准看護師は、転職やキャリアチェンジにも人気が高い職業の1つです。また、手に職をつけてキャリアアップをしたい人にも注目されています。そこで今回は、准看護師の仕事内容、看護師との違い、年収、資格など幅広く紹介します。
准看護師とはどんな仕事?
准看護師は、患者の回復をサポートし元気になって退院していく姿を見られることや、患者とその家族から感謝されることも多く、やりがいのある仕事です。
まずは准看護師の仕事がどのようなものなのか紹介します。仕事内容や実態、勤務先など、さまざまな観点から見ていきましょう。
准看護師とは?
准看護師制度は戦後に病院が急増し、看護師の需要が高まったことで発足しました。当時は女性の高校進学率が低かったため、看護師を増やすことが難しい状況でした。そのため、中学を卒業していれば看護師の補助ができる准看護師が誕生したのです。
現在の准看護師の定義は、都道府県知事が認定する免許を取得し、医師や看護師の指示を受けて病気やケガをしている人の看護や診療の補助をする人のことです。
厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、平成30年の准看護師の数は304,471人です。そのうち女性の准看護師の数は282,702人で男性よりも圧倒的に多く、女性に人気の高い職業です。
また、正規雇用の准看護師は70.6%と高めです。年齢別にみると55~59歳が16.5%と最も多くなっています。50歳以上の准看護師が全体の約60%を占めていることを考えると、長く続けられる安定した仕事といえるでしょう。
(参考元:厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)
准看護師の仕事内容
准看護師の主な仕事は、医師や看護師の診療を補助することと患者をケアすることです。病院など医療施設では、さまざまな部門で准看護師が活躍しています。
- 病棟准看護師:入院施設がある病院で主に入院患者のケアを行う
- 外来准看護師:外来診察の補助を行う
- 手術准看護師:手術施設のある病院で、主に手術室での補助を行う
- 救急准看護師:救急を受け入れている病院で、救急部門での補助を行う
実際の仕事内容は勤務先や配属先により多少異なりますが、准看護師が行う一般的な仕事には次の通りです。
■医師や看護師による診療の補助
医師や看護師の指示により、体温・血圧・脈拍の測定、採血、点滴、注射、カルテの記入、薬の手配、夜勤の巡回、患者の移送などを行います。
■患者のケア
患者の着替えや食事、排泄の補助、ベッドメイキング、入浴の補助、体位交換などの仕事があります。また、巡回やナースコール対応も大切な仕事です。
准看護師は患者と触れ合う機会が多いため、しっかりとコミュニケーションをとり、患者やその家族の不安や疑問に耳を傾けて心のケアを行うもの仕事です。
■その他
備品の管理や器具の洗浄、伝票・書類の整理、会議などの準備なども含まれることがあります。
准看護師が働いている場所
准看護師は、多種多様な職場で活躍しています。大きく分けると医療分野・介護分野・その他の3分野があります。
■医療分野
・病院
准看護師が最も多く働いている職場です。
・クリニック
クリニックは救急外来や入院設備がなく、就業時間が日中のみのため、仕事と家庭を両立したいママに人気の職場です。
・訪問看護ステーション
近年注目を集めている職場です。所属する訪問看護ステーションから利用者の住む場所に出向き、医師や看護師のサポートをします。
■介護分野
・老人ホーム
高齢化社会の影響で老人ホームの数が増え、准看護師の需要も増えています。病院ではないため、入居者の健康管理が主な仕事になります。
・デイサービス
介護分野の中で働きやすさが注目されている職場です。デイサービスは利用者の望む生活をサポートするのが主な仕事です。
・訪問入浴
介護職員と一緒に利用者宅に出向き、熱や脈拍、血圧の測定などバイタルチェックをするだけでなく、入浴の補助を行うこともあります。
■その他
・保育園
夜勤がなく土日も休みのことが多いため、子供がいるママも働きやすく人気の職場です。園児の健康管理が主な仕事になります。
厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、就業場所別にみた准看護師の割合は以下の通りです。
- 病院 38.2%
- 診療所 32.2%
- 介護保険施設等 23.3%
- 社会福祉施設 3.3%
- 訪問看護ステーション 1.7%
- 市区町村 0.3%
- 事業所 0.3%
准看護師に向いている人・向いていない人
准看護師になろうか迷っている人の中には、自分が准看護師に向いているのか分からない人もいるのではないでしょうか?ここでは准看護師に向いている人と向いていない人を解説します。
■准看護師に向いている人
①責任感が強い人
准看護師は命に関わる仕事です。些細な不注意やミスが患者の命を左右することもあるため、常に最適な対応をしなければいけないという大きな責任があります。
自分に厳しく「これでいいかな」といった妥協を許さず、常に細心の注意を払う責任感の強さが必要です。
②心身共にタフな人
准看護師の仕事は夜勤などもあるため、生活が不規則になりがちです。また、患者の身の回りの世話など体力が必要なことも珍しくありません。
患者の心に寄り添うのも仕事なので、時には辛く感じることもあるでしょう。また、死に直面することも少なくないため、精神的にもタフでないと続かない仕事です。
③思いやりの気持ちが強い人
患者は、さまざまな不安を抱えています。准看護師は患者1人1人の気持ちに寄り添い、できるだけ不安を取り除いて安心して治療を受けられるようにするのも仕事です。
ただ診察や患者のケアをするだけでなく、患者と信頼関係を築いていく必要があるため、思いやりの気持ちが強い人が向いています。
④素早く適切に対応できる人
病院や配属先によっては、素早く適切な対応を要求されることも珍しくありません。
スピード感が肝心な現場で適切な対応をするのはプレッシャーもあります。その中で、迷わず素早く適切な対応を行える人は重宝されるでしょう。
⑤向上心や学ぶ姿勢がある人
医療業界は日々成長しています。ただ経験を積むだけでなく、常に新しい知識を吸収していく姿勢が必要です。したがって、向上心や学ぶ姿勢がある人が向いています。
■准看護師に向いていない人
①規則正しい生活を送りたい人
職場にもよりますが、病院で勤務する場合はシフト制で夜勤が必須なことが多いです。どうしても生活のリズムが崩れてしまうので、規則正しい生活を送りたい人には向いていません。
しかしクリニックなどであれば夜勤がないので、規則正しい生活を送れることもあります。
②血や排泄の世話に抵抗がある人
勤務先や配属先によりますが、病院などでは血を目にすることは珍しくありません。また、入院患者の排泄の世話なども准看護師の仕事です。どうしても血や排泄の世話に抵抗がある人は、勤まらない仕事でしょう。
③心身共に弱い人
准看護師の仕事は夜勤もありますし、勤務中はフル回転しているような状態が続くので、体力勝負なところがあります。
また、担当していた患者さんが全員回復して退院できるわけではありません。患者さんの死に直面することもあるでしょう。したがって、心身共にタフでないと勤まらない仕事です。
准看護師の大変なこと
①生命に係わる重要な仕事
准看護師の仕事は、人の命に係わる仕事です。些細なミスが死につながるリスクもあるため、常に責任のある適切な判断や対応が必要です。
緊張感のある中で多くの時間を過ごすため、心身共に疲労することもあります。
②看護師との差がある
基本的に准看護師と看護師の業務内容は、ほとんど変わりません。しかし看護師が所有しているのが国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県が認可した資格です。
そのため、給料や待遇面で大きな違いがあります。准看護師の平均年収は約4,100,000円で、看護師の年収は約4,700,000円なので、約600,000円もの差があります。
また、職場でのキャリアアップにも大きく影響します。職場によっては、看護師長や管理職を目指す場合は看護師の資格を有していることを条件としている場合もあります。
③女社会・縦社会
准看護師が働く職場は女社会になりやすく、縦社会でもあります。人間関係などに苦労することもあるかもしれません。
しかし同性だから分かり合えることもありますし、女性が活躍できる職場というメリットもあります。
准看護師と看護師の比較
准看護師と看護師のどちらを目指すべきか迷っている人もいるのではないでしょうか?ここでは准看護師と看護師の違いを紹介します。
仕事内容の違い
「保健師助産師看護師法」によると、准看護師と看護師の定義は以下の通りです。
【看護師の定義】
第五条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
【准看護師の定義】
第六条 この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。
(引用元:厚生労働省「保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二〇三号)」)
准看護師と看護師の業務内容は、ほとんど同じです。ただし准看護師は医師や看護師を補助するための資格を有しているという位置づけのため、医師や看護師の指示がなければ業務を行えません。
したがって、自分の判断で業務にあたることや他の看護師や准看護師に指示を出すこともできないことが大きく異なる点です。
給料の違い
総務省統計局のデータによると、准看護師の年収は4,100,000円前後、看護師の年収は4,700,000円前後が多いです。実際の年収は勤務先や夜勤の有無などによって変動しますが、約600,000円の差があります。
しかし平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況によると、女性の全国平均年収が約2,470,000円であることを考えると、どちらも高収入といえるでしょう。
(参考元
・総務省統計局「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
・厚生労働省「平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況」)
仕事の大変さの違い
准看護師と看護師の業務内容は、ほとんど同じです。しかし、准看護師が医師や看護師の指示を受けて業務を行うのに対し、看護師は医師や他の看護師の指示がなくても適切な対応が求められます。
また、看護師は他の看護師や准看護師に指示を出す立場にあります。指示の内容によっては患者の命に関わることもあるため、それだけ責任が重い立場にあります。
なり方の違い
■准看護師
准看護師になるには、次のルートがあります。
①中学卒業⇒准看護師養成学校(2年制)⇒准看護師試験⇒就職
②中学卒業⇒高等学校衛生学科(全日制3年制・定時制4年制)⇒准看護師試験⇒就職
准看護師養成学校は、中学校を卒業していれば受験資格があります。
いずれの場合も、各都道府県が行う准看護師試験に合格すれば准看護師として働けます。
■看護師
看護師になるには、主に次のルートがあります。
①中学卒業⇒5年一貫性看護高等学校(基礎科目3年・専門科目2年)⇒看護師国家試験⇒就職
②高校卒業⇒看護大学(4年制)⇒看護師国家試験⇒就職
③高校卒業⇒看護短期大学(3年制)⇒看護師国家試験⇒就職
④高校卒業⇒看護専門学校(3年制)⇒看護師国家試験⇒就職
また、准看護師から看護師になるルートもあります。
①准看護師⇒看護専門学校(2年制)⇒看護師国家試験⇒就職
②准看護師⇒看護短期大学(2年生)⇒看護師国家試験⇒就職
准看護師になるには?
看護師になるためにルートや費用、試験などについて詳しく紹介します。
准看護師になるためのルート
准看護師になる最短ルートは、准看護師養成学校に通うことです。准看護師養成学校を経て准看護師試験合格を目指す方法であれば、2年で准看護師になれます。
准看護師養学校は、准看護師試験の受験資格を得るための教育を行う養成所です。中学卒業者であれば、誰でも受験資格があります。
養成学校により入試試験内容は異なりますが、国語・作文・数学・社会・理科・英語などの数教科から出題されるのが一般的です。養成所は全国各地にあるので、興味のある人は問い合わせてみましょう。
また、養成学校には朝から夕方まで授業を行う全日制と、平日の午後や夜間に授業を行う半日制があります。自分のライフスタイルに合わせて選べる点もメリットでしょう。
(参考:日本准看護師連絡協議会「准看護師養成所一覧」)
准看護師になるための試験や資格
准看護師になるには、都道府県知事が実施している准看護師試験に合格する必要があります。准看護師試験は各都道府県で受験でき、出題内容や難易度は多少異なります。
しかし合格率は全国平均で97~98%と高いため、しっかり対策をすれば問題なく合格できるでしょう。
また、試験日が各都道府県で異なるため、同年に何回か試験を受けることも可能です。
■看護士試験について
・試験日:2月(地域によりブロック①~⑥に別れ、それぞれ異なる)
・試験地:各都道府県
・試験内容:150問(人体の仕組みと働き、食生活と栄養、薬物と看護、疾病の成り立ち、感染と予防、看護と倫理、患者の心理、保健医療福祉の仕組み、看護と法律、基礎看護、成人看護、老年看護、母子看護及び精神看護)
・受験者数:17,746人(平成29年度)
・合格率:97.5%(平成29年度)
働きながら准看護師になる方法
准看護師は、働きながらでも資格取得が可能です。働きながら准看護師になるには、准看護師養成学校に通い、准看護師試験の合格を目指すのが一般的です。
准看護師養成学校には、全日制と半日制があります。
■全日制
朝から夕方まで授業が行われますが、週3回の場合が多いです。時間的にゆとりがあるため、学校がない日は医療機関でアルバイトをすることも可能です。ただし養成学校によっては週5日の場合もあるため、事前に確認しましょう。
卒業までの期間は2年間です。2年目には病院での看護実習があります。
■半日制
平日の午後や夜間に授業が行われます。養成学校により異なりますが、週5日授業を行うところが多いです。平日の午前中や午後が空くため、仕事との両立も難しくないでしょう。
卒業までの期間は全日制と同じく2年です。
いずれの場合も、養成学校により授業のスケジュールが異なるため、授業の時間、授業内容、学費、奨学金の有無などについても確認しましょう。
准看護師になるために掛かる学費
准看護養成学校には公立や医師会立などがあり、それぞれ学費も異なります。一般的には、授業料・入学金、施設利用料・実習費を含め、2年間で1,000,000~2,000,000円と言われています。
さまざまな奨学金も利用できるため、事前に確認するのがおすすすめです。
■看護養成学校で利用できる奨学金
①都道府県・自治体の奨学金や生活扶助
看護学校に通う多くの人が利用している奨学金です。基本的に毎月の授業料程度の金額が支給されることが多いです。
卒業後に指定の病院で決められた期間勤務することで返済が免除される仕組みです。
②病院付属学校の奨学金や生活扶助
病院により詳細は異なりますが、一定期間その病院に勤務するという条件で受けられる奨学金です。
中には勤務が条件でない場合もあるため、事前に確認しましょう。
③日本学生支援機構の奨学金
上記のように返還免除はなく、卒業後に働きながら返済するタイプの奨学金です。少額からの融資も可能な場合もあります。
その他にも学費が免除になったり、複数の奨学金を同時に受けられたりすることもあるので、学校選びの際にしっかりチェックしましょう。
准看護師の給料・年収について
准看護師の給料や年収を全体・年齢・地域別にまとめました。
准看護師の全体・年齢別・地域別平均年収
■全体の平均年収
総務省統計局のデータによると、准看護師の年収は410万円前後です。
■年齢別の平均収入
総務省統計局のデータによる平均月収・賞与・年収です。
20代ではそれほど高くありませんが、年齢と共に収入が上がっていきます。
年齢 | 月収 | 賞与 | 年収 |
25~29歳 | 約230,000円 | 約440,000円 | 約3,200,000円 |
30~34歳 | 約260,000円 | 約500,000円 | 約3,620,000円 |
35~39歳 | 約260,000円 | 約620,000円 | 約3,740,000円 |
40~44歳 | 約270,000円 | 約620,000円 | 約3,860,000円 |
45~49歳 | 約290,000円 | 約670,000円 | 約4,150,000円 |
50~54歳 | 約29,000円 | 約770,000円 | 約4,250,000円 |
■地域別の平均収入
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータを元にした都道県別年収は以下の通りです。
年収が高いのは東京、静岡、神奈川で、逆に低いのが、沖縄、滋賀、熊本です。地域によりかなり差があり、一番年収が高い東京と一番低い沖縄で比較すると、1,630,000円もの差があります。
都道府県 | 年収 | 都道府県 | 年収 |
北海道 | 約4,210,000円 | 滋賀 | 約4,170,000円 |
青森 | 約3,550,000円 | 京都 | 約4,420,000円 |
岩手 | 約3,220,000円 | 大阪 | 約3,920,000円 |
宮城 | 約3,860,000円 | 兵庫 | 約4,500,000円 |
秋田 | 約4,040,000円 | 奈良 | 約4,590,000円 |
山形 | 約3,740,000円 | 和歌山 | 約4,210,000円 |
福島 | 約3,650,000円 | 鳥取 | 約3,730,000円 |
茨木 | 約4,420,000円 | 島根 | 約3,670,000円 |
栃木 | 約4,010,000円 | 岡山 | 約4,090,000円 |
群馬 | 約4,070,000円 | 広島 | 約4,000,000円 |
埼玉 | 約4,360,000円 | 山口 | 約3,850,000円 |
千葉 | 約4,530,000円 | 徳島 | 約3,710,000円 |
東京 | 約4,910,000円 | 香川 | 約3,580,000円 |
神奈川 | 約4,680,000円 | 愛媛 | 約3,690,000円 |
新潟 | 約4,310,000円 | 高知 | 約3,850,000円 |
富山 | 約4,120,000円 | 福岡 | 約3,500,000円 |
石川 | 約4,580,000円 | 佐賀 | 約3,31,000円 |
福井 | 約4,460,000円 | 長崎 | 約3,610,000円 |
山梨 | 約4,110,000円 | 熊本 | 約3,320,000円 |
長野 | 約4,280,000円 | 大分 | 約3,630,000円 |
岐阜 | 約3,900,000円 | 宮崎 | 約3,470,000円 |
静岡 | 約4,980,000円 | 鹿児島 | 約3,440,000円 |
愛知 | 約4,480,000円 | 沖縄 | 約3,280,000円 |
三重 | 約4,630,000円 |
(参考元:准看護師の都道府県別年収一覧)
准看護師の年収アップ方法
准看護師が年収を増やす方法は、いくつかあります。
■夜勤を増やす
夜勤をすると夜勤手当が付き、年収が増えます。特に新人で基本給が少ない准看護師が最も簡単に年収を上げられる方法です。
ただし、昼と夜が逆転する生活は簡単ではありません。体調には充分注意しましょう。
■年収の高い地域や病院に転職する
前述の通り、地域により年収に幅があります。東京や千葉、神奈川は年収が高い傾向にあるため、引っ越しも視野に入れて転職を考えている人は、年収の良い地域を選びましょう。
また、同地域でも勤務先により待遇が異なるため、しっかり待遇面をチェックして選ぶことが大切です。
■正看護師を目指す
准看護師と正看護師の業務内容がほぼ同じですが、月収や賞与、待遇に大きな差があります。正看護師になることで、年収アップだけでなく、キャリアアップも望めるのがメリットです。
准看護師から看護師になる一般的なルートは以下の通りです。
①准看護師⇒看護師学校養成所(2年制)⇒看護師国家試験⇒就職
*看護師学校養成所は、全日制・定時制(昼・夜)・通信制があります。通信制の場合は、7年以上の准看護師としての実務経験が必要です。
②中卒者の准看護師⇒看護専門学校(2年制)⇒看護師国家試験⇒就職
*中卒者の准看護師の場合は、3年以上の実務経験が必須です。
③高卒者の准看護師⇒看護系大学(4年)または看護系短大(2年)⇒看護師国家試験⇒就職
准看護師の将来性について
これから准看護師を目指そうとしている人は、「安定した職業なのか」という点が気になりますよね。准看護師の現状と将来についてまとめました。
現状、准看護師は安定した仕事なのか
長年、准看護師や看護師不足は社会的な問題になっています。したがって、准看護師の仕事が見つからないという状況は起こりにくく、安定した仕事といえます。
看護師・准看護師不足を解消する対策として、1992年には「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が定められました。この法律により、看護師養成所の整備・夜勤の負担軽減・看護業務改革などが行われています。
また、日本看護協会は仕事とプライベートのバランスを向上させるために、多様な雇用形態・勤務形態・勤務時間を選択できるよう働きかけています。その結果、短時間勤務でも積極的に採用する医療機関も増えています。
今後、准看護師は安定した仕事なのか
昨年の厚生労働省が発表した見通しによると、2025年には看護職員(看護師・准看護師・保険師・助産師)が約60,000~270,000人不足するとのことです。
今後高齢化がますます進むため、特に不足するのが訪問看護や介護などの利用者が多い都市部です。東京では約42,000人、大阪では約36,000人、神奈川では約32,000人が不足するとされています。
したがって准看護師は、今後も求人が増え続け安定した職業といえるでしょう。
ただし、公益社団法人「日本看護協会」では、看護師養成への一本化も検討されているのも事実です。急速な高齢化により、現場ではより自立的な判断が必要とされる傾向にあるのが大きな理由です。
今後の動向に注意して准看護師のキャリアを選ぶか決めるようにしましょう。
(参考
・厚生労働省「看護職員確保対策」
・日経新聞「看護職員、最大27万人不足 都市部で顕著、高まる需要 厚労省、2025年推計」
・公益社団体法人 日本看護協会「准看護師制度について」)
まとめ
准看護師は、今後ますます需要が増えていく職業の1つです。准看護師の資格は働きながらでも無理なく取得が可能ですし、将来的に看護師へのキャリアップも可能です。
また、年齢に関わらず長く働けるのも大きなメリットではないでしょうか。「手に職をつけたい」「安定した職業にキャリアチェンジしたい」という人は、准看護師の資格取得を検討してみましょう。