経理職は会社の財務状況を管理し、運営を支える為に重要なポジションです。「求人広告でよく見かける業種だけど専門性が高いイメージがあって手を出しにくい・・・」なんて人も多いのではないでしょうか。しかし、経理の求人広告には未経験者でも応募可能なものが多数存在しています。今回は未経験から経理を目指す方の為に経理についての基礎知識や採用試験時にアピール出来るポイント、就業を見据えて身につけておくべきスキルをご紹介します。
経理とはどのような仕事?会社にとってとても重要
経理の仕事とは大まかに言えば「会社で動いているお金の記録・管理」という事になります。一つの企業の中でも従業員への給与支払いや備品の購入・維持費、取引先への入出金など様々なお金の用途があるので、それらを統括して管理し会社の運営を下支えしているのです。今や「強い企業を作る上で優秀な経理は欠かせない」とまで言われる事のあるポジションとなっています。そんな経理職の主な業務を6項目に分けて見てみましょう。
仕訳
「資産、負債、資本、費用、収益」と言う5つの項目の動向を勘定科目と呼ばれる項目を用いて記録するのが仕訳と呼ばれる業務です。
勘定科目とは家計簿で言う所の「食費、光熱費、交際費」などの内訳にあたるもので、企業が財務諸表をつける際に「何の為に、いくら使ったか」を記録する為に使用する項目です。「現金」「売掛金」「買掛金」などをはじめとして勘定科目には数百種類のものが存在しおり、企業によって使用する科目が異なるので職場毎に覚える必要がある事に留意しておきましょう。
仕訳には左側に記載する「借方」と右側に記載する「貸方」があり、「資産、費用」は借方へ、「負債、資本、収益」は貸方へ記帳していくという決まりがあります。仕訳はお金の用途や出納の流れを記録する基本的かつ重要な業務と言えるでしょう。計算項目が多く時間短縮や管理のし易さから会計ソフトを用いている企業が主流です。
債権債務処理
売掛金や受取手形などを含む取引相手からの支払われるべき未回収金の事を「債権」、逆に買掛金や支払手形など自分の企業が取引相手に支払うべきお金の事を「債務」と呼びます。この「債権と債務」の管理と事務処理事を行う事も経理の重要な業務の一つです。
外部へのお金の流れが絡む事が多い事から、場合によっては社内の営業担当者と連携を取りながら業務にあたる場合もあります。特に取引相手への支払いは滞ってしまうと信頼関係に影響を及ぼし、最悪今後の取引が無くなってしまう可能性もあるので注意が必要です。
税務処理
経理職では所属企業の確定申告や各種法人税を納付処理も行います。税金にはそれぞれ納付期限が定められており、期限を過ぎてしまうと延滞納付金を加算して支払わなければなりません。たかが延滞金と言えども個人レベルとは規模が異なりますし、それがいくつも重なってしまうと不要な出費で会社の財務状況を圧迫してしまう事にもなり兼ねないでしょう。支払い期日の確認は税務処理における基本であり重要事項です。
日常業務
未経験から経理職に就いた場合、まずは日常業務から始めて仕事に慣れていくのが一般的です。経理が毎日の就業で行う業務には以下の様なものが挙げられます。
- 現金の入金や出金、銀行振り込みの有無、預金などの管理
- 交通費や必要経費など従業員が立て替えたお金の清算、仮払金の払い出し業務
- 会社で使用している経理システムへの金額入力
- 注文の受注、商品や備品の発注、在庫の管理
- 取引を行った証明書として伝票を起こす
- 取引を行う際、相手方が信用出来るかどうかを審査する「与信確認」
- 新規の取引先が出来た場合、情報の登録を行う
日々行われる取引の処理や現金出納の管理が主な業務内容となっています。膨大な量の数字を間違える事無く入力したり書類を迅速かつ適切に処理したりするなど、経理職の基本がここで養われる事になるのです。
月次業務
日常業務に慣れてきた頃から、月に一度行う「月次業務」を任される事が多くなるでしょう。月次業務では日常業務に比べて大きくお金が動く項目が増えて来ます。
- 従業員への給与計算と支払い処理
- 取引先への支払い、取引先からの入金管理
- 各種請求書の発行
- 取引に関する未収入金である「売掛金」の管理
- その月毎の収支、損失、利益を明らかにする「月次決算」
月次決算という業務では一ヶ月分の仕訳内容をまとめて数値化します。資産・負債・資本の3つをまとめた「貸借対照表」、費用と収益を掲載した「損益計算書」、主に現金や預金の動向を見る事が出来る「キャッシュフロー計算書」の3点が主な月次処理のコンテンツです。
年次処理
年次処理では年間の経理事務の総仕上げとして関連企業や外部に関わる業務を行います。
- 年次決算(年間の仕訳を集約したもの)
- 親会社、子会社、関連企業などの会計を全て加算した上で行う「連結決算」
- 各種税務申告
- 開示資料作成(会社の業務内容や営業状況、財務状況を年度毎にまとめた外部公開向けの資料)
年次決算にもなると多数の企業を絡めた決算業務を行う事となり、より慎重で正確な計算を求められる事になります。外部や関連企業の従業員とも連携して作業を行う事も多い為、コミュニケーション能力やフットワークの軽さも求められるでしょう。
株式一部、二部上場の企業や大手になればなるほど各業務で扱う金額の大きさや取引先の数、営業所や支店の数が増えて内容が複雑化します。よって大企業では経理、決算、税務など細かくセクションに分けて専門的に業務にあたるケースが多いです。新興ベンチャーや中小企業の場合は少数構成の経理部が広く分野をカバーする事が多く、一人一人がより幅広い業務の知識が求められる事になります。より専門的に業務に向き合いたいか、幅広く財務に関するノウハウを身に付けたいかで志望先の企業規模も変わると言って良いでしょう。