした人材には、やめずに長く勤めてほしいと思うでしょう。ミスマッチによる早期離職のリスクを解消したいのも、この質問の意図でもあります。

経営方針や事業内容、人材育成方針が求職者の未来とマッチしていないと、企業だけでなく応募者にとっても不幸なことになってしまうのは明白です。

理由2 具体的な目標設定をする力を見定めたい

仕事を遂行するために重要な力が、目標設定能力です。短期目標、中期目標、長期目標を自ら立てて、自分でそれを達成するために努力できる能力は、成長のために不可欠です。

そのため、キャリアビジョンはぼんやりとした希望ではなく、具体的な目標設定を答えなくてはなりません。一貫性があるかどうかも大事です。

難しく思えるかもしれませんが、まず最終的な目標を設定してから具体的なキャリアパスを考えるようにすれば、それほど大変ではありません。

理由3 目標を達成できる力があるか見たい

目標というのは、立てればいいというものではありません。立てた結果、達成できるかが大事なのです。キャリアビジョンをみることで、その実行ができるかどうかもみられているのです。

大きすぎる目標や、抽象的な目標を立ててしまう人は、面接官にとっては魅力的とはいえません。キャリアビジョンをどのように達成するか、実際に今どのような対策を取っているかを具体的に見せることで、面接官に納得してもらいやすくなります。

キャリアビジョンの答え方は3つの手順を踏めば完璧!

ここまで、キャリアビジョンの考え方を学んできました。ここからは、実際に自分のキャリアビジョンを考えてみましょう。キャリアビジョンは、はじめはぼんやりとしたビジョンでよいのです。難しく考えなくても大丈夫ですので、一緒にステップを踏んで考えていきましょう。

1.漠然とした内容から具体的な目標を提示する

キャリアビジョンを考えるときは、漠然とした未来ではなく、具体的な目標を掲げることが大切です。最初は「いずれ店長になりたい」「いつか本部で経営企画に携わっていきたい」といったあいまいな内容でもいいので、それを「いつまでに」「どうやって」達成するかを客観的に考えてください。

無理な目標を立てず、例えば「半年後の店長就任を目指し、店舗経営に重要な○○の実務をこなし、半年後までに××の資格を取得したい」といったように目標を提示することができれば、企業の求める人材という評価を受けられます。

2.今自分がどう行動しているかを明示する

目標設定を提示できたら、次は実際の行動を説明していきましょう。あくまでも客観的に「目標を達成するために、自分がどのような努力をしているか」を示すことが大事です。

キャリアビジョンのためにしている勉強の内容や、取得した資格、キャリアプランのためにしている仕事など、具体例を挙げられるものならば何でも構いません。

3.キャリアビジョンのためにどうして応募先企業を選んだのか説明する

面接では、なによりも大事なことがあります。それは、「なぜこの企業でなければいけなかったのか?」ということです。キャリアプランに限らず、面接でどの企業に対しても同じことを言えばいいわけではありません。

キャリアプランは自分自身の目標ですが、「その企業に転職した場合の目標」について話しましょう。どこの企業でも実現させることができる目標ではなく、その目標を叶えるために、どうして応募先企業でなければいけなかったのかを説明してください。

志望する企業によって、具体的な目標設定は変わってきます。企業のウェブサイトや経営方針を持っているのかをチェックして、企業がどういう考えを持っているのか、どのような人材が求められているのかを確認してみてください。

例えば「仕事を通じて成長したい」というキャリアビジョンの場合、どの業界・どの企業でも目標達成できそうなものになっています。これでは、その企業に対してのアピールができません。企業の事業内容や仕事内容にマッチした内容を話しましょう。

その際、自分のキャリアプランが、企業のどことマッチしているのかを説明します。それはそのまま、企業にとってもあなたがマッチする人材か分かる指標になるでしょう。

キャリアプラン回答時に気を付けるべきポイント2つ

最後に、面接でキャリアプランを聞かれたときの回答で気を付けるべきポイントを紹介します。上記の例を踏まえながら、注意点まで網羅できていれば、問題なく面接で使える回答事例となるでしょう。

1.志望動機とキャリアビジョンに齟齬がないようにする

面接でキャリアビジョンを伝えるとき、同時に志望動機や転職理由も伝えることになります。そして、この2つが合致しているという一貫性が必要です。この2つが合致していないと、「当社に合わない人材」と判断されてしまう恐れもあります。

なぜなら企業には独自の経営方針やポリシーがあり、それに合致する応募者を募集しているためです。キャリアプランとして持っている目標を叶えるため、企業の理念に合っているから叶えられると考えたことを、客観的に発言してください。

2.自分のキャリアビジョンを希望ではなく具体的に提示する

こちらも再三言っていることですが、キャリアビジョンを説明するときに「ざっくりした目標」を伝えるのは絶対にNGです。仕事を通じてどのような人間になりたいのか、将来的に企業や社会にどのように貢献したいのかなどを念頭に、具体的な将来のビジョンを答えてください。

例えば。「管理職になりたい」といった目標の場合は、管理職になってどのようなことがしたいのか、チームをどう作り上げ、最終的に企業にどのような貢献をしたいのかを話すようにしましょう。

自分だけのキャリアビジョンを考えて面接を成功させよう

キャリアビジョンは、仕事をしていく上だけではなく、人生においても生きていく軸を定めるために欠かせないものです。自分の中に明確なキャリアビジョンを立てることで、面接先のそれぞれの企業に対して「適した形」に変化させることができます。

とはいえ、面接の場ですぐに答えは出ないものです。事前に、企業研究を行ってキャリアビジョンを整え、面接に自信を持って臨むようにしましょう。




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RUN-WAY編集部

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