転職歴が多い方にとって、不安になるのが面接での「転職歴が多いのはなぜですか?」の質問ではないでしょうか。
人間関係であったり、仕事内容があっていなかったりするなど、さまざまな事情により転職をしている方もいらっしゃると思います。やむを得ない理由で転職したにも関わらず、それが次の仕事を探すうえでネックとなってしまうのは避けたいところでしょう。
そこで、今回は面接の場で転職歴について質問された際に、不利にならない回答案について解説します。
転職歴の多さについて質問する理由
そもそも、なぜ企業は転職歴の多さについて質問するのでしょうか。
忍耐力の低さに懸念を抱いている
転職歴の多さについて質問する理由として、まず挙げられるのが「忍耐力の低さ」に対する懸念です。
仕事は必ずしも良いことばかりではありません。辛い想いをしたり、悔しい想いをしたりすることもあります。企業は、そうしたネガティブなシーンを乗り越えられないような人材は避けたいという思惑があるのです。
粘り強く頑張れる人材が欲しい企業にとって、忍耐力があるか否かはふるいにかけるべき部分と言えるでしょう。
対人コミュニケーションが苦手か否かを判断したい
対人コミュニケーションが苦手なのでは?といった疑問から、転職回数に関する質問をすることがあります。
近年、コミュニケーションに苦手意識を感じる方が増え、ビジネスシーンに支障をきたすケースも珍しくなくなってきました。しかし、コミュニケーションスキルは、社会人として必須と言っても過言ではありません。基本的な情報共有や報告、連絡、相談のほか、取引先に対して提案をしたり、交渉したりする場面もあり、仕事はコミュニケーションの上で成り立っているような状況です。
だからこそ、多くの企業は円滑なコミュニケーションを図れる人材を求めています。転職の理由がコミュニケーション上の問題なのであれば、採用するか否かを見極めるためのヒントとなるでしょう。
採用してもすぐに退職されるのでは、という不安
企業にとって、最も避けたいのが「採用してもまたすぐに退職されてしまう」という事態です。
あまり知られていませんが、企業が人材を確保するのに多くのコストや人的資源を要します。企業はまず、求職者を募るために、お金をかけて採用媒体に掲載します。その後、応募者からの履歴書や職務経歴書に目を通し、時間をかけて面接を行います。採用となれば、入社の手続きを行ったり、保険関連の準備を行ったりと、転職者からは見えないところでさまざまな対応に追われているのです。だからこそ、採用後にすぐに退職されてしまうのは、大きな損失となります。
転職回数を確認するのは、上記のようにすぐ転職しそうな人材の採用を避けたいという本音があるのでしょう。
転職歴の多さが不利にならない回答案
「転職歴が多いのはなぜですか?」といった質問を受けたとき、どのような回答であれば不利にならないのでしょうか。
ここからは、転職歴について質問された際におすすめの回答案をご紹介します。
スキルを磨きたかったため
転職歴の数を指摘されたとき、不利にならない回答案としてまずおすすめなのが「スキルを磨きたかったから」というものです。
スキルを磨くための転職は、スキルアップが目的であり成長意欲を感じられる回答です。回答する際には、どんなスキルをどこまで伸ばしたかったのかといった点のほか、転職前の職場ではスキルが磨けないと思った理由なども添えて回答すると、より信憑性が増します。
チャレンジしたことがあった
「チャレンジしたい仕事があった」「自分の能力を試せる場に行きたかった」など、挑戦意欲を感じられる回答は、転職回数を指摘された際におすすめです。
近年、多くの企業がチャレンジ精神のある人材を求めています。失敗を恐れずにチャレンジする姿勢は、社内を活性化させることにつながるだけでなく、企業の成長にも影響を与えるためです。
また、挑戦意欲の高さは、現場で主体的に動けるイメージも与えるので、いずれにせよ好印象となります。
自分のスキルや経験で活かしたいことがあった
面接シーンで転職歴に関する質問を受けた場合には、「自分の持つスキルや経験などで活かしたいことがあった」といった回答もおすすめです。
どのような企業でもスキルや経験を活かせるとは限らないのが現実。転職前の職場では、スキルや経験を活かす場所がなく、物足りなさを感じていたことなど、具体的なエピソードを交えて回答するとより印象深くなります。
転職歴が多くても採用されやすい人の特徴
転職歴が多いと仕事探しでは不利になるイメージがあります。しかし、転職歴が多いにも関わらず、採用されやすい方もいるのが事実です。
転職歴に関わらず、採用されやすい方にはどのような特徴があるのでしょうか。
これまで務めた会社の業種や業界が一貫している
転職歴が多く手も採用されやすい方の特徴として、まず挙げられるのが、これまで務めてきた会社の業種や業界などが一貫していることです。
たとえば、30歳で4回の転職歴があっても、全て営業職として働いているなど、一貫していると「経験を積んでいる」「スキルを持っている」と判断されることがあります。
逆に、営業や事務、製造などさまざまな業界に転職していると、どの業種も経験が浅いまま終わっていることから、面接では不利になりやすいと言えるでしょう。
将来のキャリアプランが明確
将来的にはどうなりたいのかといったキャリアプランが明確な方は、転職歴が多くても採用されやすい傾向にあります。
「○年後までにこんな仕事がしたい」「○年後までにこのスキルを活かせるようになりたい」など、具体的にキャリアプランを描けていれば、面接でもアピールポイントとなります。
見通しを持って行動していること、成長過程の人材であること、挑戦心があること、などキャリアプランが明確なだけでさまざまなポジティブイメージを与えられます。
「何年後までに」「どんなスキルを」「どこまで身につけたいのか」「どこで活かしたいのか」などを具体的に考えてみるといいでしょう。
まとめ
新たに仕事探しを始めたい方にとって、転職歴の多さは気になる部分です。
しかし、今回ご紹介した通り、回答内容次第では決して転職歴の多さがネックになることはありません。むしろ、ポジティブなイメージを与えられるチャンスもあります。
転職歴が多いながらも、新しい仕事を探したいと考えている方は、今回の回答案を参考にしながら自己流にアレンジして面接に備えていきましょう。
粕谷麻衣
ライター・キャリアコンサルタント。「子育てと仕事を両立したい」「自分らしく働きたい」「自分の好きなことを仕事にしたい」など、今どきの働き方にフォーカスした情報を発信。取材やインタビューを通して、リアルな声を追求していくことが好き。
自身は一児の子どもを持つシングルマザー。ワーキングマザーとしての人生を楽しく謳歌中。