ピアソラが見たタンゴの変遷【ヴァイオリニスト/月元ハルカさん】

月元悠




3.「Nightclub1960」


ナイトクラブ1960。この年代は世界の音楽がまた一新された年代でもあり、人々はナイトクラブに集いました。タンゴ界にも新しい風が吹いてきたのがわかります。とてもキレのあるリズムが特徴的です。

4.「Concert d’aujourd’hui」


日本語訳は〈現代のコンサート〉。ピアソラから見た現代のコンサートが映し出されています。クラシック現代音楽の作曲家がイメージできるモチーフが織り込まれています。ピアソラ曰く「これは現在、そして将来のタンゴだ」であり、これからのタンゴを意識して作られたようです。

いかがだったでしょうか?
時代の背景が音楽に見事に反映されていますよね。
全曲通して聴くとピアソラ独自のタンゴと言われる所以がわかる気がします。
本来はフルートとギターのための作品ですが、筆者はヴァイオリンとピアノで演奏したことがあります。弦楽器で演奏するときは指示されている特殊技法が面白いのです。他にも違う楽器で聴き比べるのも楽しいと思います。
次回もお楽しみに!

<プロフィール>
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。