危機管理に必要なスキルを得て問題解決力を高めよう




あなたは、「危機管理スキル」と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょう。危機を事前に察知して管理する「問題発見力」は、ビジネスパーソンとして実績を残すために大事なことです。

ここでは、危機管理のために必須のスキル「問題発見力」を磨くための方法を紹介します。

危機管理能力とは?意味を解説

そもそも、危機管理能力とは何なのでしょうか。危機管理能力とは、端的に言えば「何かしらの危機(トラブル)が起こった際、被害を最小限に抑える能力」のことです。

経験のある方もいるかもしれませんが、何らかのトラブルが起こった時、トラブル自体はそれほど大きなものではなかったのに、対応が悪いせいで被害が拡大してしまうことがあります。ひどいときは、二次被害が起こることも。芸能人の不倫報道があって、それに対する対応などもこれに近いですね。

危機が起こった時は、さっとスマートに対処し、素早く解決させるのが一番です。それができるようになるのが、危機管理能力スキルを高めるということなのです。

「危機管理能力」と「リスク管理能力」の違い

「危機管理能力」と「リスク管理能力」は、似ているようですが少し違う能力のことを指しています。危機が起こる前のリスク管理能力と危機が起こった後の危機管理能力は、全く別物ではなく、とても密接に繋がっているのです。

  • 危機管理能力:起きてしまった危機にどう対処するか
  • リスク管理能力:起きていない危機を予想して何を準備するべきか

これを混同してしまうと、誤った認識で話を進めてしまうかもしれませんので、注意をしましょう。

危機管理能力の低い人の特徴

実は、どんな人でも危機管理能力を大なり小なり持っています。しかし、いざ危機が起こった時にどのように対処するかは人それぞれ違います。つまり、その能力の高さには個人差が大きいのです。ここでは、危機管理能力の低い人の特徴を紹介します。

特徴1. 計画性が欠如して行き当たりばったりで行動している

危機管理能力が低い人は、計画ではなく気分を優先して行き当たりばっかりで行動してしまいがちです。

物事をスムーズに運ぶためには、ある程度の計画をたてないといけないですよね。分かりやすい例でいえば、夏休みの宿題です。夏休みギリギリに一気に宿題をやればいいと思っている人は、危機管理能力が低い人といえるでしょう。

特徴2. 知識・経験不足でリスク想定ができない

知識や経験は、この後どのようなことが起こるのかを予測する大きな助けとなってくれます。しかし、知識や経験が足りない場合、何か危機が発生した時に先の事が予測できないため、どう対処したら良いか分からないのです。

特に新人が「危機管理能力が足りない」と言われるのは、これが原因です。ただ、経験はカバーできませんが、知識は自分自身の勉強次第でカバーできる部分なのです。

特徴3. 時間管理ができていない

時間管理も危機管理の大切なポイントです。いつも時間ギリギリになってしまったり、遅刻してきたりする人は、危機管理能力が足りない人です。

特徴1にも通じますが、危機管理能力は、「余裕を持って行動できるか?」というスキルも含まれています。起きる時間・朝ご飯の時間・身支度の時間のような準備時間や、駅までの時間や電車がもし遅れた時のための余裕など、時間管理は細かく見ていくと、多くの「遅れるリスク」が隠れています。

それを事前に予想できないということは、危機管理能力が低いということなのです。

特徴4. 問題を危機だと認識できないタイプ

起きてしまった問題に対して、きちんと「危機」「トラブル」だと認識できないタイプは、非常に厄介です。なぜ厄介かといえば、このタイプの人に対して周りがどんなに騒いでも鈍感なので、対処しようとしないのです。

最終的に危機に対して適切に対処できないだけでなく、周囲の人が尻拭いをしなくてはならず、被害を大きくしてしまう場合もあります。もし自分がこのタイプだと感じるのならば、大いに注意が必要です。

特徴5. すでにキャパシティーがオーバーしている

頼まれた事に嫌といえないタイプも、危機管理スキルが低いと言えます。優しいというのもありますが、それ以上に常に自分の出来る量以上の仕事を引き受けているため、何かのトラブルが起こった時にパニックになってしまいやすいのです。

問題が発見できない理由

危機管理スキルがないばかりに問題の発見が遅れて、修復不可能な事態に追い込まれることは少なくありません。ビジネスシーンでも、じつは友人関係のようなプライベートでも、身に覚えのある人も多いはずです。では、どうして私たちは問題を見逃してしまうのでしょうか?

問題が発見できない理由1.「失敗への恐れ」

トラブルを見つけた時、だれしも「失敗するかも」という恐怖を感じてしまうものです。私たちは、失敗に対して非常にネガティブな印象を持ってしまいがちです。失敗することで、批判を受けるのではないか、悪い評価、不利益がついてしまうのではないかと怖がるのです。これは、当然の感情です。

こういった恐怖心を抱くと無意識的に「見なかったことにしよう」と問題をスルーしてしまいます。それが、のちに「大きなトラブル」となって帰ってくることは、意識的に考えないようにしているわけです。

問題が発見できない理由2.「組織の複雑性」

組織が複雑になればなるほどに、情報共有を全社で行うことは難しくなります。ある部署で何らかのトラブルが起こったとしても、それはほかの部署に共有されることは稀です。そして、いずれそのトラブルが肥大化していき、重大な「危機」へと成長してしまうのです。

問題が発見できない理由3.「フィルタリング」

フィルタリングとは、部下や秘書によるあえての情報操作のことです。これは、なにも悪意があってやっているわけではありません。彼らは往々にして優秀な人材であり、上司の手を余計な仕事で煩わせないようにするため、常日頃から情報をフィルタリングしてくれているのです。

しかし、時折このフィルタリングによって重要な情報が弾かれてしまうと、リーダーが危機に気づけず、当然リスク回避もできなくなります。

この問題を解消するためには、リーダーはフィルタリングを介さず、直接「生の情報」に触れなければなりません。ただ、すべての情報をリーダーが確認するのは無駄も含まれてしまいます。補佐役の部下や秘書に、リーダーから情報提供を求められた人が行うフィルタリングは受け取りつつ、リーダー自らが積極的に情報を集めに行く必要があります。

フィルタリングをする人たちは基本的に善意でフィルターをかけています。それはもちろん責められるべきことではありません。しかし時としてそれが問題発見を難しくすることを、リーダーは知っておくべきでしょう。

問題が発見できない理由4.「直観不足」

直感不足が問題を発見できない理由というと、よくわからない方も多いかと思います。仕事において、すべてを直感で行う人はいないでしょう。もちろん、知性的で客観的な分析は重要です。しかし時と場合によっては(特に現場トラブルなどでは)、経験に基づいた直観の方が正しい場合が多いのです。

そして、その直感のおかげで、早期に問題を発見できたりもします。客観的な分析が直観に追いついた頃にはもう手遅れになっていることも、実は日常でよく怒っているのです。

問題が発見できない理由5.「問題発見力が欠けている」

上記でフィルタリングについて解説しましたが、いくらリーダーが生の情報を取りに来たとしても体も思考も一つです。リーダーが全ての問題の兆候を発見できるわけではありません。

だからこそ、組織のメンバーを教育し、全体の危機管理スキルを磨いていなければなりません。でなければ、万全な危機管理の実現は難しいでしょう。

「パターン発見力」を得ることで危機管理スキルを磨ける

問題が発見できない理由4で「直観不足」を挙げましたが、この「直感不足」を解消してくれるのが、パターン発見力です。

ここでいうパターンとは「結果」と「その結果を導くための一定条件の組み合わせ」のことを指しています。これを身に着ければ、直観的に問題を発見し、対応できるようになっていくはずです。

むしろ、このパターン発見力が低いと、客観的な分析を待たねばならなくなります。その分判断スピードが遅くなってしまいますので、トラブルに対応している間に新たな問題を生んでしまうこともあります。

1.「既知」「不明瞭」「推定」を区別して判断する

パターン発見力は、直感、つまり「この状況はあの時と似ている」という類推が的中した時に効果を発揮します。ですが、この「似ている」が、判断を誤らせてしまう可能性があるのです。それを防ぐために、以下の3つをはっきり区別しなければなりません。

  • 「既知のこと」:知っていること。過去に起こったこと。
  • 「不明瞭なこと」:知っているような気がすること。なんとなく、過去に合ったような気がすること。
  • 「推定したこと」:おそらく過去にあったことと同じだろうと推測すること。

この3つのうちのどこに当てはまるかを考え、そこから改めて類推をする習慣をつけていきましょう。すると、徐々にパターン発見力の精度が上がり、意思決定までのスピードも向上していきます。

2.データ化によってパターン分析を行う

これはトラブルが起こってからの話なのですが、なにかの危機が起こった時、大きな問題はもちろん小さな問題でも、必ず客観的にパターンを分析するためのデータを取っておいてください。個人レベルで行うよりも、全社化して組織レベルで実践するのがおすすめです。

そうすることで、多くの部署からのデータが集まり、パターン発見力の精度向上につながります。仕事の進捗状況に加えて直面している問題・問題解決計画をレポートに記載させ、社内に共有させるのが最も手っ取り早い導入方法でしょう。

何のどこを見て、どのようなパターンを発見し、どんな判断を下したのか、これらをできるだけ具体的に、詳細に言語化させてください。すると、高いパターン発見力を持っている人の思考が分かります。そこから、危機管理スキルが低い人や若手が学ぶことができます。

ちなみに、この作業は高いパターン発見力を持っている人自身のスキルアップにもつながります。

危機管理スキルを鍛えよう

危機管理スキルは、素質はともかくそれを伸ばすためには一長一短の努力ではできません。個人・組織ともに多くの時間と労力を割く必要があります。しかし、危機管理スキルを身に着けられれば、重大な危機を回避できるようになるだけでなく、悪い状況になった場合、突破口が見つかるはずです。

問題を発見するまでには多くの障害が立ちはだかっています。これらを一つずつ解決する力だけでなく、まずは根本となる危機管理スキルを鍛えていきましょう。

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RUN-WAY編集部

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