今回のインタビューは、組織人事コンサルティングの株式会社リンクアンドモチベーションの芳川諒子さん。子ども時代の経験が会社選びに与えた影響や、今の会社で働き続けている理由などについて、お話をうかがいました。
受験の偏差値のように、会社の組織力を測るクラウドシステム
私が所属しているのは、中小ベンチャー企業の経営者を対象に、モチベーションクラウドというクラウドシステムを活用していただきながら、組織改善をサポートする部署です。
ダイエットには体重という物差しがあり、受験では偏差値という物差しがあるように、物差しがあるからこそ人は一生懸命頑張れる面があります。そうであるなら、企業の組織活動においても物差しを入れて効果的に改善していこう、という思いから始まったサービスがモチベーションクラウドです。メルカリやラクスルなど、現在570社以上の企業に導入していただいています。(2018年7月時点)
具体的には、クラウドでエンゲージメントスコアと呼ぶ数字を出すことができます。これは簡単に言うと「組織状態を表す偏差値」なのですが、全国平均を50とした時に、その会社の組織状態が40なのか60なのかがわかります。偏差値によってAからEランクまで判定が出るんですが、B、偏差値でいうと55を超える会社は、翌年の利益伸長率が高くなるというデータがあります。利益との相関関係は明確に出ていますね。
部下を深く知り、自分自身が第二の親になる
部署の中で私はモチベーションクラウドのセールスマネジャーをしています。4人の部下がいて、一番のやりがいはメンバーが成長していると実感できる瞬間ですかね。やれなかったことができるようになったとか、アポイントの場でしっかり話せるようになったとか、メンバーのことを気に入ってくださるお客様がいるとか。
部下を育てるためには、まずは部下のことを深く知ることが大事かなと思っています。部下に対して、自分自身が第二の親になるということを定義として決めているので、その子が幸せな人生を送れるように私が最大限サポートしようと思っています。
なので、その人が人生において成し遂げたいことを本当に理解したり、その人が持っている他の人とは違う強みはなんなのかを知りに行くことが大事だと思っています。そのためにも、いろんなことにチャレンジさせることを大事にしています。チャレンジを通して、こんなことができるんだっていう発見を私自身も、部下自身もできますから。
もちろん、私が思うスピード感で成長してくれないなと思うこともありますが、そういうメンバーはだいたい、自分に自信がなかったり、チャレンジしなくなっていたりするんですよね。そういう時は「あなたなら大丈夫」と応援しますし、モチベーションを上げる3つの要素「目標の魅力」「達成可能性」「危機感」の中で何が足りてないかを見極め、足りない部分にアプローチするようにしています。
自分が変われたからこそ、人の背中を押せる人になりたい
大学はいわゆるお嬢様学校の聖心女子大学に通っていました。ただ、当時から何かをやってやろうという気持ちは持っていたので、慶應義塾大学がやっていた株式投資研究会に1人で乗り込み(笑)、株の運用を慶應の方と一緒にやったりしていました。そこでは書籍も出版したり、ホリエモンのカバン持ちの方と一緒にテレビに出たりとか、変わったことをやっていました。株の運用は絶好調でしたね(笑)。
リンクアンドモチベーションに新卒で入社したのは、私自身が過去の自分から変わった経験を通して「人は変われる」ということを信じていて、この会社ならそれができると思ったからです。
私は幼少期からすごく引っ込み思案で人と話すのが嫌いで、友だちがいないタイプでした。でもそんな自分がすっごく嫌いで、殻を破りたいと思っていたんです。小6の時に友人が「生徒会の選挙に出馬してみなよ」と背中を押してくれて、そんなのできないと思いつつ、自分が変わるきっかけになるかもと思って勇気を出して立候補したんです。そしたら当選して、そこから自分の人生が変わったなって。
自分自身が主体的に自分の人生や周りの人にかかわることによって、自分自身が生かされている感覚になったんですよね。そこからは中高では必ず部長をやって、自分がリーダーシップをとって組織を変えていこうとやってきました。そして、その友人のように私も人の背中を押せる人になれるんじゃないかと思って、入社を決めました。
女性が自分の可能性を信じ、輝ける社会を実現したい!
今後は、まずはモチベーションクラウドという事業を全世界に広めて行くということをビジョンにしているので、それを私自身がやって行きたいと思っています。今は日本の首都圏や関西、福岡といった都会でしか認知度がないサービスなので、まずは47都道府県に広げて、日本を制覇した上で世界へ出ていきたいと思っています。
私個人としては、女性が輝く社会を実現したいと思っています。私の母は医者という専門職でありながら「女性が働きづらい」ということをよく言っていたので、そういうことを言う人を一人でも減らしたいですね。私の友人でも、能力が高いのに仕事についていない専業主婦の人が多くてもったいないと思っているので、日本の発展のためにも女性の輝く社会を実現し、自分の可能性を信じた生き方ができる女性を増やしていきたいです。
そのためには、私自身が仕事で輝いたり、もしくは人生を楽しんでいるという姿を見せることによってそれを伝えるのも一つかなと思っています。
自分で決めた道を正解にする、と腹をくくる
私は「自分で決めた道を正解にする」と言う言葉が好きです。なぜかと言うと、自分の人生は自分で切り拓くものだから、仮に転職をして「あれ? 違ったかも」と思ったとしても、その会社を選んだ自分の道を正解にしていく責任が自分にあると思っているからです。
そこで「この会社の経営陣どうなの?」とか他責的にいうのではなく、まずは自分がどう変わるかということの方が大事かなと思っていて。そういう努力をした上で、自分で決めた道を正解にするという腹ぐくりはすごく大事ですね。
私自身、リンクアンドモチベーションで12年働く中で、この会社でこのまま働いていていいのかなという思いが頭をかすめたときもありますけど、自分が選んだ会社の中で自分は何もなし得てないと思ったんですよね。それは、自分が選んだ道が正解になっていない、ということと同義だと思ったので、まずはこの道で良かったと自分が納得できるまでやってきたいです。
プロフィール
芳川諒子さん。
聖心女子大を卒業後、リンクアンドモチベーションに新卒で入社。趣味は映画鑑賞。「私は紆余曲折がある中で自分がこうだと信じた道を進み続ける人間の強さが感じられるサクセスストーリーが好きなので、『グレーティスト・ショーマン』は最高ですね。一番好きな映画は、女性のキャリアウーマンが非常に怖い上司の下で育っていくサクセスストーリーの『プラダを着た悪魔』です。でも私は、主人公のように彼氏を捨てたりはしませんよ(笑)」
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