《四季》について
《和声と創意への試み》という12曲のヴァイオリン協奏曲集のうちに第1曲から第4曲までを「春」「夏」「秋」「冬」とつけました。四季という副題はヴィヴァルディ命名ではありません。
またこれは、ソネットという14行詩が付いており、(ちなみに作者不明なのだそうです。)この詩に忠実に音楽がつけられているのです。
協奏曲第1番ホ長調RV.269《春》(La Primavera)
第1楽章
春がやってきた。楽しげに。小鳥は幸せに満ちた歌を歌い、喜んで春を迎える。泉はそよ風に誘われて、甘いせせらぎの音を立てる。そのうちに空は黒雲に包まれ、稲妻が轟き、雷鳴が春の到来を告げる。やがて嵐は去り、小鳥は再び、喜びの歌声を上げる。
第2楽章
花が咲き誇る牧場では、木の葉が優しいざわめきを子守唄に、羊飼いが犬を脇にはべらせ、まどろんでいる。
第3楽章
妖精も牧童たちも、素晴らしく晴れ渡った春の日差しの中でバグパイプに合わせて踊りだす。
協奏曲第2番ト短調RV.315《夏》(L’Estate)
第1楽章
焼け付く太陽の季節に人々は疲れ、家畜は疲れ、松も枯れる。しかしカッコウが鳴き始め、山鳩とガルデリーノの歌が聞こえる。涼風は爽やかに吹くが、北からの冷たい風が襲いかかり、牧童を困らせる。にわか雨を降らせて。
第2楽章
恐れと不安に牧童は疲れ果て、稲妻は走り雷雨は轟き、蠅が群をなして荒れ狂う!
第3楽章
ああ、まこと恐るべき雷雨と落雷、それは麦の穂を打ち折り、穀物を打ち倒す。
いかがだったでしょうか?
ソネットと楽曲の両方から情景を汲み取れて、自分が感じている季節とは少し違ったような雰囲気を味わえたのではないでしょうか。イタリアの夏はさぞかし暑かったのでしょうね…!
それでは次回もお楽しみに!
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。