IT技術の進化により、エンジニアの活躍の幅が広がっています。しかし専門的な分野のため、「具体的にどのような仕事なのか分からない」という人もいるのではないでしょうか?そこで今回は、エンジニアの仕事内容やなる方法、年収、将来性について紹介します。
エンジニアとはどんな仕事?
エンジニアの仕事は専門性が高く、女性でもスキルを磨けばキャリアップも望める仕事です。また、エンジニアは未経験から目指せる仕事でもあるため、キャリアチェンジを望んでいる人にもおすすめです。
エンジニアがどのような仕事なのか気になる人に向けて、エンジニアの仕事内容や種類について紹介します。また、エンジニアに向いている人や向いていない人、仕事をする上で大変なことについても紹介するので参考にしてくださいね。
エンジニアとは?
エンジニアと一口にいっても、実際にはさまざまな種類があります。しかし一般的には、「工学部門での専門的なスキルや能力を持つ技術者」というのが、エンジニアの定義になります。
エンジニアの仕事内容
エンジニアは、活躍の場が非常に幅広い職業です。コンピューターシステム、機械、電気、土木、農業、建築、医療などさまざまな分野に関わっています。それぞれの分野により、具体的な仕事内容も大きく異なります。
例えばシステムエンジニアの場合は、クライアントの要望に基づいてシステムを設計・構築するのが主な仕事です。また、構築したシステムを実際に運用し、定期的にメンテナンスを行うことも仕事に含まれます。
プログラマーであれば、上記のシステムを構築する部分を専門的に担当するという具合です。
このように具体的な仕事内容は異なりますが、共通している部分もあります。それは、「エンジニアは、工学のスキルや能力を活かし、より便利で快適な環境を提供するための開発を行う仕事である」という点です。
自分が設計や構築に関わったシステムが、実際に多くの人に使われ、社会の役に立っていると感じられることも少なくありません。仕事にやりがいや喜びを感じられるのも、エンジニアの仕事の大きなメリットといえるでしょう。
エンジニアの種類
エンジニアには、主に次の種類があります。
- システムエンジニア
コンピューターシステムの設計・構築・運用などを一貫して行います。
- プログラマー
システムエンジニアの設計に基づき、プログラミングを行います。
- インフラエンジニア
電気や水道などインフラに関わるネットワーク管理などを行います。
- ネットワークエンジニア
主にネットワークシステムに関する設計・構築・運用などを一貫して行います。
- セールスエンジニア
専門スキルや能力を活かして、営業活動を行うエンジニアのことです。
- Webエンジニア
Webサイトやアプリの設計・構築・運用などを行います。
- プログラマー
システムエンジニアの設計に基づき、プログラミングを行います。
その他にも、ゲームエンジニア・マークアップエンジニア・データベースエンジニア・セキュリティエンジニアなどがあります。
エンジニアに向いている人・向いていない人
エンジニアの仕事に憧れていても、人によって向き不向きがあります。自分がエンジニアに向いているのか知りたい人は、以下を参考にしましょう。
■エンジニアに向いている人は、どんな人?
①IT技術に興味がある
会社で仕事をして過ごす時間は、1日の大半を占めますよね。従って、まずIT技術に興味があることが大前提です。
特にエンジニアは、技術の進化や動向に合わせて、日々スキルアップしなければ務まりません。学ぶことや覚えなければいけないことも多々あるため、「興味がある」「もっと知りたい」という意欲がないと、辛い仕事になってしまう可能性が高いです。
②先端技術やトレンドに敏感
エンジニア業界は、最先端の技術やトレンドの移り変わりが早いです。そのため、常にアンテナを張り、国内外のエンジニア業界全般の動向に敏感な人が向いています。
また、自分で情報収集のリサーチすることも苦にならず、自主的に知識をどんどん吸収していける性格の人にもおすすめです。
③コミュニケーション能力が高い
エンジニアというと、パソコンに向かって1人で黙々と作業しているイメージがある人が多いのではないでしょうか?しかし実際には、社内だけでなく社外の人ともコミュニケーションを取る機会の多い仕事です。
エンジニアの仕事は、クライアントの要望に沿うシステムの設計や構築をすることが基本です。そのため、クライアントと打ち合わせをしたり、プレゼンテーションをしたりすることも珍しくありません。
また、エンジニアの仕事はプロジェクト単位で行われることが多いです。1つのプロジェクトには、多くの人が関わります。そのため、プロジェクトチーム内でのコミュニケーションも大切になってきます。コミュニケーション能力がないと、仕事が円滑に進まないこともあります。
④コツコツとした作業が得意
エンジニアの仕事は、細かい作業が多いです。また、1つのシステムを作り上げるのに、設計から運用までスムーズにいくことは滅多にありません。何度も試行錯誤を繰り返しながら進めていくのが一般的です。
従って、忍耐強くコツコツと作業ができる人が向いています。
④好奇心や向上心が高い
前述した通り、エンジニア業界の最新技術やトレンドは、移り変わりが早いです。そのため、新しい技術にわくわくできる好奇心が強い人が向いています。
また、「新しい知識をどんどん吸収したい」という向上心が高く、自主的に学ぶ姿勢がある人も向いています。
⑤チームワークやマメジメント能力がある
エンジニアの仕事は、コツコツとした孤独な作業が多いですが、設計から運用までの全てを1人でこなすわけではありません。
1つのプロジェクトの立ち上げから完了までには、多くの人が関わります。プロジェクトのチーム内でコミュニケーションと取りながら進めることが不可欠のため、チームワークが肝心なのです。
また、実績を積み、プロジェクトを任される立場になることもあります。プロジェクトを円滑に進めるためには、チームをまとめるマネジメント能力も必要です。
■エンジニアに向いていない人は、どんな人?
①IT技術に興味がない
IT技術に興味がない人は、エンジニアの仕事に就いても辛いと感じることが多いでしょう。エンジニアの仕事は、専門的な知識を要する上に学ぶことが多いです。エンジニアとしてキャリアアップするには、好奇心や向上心が欠かせないのです。
IT技術に興味のない人は、エンジニアの仕事に対して、好奇心や向上心を持つことは難しいですよね。従って、新しい知識をどんどん吸収している同僚が多い中で、「ついていけない」と感じることもあるでしょう。
②飽きやすくコツコツした作業が苦手
エンジニアの仕事は、初めからスムーズに進むことは稀です。試してみて、改良点を発見し、改善して試すという「トライ&エラー」の繰り返しであることが多いです。
飽きやすくコツコツした作業が苦手な人には、なかなか務まらないでしょう。
エンジニアの大変なこと
エンジニアに憧れて就職しても、大変だと感じることもあります。エンジニアの大変なことについてまとめました。
①常にスキルアップが求められる
繰り返しになりますが、エンジニア業界の最新技術やトレンドの移り変わりは早いです。そのため、動向に合わせて自らもスキルアップする必要があります。学ばなければならないことが多々あり、時には勤務時間外にも自主的に時間を作って学ぶ必要も出てきます。
エンジニアの仕事が好きで、好奇心や向上心がある人でも、トレンドの移り変わりの早さや学ぶことが多々ある状況にプレッシャーやストレスを感じることもあるようです。
実際に「仕事についていけない」「スキル不足だと感じる」といったことで、退職をする人もいます。
②クライアントと向き合う必要がある
会社に属するエンジニアは、自分のアイデアを形にする発明家とは異なります。クライアントの要望に沿う設計や構築を行うのが、組織内でのエンジニアの仕事です。そのため、クライアントと常に向き合い、満足のいく物を作り上げる必要があるのです。
クライアントの中には、IT技術に関する知識がほとんどない人も珍しくありません。分かりやすく説明したつもりでも話が通じないこともあり、コミュニケーションの面で苦労することもあります。
また、良いクライアントもいれば、そうでないクライアントもいるのが現状です。時には無理難題を押しつけらえたり、理不尽な対応をされたりすることもあります。
③人間関係の悩みが多い
エンジニアの仕事は、チームでこなすプロジェクトに関わることが多いです。自分一人で進められるわけではなく、チームのメンバーと連携して進めていく必要があります。つまり、コミュニケーションが必須なのです。人と接する機会が増えれば増えるほど、人間関係の悩みも出てきます。
また、「同僚が仕事を完了しないと自分が進められない」「上司からのフィードバック待ち」といった状況に置かれ、フラストレーションが溜まることもあります。
エンジニアになるには?
エンジニアになるための具体的なルートについて紹介します。
エンジニアになるためのルート
エンジニアになるための主なルートは、次の4つです。
■大学院・大学・短大・専門学校(情報工学・電子工学・機械工学など)⇒就職・転職
多くのエンジニアは、大学・短大・専門学校を卒業しています。また、大手企業のエンジニアになると、大学や大学院を卒業している人の割合が増えます。
また、専門学校では、大学や短大よりもより実践的なスキルを身に付けられる傾向にあります。エンジニアに関連した資格の取得も目指す授業が受けられるのもメリットです。
しかし近年は、学歴よりも実際のスキルや能力が重視される傾向にあるようです。
■スクールで学ぶ⇒就職・転職
スクールに通って、必要な知識やスキルを身に付ける方法もあります。大学や短大と違って学位は得られませんが、通いやすいのがメリットです。
エンジニアの需要増加に伴い、スクールの数も増えています。また、仕事をしながら通えるように、夕方や週末に授業を設けているスクールや、オンラインコースがあるスクールも珍しくありません。
■独学⇒就職・転職
エンジニアになるには、独学という選択肢もあります。書店では、専門的な参考書が数多く手に入ります。また、近年はネットでも膨大な情報が入手できますよね。
独学は、意欲さえあれば、最も低予算で必要なスキルを習得できる方法です。ただし、エンジニアとして必要なスキルや知識は幅広いため、根気よく続けられるかがポイントになります。
最短でエンジニアになる方法
エンジニアになるために必要な資格はありません。従って、未経験者でもエンジニアを目指せます。実際に、未経験者でも応募できる求人もあります。しかし、これは新卒の場合に限ってのことになります。
中途採用の場合は、経験者が求められるため、未経験で転職するのは難しいでしょう。働きながらエンジニアを目指すには、スクールで必要なスキルを身に付けるのが最も早く、確実な方法です。
エンジニアになるための試験や資格
エンジニアになるために必要な資格はありません。しかし、以下の資格を持っていると転職やキャリアアップに有利になることもあります。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- システムアーキテクト試験
いずれも国家試験のため、自分のスキルや能力を証明できます。特に情報処理技術者試験は、転職の際に聞かれることも多い資格です。
エンジニアになるために掛かる費用
未経験で就職し、職場で経験を積みながらエンジニアになる場合は、費用は掛かりません。しかし大学や短大、専門学校、スクールなどで学ぶ方法の場合は、費用として学費が掛かります。
どのルートを選ぶかにより、掛かる費用は異なります。それぞれの目安は以下の通りです。
- 大学:2,500,000円前後(国立)、4,000,000円~6,000,000円前後(私立)
- 短大:2,000,000円~3,000,000円前後
- 専門学校:2,500,000円前後(2年制)、4,500,000円前後(4年制)
- スクール:550,000円前後
- 独学:10,000円前後(書籍代など)
エンジニアの給料・年収について
専門的なスキルや能力を要するエンジニアは、給料や年収が高いことで知られています。エンジニアの実際の給料や年収を紹介します。
全国のエンジニアの平均年収
厚生労働省の「平成30年度賃金構造基本統計調査」によると、エンジニア(女性のみ)の企業規模別の平均年収は以下の通りです。
企業規模 | 月給 | 賞与 | 年収 |
10人以上 | 313,200円 | 863,200円 | 4,621,600円 |
10人~99人 | 317,600円 | 480,300円 | 4,291,500円 |
100人~999人 | 307,300円 | 840,200円 | 4,527,800円 |
1,000人以上 | 318,700円 | 1,043,900円 | 4,868,300円 |
上記のデータを基にした平均年収は、4,577,300円になります。全国の女性の平均年収は約2,470,000円のため、エンジニアはかなり高収入の職業です。
(参考:政府統計の総合窓口e-Start「賃金構造基本統計調査」)
エンジニアの将来性について
就職や転職をする上で、仕事の現状や将来性は気になる部分ですよね。エンジニアは、おすすめの仕事なのか紹介します。
現状、エンジニアは安定した仕事なのか
現在は、あらゆるものがコンピューター化され、IT社会といわれています。従って、エンジニアは、人々の社会や生活に必要不可欠な存在です。
しかし、少子化の影響などもあり、需要に人材が追い付いていないが現状です。そのため、未経験者でも積極的に採用し育てることをいとわない企業も少なくありません。
常に人手不足という状況は、エンジニアを目指す人にとって非常に有利です。「売り手市場である」といえるため、エンジニアは安定した仕事といえます。
将来、エンジニアは安定した仕事なのか
IT業界は、今後も益々進化し続けていくことが予測されています。そのため、エンジニアの仕事が見つからないという状況は考えにくく、将来的にも安定した仕事といえます。
特にAI(人工知能)など、将来的に需要が拡大されることが予測されている分野がおすすめです。AIに関する先端技術のスキルや能力があるエンジニアになれば、多くの企業から仕事のオファーが舞い込むことや高収入も期待できるでしょう。
しかし、AIなどの技術が進化することで、エンジニアの仕事が奪われる可能性もあります。特に単調な業務などは、AIで代用される可能性があります。そのため、AIでは代用できないマネジメント能力やコミュケーション能力などを身に付けておくことも大切です。
まとめ
エンジニアになるのに必要な資格がないため、未経験からでも目指せます。エンジニアになるために必要なスキルや知識は、スクールや独学でも学べるため、転職を目指す人にもおすすめです。
また、エンジニアの仕事の需要は高く、将来的にも安定した職業です。