一人で仕事を進めていくことはできません。自分以外の人と協調して仕事をするためには、コミュニケーションスキルが欠かせません。ここではビジネスの場において必要とされるコミュニケーションスキルについて解説しています。スムーズな仕事を実現するためにもぜひ参考にしてみてください。
コミュニケーションスキルとはどんな能力?
コミュニケーションとは、人と人が双方向で考えを伝えあい、理解し合うことです。日常的に行っている会話を思い返してみてください。「上手く意思疎通ができたな」と思うときは、相手の言っていることを理解したと同時に、自分の言っていることもうまく伝わったと感じているはずです。つまりコミュニケーションスキルとは、相手を理解すると同時に、相手に理解してもらう能力だと言うことができるのです。
よくコミュニケーションスキルを伸ばすために話し方を上達させようとする人がいます。確かに話す技術を高めることは大切ですが、話がうまいだけではコミュニケーションスキルが伸びる訳ではありません。話す能力と聴く能力、その両方が合わさって初めてコミュニケーションスキルが高いと言えるのです。
言語と非言語をフル活用して伝える
コミュニケーションは言語と非言語の2種類に分けることができます。言語コミュニケーションは言うまでもなく口から放つ言葉によるものです。手紙やメールによるコミュニケーションもこちらに含まれます。対して非言語コミュニケーションとは、言葉以外の身振りや表情で行うものを言います。
話す能力を高めたいなら、必要に応じてこれらを使い分けたり、合わせて使ったりする必要があります。ビジネスにおける言語コミュニケーションでは、分かりやすく、具体的に、かつ簡潔に話すことが基本となります。また、話の内容だけではなく、言葉選びにも注意しましょう。正しい日本語を話せることは大前提ですが、その上で相手に合わせて理解できる言語を正しく選択することが必要になってくるのです。
非言語コミュニケーションは、表情や目の動きといった視覚的な要素や、声のトーンや高低などの聴覚的な要素、身振り手振りと言った身体感覚的要素など、さまざまな要素で成り立っています。これらも上手く活用していくことが大切です。例えば相手と意識的に同じリズムで話すと、会話をスムーズに進めることができます。
聴く力とくみ取る力が大事
話を聞く能力では、相手の心に寄り添って聞き取ることが大切になります。
まずは聞くときの姿勢を整えましょう。スマートフォンを触ったり、作業をしたりしながらではどうしても注意力は散漫になり、相手の話をきちんと聞くことが出来なくなります。相手も「ちゃんと聞いていないな」と感じ、いい気持ちはしないものです。一旦手を止め、相手と目を合わせて会話しましょう。相槌を打つのも有効です。ちゃんと聞いていますよ、というサインになります。
状況に合わせて質問することも役に立ちます。適切な質問はより相手の言葉を引き出すことができ、相手との距離感も縮まっていきます。
相手が話しやすいようにすることも重要です。相手の話が繰り返しになったとしても遮らず、話の腰を折らないようにしましょう。相手を否定したり、無暗にアドバイスをするのも良くありません。聞き役に徹するくらいの気持ちで相手の言葉に耳を傾けましょう。
相手の非言語部分を読み取ることも重要です。声のトーンや目の動き、身振りなど、言葉以外の部分に気を向けることも必要なスキルです。
コミュニケーションスキルの種類
コミュニケーションに役立つスキルにはいろいろなものがあります。例として一部をチェックしてみましょう。
プレゼンテーションスキルは、理路整然と分かりやすく説明するためのスキルです。会話が右往左往しては聞き手が混乱してしまいます。論理的に、かつコンセプトやターゲットを明確にすることで、内容を適切に伝えます。
傾聴力は、簡単に言うと相手の話を聞く技術のことです。聞いていればいい訳ではなく、相手が話しやすいように上手く受け答えをする必要があります。
質問スキルは、その段階や目的に適した質問を投げかける技術です。意見を引き出したいなら広げる質問を、決断するときは絞り込む質問を、と場に応じた質問は円滑にコミュニケーションを進める鍵となります。
キャリブレーションは、相手の心の状態を認識するためのスキルです。相手が無意識に行っている目の動きや声の大きさ、ジェスチャーを観察し、相手がどんな気持ちなのかを読み取ります。
アサーションは、相手の考えを尊重しながら自分の主張を行うコミュニケーションスキルです。相手をやり込めたり自分を抑え込むのではなく、自分の気持ちを言葉で表現しながら考えを伝えます。
4つの段階を意識する
人とのコミュニケーションは、お互いの信頼関係を土台に成り立っています。コミュニケーションスキルを磨くときは、信頼関係の4段階を意識し、その段階に合わせたスキルを活かすようにすることが欠かせません。
4つの段階はそれぞれ「信頼の段階」「傾聴の段階」「伝える段階」「相互理解の段階」です。
コミュニケーションのスタートラインは信頼の段階です。まずは信頼関係を築かなければならないため、ミラーリングやペーシングが有効となっています。
信頼関係は築かれたものの、まだスムーズにコミュニケーションが取れていないのが2つめの傾聴の段階です。相手の意思を正確に受け取るための傾聴スキルやバックトラッキングを活用していきましょう。
そこから1歩進んだ伝える段階では、相手の理解に合わせて伝えるスキルを活用していきます。結論や目的を明確にし、5W1Hをしっかり伝えていきましょう。
相互理解の段階になると、相手の言葉以外のメッセージも汲み取ることが必要になります。相手の立場になって考えることが重要になってくるので、ポジションチェンジやメタモデルが有効です。