年収は、仕事を選ぶ上で欠かせないチェックポイントですよね。専門知識が必要なエンジニアは、平均年収が高い傾向にあります。実際にどの程度なのか、全国・年齢・性別・職種別に紹介します。
全国のエンジニアの平均年収
厚生労働省の「平成30年度賃金構造基本統計調査」によると、エンジニアの企業規模別の平均年収は以下の通りです。
企業規模 | 平均月給 | 平均賞与 | 平均年収 |
10人以上 | 371,800円 | 1,050,300円 | 5,511,900円 |
10人~99人 | 362,000円 | 563,100円 | 4,907,100円 |
100人~999人 | 360,100円 | 1,006,900円 | 5,328,100円 |
1,000人以上 | 392,400円 | 1,381,300円 | 6,090,100円 |
上記のデータを基にした平均年収は、5,459,300円になります。同年の正社員の平均年収は、3,239,000円のため、かなり高収入といえます。
(参考:政府統計の総合窓口e-Start「賃金構造基本統計調査」)
平均年収は、上がってる?下がってる?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータを基に、平成26年度から平成30年度までの平均年収を比較しました。
年度 | 平均月収 | 平均賞与 | 平均年収 |
平成30年 | 371,575円 | 1,000,400円 | 5,459,300円 |
平成29年 | 372,950円 | 953,625円 | 5,429,025円 |
平成28年 | 372,025円 | 1,013,250円 | 5,477,550円 |
平成27年 | 393,625円 | 1,048,025円 | 5,771,525円 |
平成26年 | 374,000円 | 896,300円 | 5,384,300円 |
平成27年の年収は、他の年度と比較して高くなっていますが、全体的に見ると、それほど動きがない傾向にあります。しかし、最新データの平成30年と前年度を比較すると、約30,000円高くなっています。
(参考:政府統計の総合窓口e-Start「賃金構造基本統計調査」)
平均年収は、これから上がる?下がる?
過去の傾向やエンジニアの将来性などから、エンジニアの年収が下がることは考えにくいでしょう。経済不況などにならない限り、安定した年収を得られると予測されています。
過去の傾向から、年収が大幅に上がることはないと思われますが、徐々に上がっていく可能性はあるでしょう。
全国のエンジニアの年齢・性別・職種別の平均年収
年齢別の平均年収
年齢 | 平均月収 | 平均賞与 | 平均年収 |
20~24歳 | 196,000円 | 784,000円 | 3,135,0000円 |
25~29歳 | 244,000円 | 976,000円 | 3,90,50000円 |
30~34歳 | 268,000円 | 1,073,000円 | 4,290,000円 |
35~39歳 | 306,000円 | 1,224,000円 | 4,895,000円 |
40~44歳 | 344,000円 | 1,375,000円 | 5,500,000円 |
45~49歳 | 385,000円 | 1,54,0000円 | 6,160,000円 |
50~54歳 | 413,000円 | 1,650,000円 | 6,600,000円 |
55~59歳 | 409,000円 | 1,630,000円 | 6,545,000円 |
60~65歳 | 278,000円 | 1,114,000円 | 4,455,000円 |
エンジニアの年収は、年齢が上がると共に、確実に上がっているのが分かります。年収が最も高いのが50歳~54歳で、6,600,000円になります。年収が最も低い20歳~24歳と比較すると、3,465,000円もの差があります。
また、50歳~54歳の年収のピークを過ぎると、年収が下がる傾向にあります。60歳~65歳では、30代の年収とほぼ同じ程度まで減少します。
(参考:平均年収.JP)
男女別の平均年収
厚生労働省の「平成30年度賃金構造基本統計調査」を基に、男女別の平均年収を紹介します。
■男性の平均年収
企業規模 | 平均給与 | 平均賞与 | 平均年収 |
10人以上 | 384,400円 | 1,090,500円 | 5,703,300円 |
10人~99人 | 369,000円 | 576,200円 | 5,004,200円 |
100人~999人 | 371,900円 | 1,044,100円 | 5,506,900円 |
1,000人以上 | 410,000円 | 1,461,900円 | 6,381,900円 |
上記のデータを基にした男性の平均年収は、5,649,075円です。
大企業の方が高年収の傾向にあります。1,000人以上の大企業と99人以下の小企業では、年収の差が約1,377,000円になり、かなり大きな差といえます。
■女性の平均年収
企業規模 | 平均給与 | 平均賞与 | 平均年収 |
10人以上 | 313,200円 | 863,500円 | 4,621,900円 |
10人~99人 | 317,600円 | 480,300円 | 4,291,500円 |
100人~999人 | 307,300円 | 840,200円 | 4,527,800円 |
1,000人以上 | 318,700円 | 1,043,900円 | 4,868,300円 |
上記のデータを基にした女性の平均年収は、4,577,375円です。
女性の企業規模別の年収の傾向は、男性の場合と異なります。1,000人以上の大企業と99人以下の小企業では、576,000円程度の差しかありません。企業規模による差は、ほとんどないといえるでしょう。
また、男女で年収に大きな差があります。女性が比較的活躍しやすい環境にある大企業でも、約1,513,600円もの年収差があります。女性の全国の平均年収と比較すると、かなり高収入になりますが、男性と同等の年収を得るのは難しいようです。
(参考:政府統計の総合窓口e-Start「賃金構造基本統計調査」)
職種・業種別の平均年収
■職種別の平均年収
職種 | 平均年収 |
プロジェクトマネージャー | 7,330,000円 |
コンサルタント・アナリスト | 6,520,000円 |
研究・テクニカルマーケティング・品質管理 | 5,790,000円 |
インフラ・基盤 | 5,750,000円 |
ネットワーク設計・構築(Web・LAN系) | 5,470,000円 |
通信インフラ設計・構築(キャリア・IPS系) | 5,430,000円 |
パッケージソフト・ミドルウェア開発 | 5,120,000円 |
システム開発(Web・オープン系) | 5,120,000円 |
社内SE | 5,100,000円 |
システム開発(汎用機系) | 5,080,000円 |
システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系) | 4,900,000円 |
運用・監視・保守・テクニカルサポート | 4,770000円 |
プロジェクトの指揮官的な役割を担うプロジェクトマネージャーになると、年収が7,000,000円を超えることも珍しくありません。また、コンサルティング会社で、専門知識を活かしてコンサルタントやアナリストとして働く人も高収入になります。
どちらも、高い専門知識だけではなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力が必要な職種です。高収入を目指すのであれば、そういったスキルも身につける必要があるでしょう。
■業種別平均年収
業種 | 平均年収 |
金融・保険 | 7,440,000円 |
外資系SIer/NIer・コンサルティング | 6,890,000円 |
総合電機メーカー | 6,600,000円 |
専門コンサルタント | 6,560,000円 |
大手SIer/NIer・コンサルティング・ベンダー | 6,500,000円 |
通信系 | 5,710,000円 |
コンピューター・通信機器・OA機器関連メーカー | 5,680,000円 |
家電・AV機器・ゲーム機器メーカー | 5,640,000円 |
インターネット関連 | 5,630,000円 |
プラント・設備メーカー | 5,480,000円 |
自動車・輸送機器メーカー | 5,400,000円 |
化学・石油・ガラス・セラミック・セメントメーカー | 5,400,000円 |
医療機器メーカー | 5,200,000円 |
半導体・電子・電気部品メーカー | 5,180,000円 |
重電・産業用電気機器メーカー | 5,160,000円 |
鉄鋼・金属メーカー | 5,090,000円 |
食料品メーカー | 4,900,000円 |
流通・小売 | 4,860,000円 |
金融・保険業界は、開発の需要や規模が大きいため、高収入を得られる業種です。ただし、金融・保険業界のシステム開発は、人々の生活と直に結びついていることが多いです。そのため、些細なミスも許されない傾向もあり、高いスキルや確実性が求められる業界でもあります。
(参考:リクナビNEXT「Tech総研」)
エンジニアで年収1000万円稼ぐルートは?
年収1000万円を稼ぐエンジニアも決して少なくありません。エンジニアで年収1000万円を目指すには、どのようなルートがあるのか、また、年収アップの方法なども紹介します。
どういったルートが最適か?
エンジニアとしての働き方には、主に2通りあります。企業で社員として働く方法とフリーランスで働く方法です。年収1000万円を狙いやすいのは、フリーランスです。ただし、まずは、企業で実務経験を積み、スキルを磨くのがおすすめです。
企業で充分な経験を積んだ後、フリーランスになるのが、最も確実で安心な方法になります。フリーランスとして仕事を得るには、仕事を紹介してくれるエージェントを利用するのが一般的です。ただし、エージェントに仲介してもらう場合は、給与から仲介料が差し引かれます。
従って、早く年収を1000万円に近づけるためには、エージェントを通さないで仕事を得られるようにすることも大切なポイントになります。企業から直接仕事を依頼してもらえるようにネットワーク作りをするなど、努力が必要でしょう。
年収アップさせる3つの方法
エンジニアとして年収をアップする方法は、いくつかあります。
①大企業に転職する
前述の通り、大企業と小企業では、年収に大きな差があります。特に男性の場合は、1,300,000円以上もの差があるため、大企業に転職することで年収アップが望めます。
また、経験を積み、プロジェクトをまとめるプロジェクトマネージャーを目指せば、さらに高収入が狙えます。
②外資系企業に転職する
外資系は、一般的に日系企業よりも年収が高い傾向にあります。従って、外資系企業に転職することで年収アップにつながることも珍しくありません。
また、日系企業では男女で年収に大きな差があることが多いですが、外資系企業では差がないことも少なくありません。従って、特に女性の場合は、外資系企業に転職することで、年収の大幅アップも実現できる可能性が高いです。
③フリーランスとして独立する
前述した通り、経験を積んでスキルを磨けば、フリーランスとして働くことも可能です。企業の一員として働くのとは違い、自分の成果がそのまま報酬につながります。従って、スキルが高い人ほど、高収入を得やすくなるでしょう。
まとめ
エンジニアは、他の業種と比較すると、かなり高収入な仕事です。また、実績を積み、スキルを磨けば、年収1000万円も目指せる数少ない仕事でもあります。
エンジニアの需要は、ますます増していくことが予測されています。安定した収入を得られるエンジニアを目指すのもよいでしょう。