営業シーンで相手と交渉をするとき、どうしても「あと一歩」が届かなくて困ることはありませんか。
もしかしたら、あなたに足りていないのは「言い換え」のテクニックかもしれません。相手の心をつかみ取って、魅力的な交渉術ができるためのヒントを、ここでは紹介していこうと思います。
強調したいポイントにフォーカスを当てて
言い換えのテクニックの一つ目は、相手の「ほしいな」と思う部分にフォーカスを当て、強調して話すことです。
もちろん、仕事の上で嘘は言ってはいけません。誇大表現もよくありません。ですが、「強調」ならばOKなのです。
例を挙げてみます。
「セールになっているコートがほしい」と思っている人がいるとします。
店員さんから「それ、今安いんですよ~」と言われ、お客様が迷うそぶりを見せたら、お客様はどうして悩んでいるのかを考えます。
「安い」というところを強調してみた結果、そこを思い悩んでいるのではないとすれば、そのコートの「柄」「色」「形」「流行り」など、別のところを悩んでいると推察できます。
「今回初めて出た形で、色も鮮やかですし、お客様によくお似合いだと思いますよ。よかったら羽織ってみませんか?」
こんなふうに聞いてみると、先ほどの「安さ」とは違う箇所を強調していることになります。同じ商品の紹介なのに、全く違った宣伝文句になりますよね。
これが、協調箇所の「言い換え」なのです。
褒めるときは「客観的視点」を含めて
誉めるというのは、相手をいい気分にさせる最も簡単な手段と言えます。その褒め方にも、交渉力UPのテクニックが隠れています。
例えば、誰かが優秀である、ということを褒めたいとします。
「○○さんは本当に優秀ですよね」と言うと、あなた一人の視点での物事になり、うれしいことは嬉しいでしょうが、これは言い換えでさらに効果が期待できます。
「○○さんが優秀だと、うちの社内で皆言っているんですよ」
こんなふうに言うと、あなた一人の視点だけではなく、「いろいろな人からの評価」が加わっているのがさりげなく伝わります。だからこそ、相手も「なら、期待に応えよう」という気分になってくれるのです。
「数字」を出すときは、可視化しやすいように
締め切りのある仕事を抱えていて、相手を急かすときや、何かの本番が決まっているのになかなか準備が進まないときはこの交渉術を使います。これは私もよく使う手なのですが、相手への効果が高いだけなく自分のやる気にもなるので、お勧めです。
仮に締め切りが「2カ月先」の仕事があり、週に1日、その仕事に専念できる日があるとします。2か月もあると、長いように思えますよね。ずいぶん先のことのようです。
そこで、数字を提示します。
「2か月後に締め切りなんですよ、急ぎましょう」
というよりも、
「あと8回しかこの仕事に取り掛かれないんですよ、急ぎましょう」
と言われた方が、心が焦りませんか。相手のことを急かせるだけでなく、自分も「そうだ、あと8回しかない」と自認できるのです。
交渉力は「言い換え」で成功率アップ!
いかがでしたか。どの交渉術も、相手の心をつかむための一工夫です。仕事の時だけではなく、友人と話していて何かを頼みたいときや、恋人にお願いする時にも有効な「言い換え」テクニック。是非身につけて、有効活用してみてください。