アドラー心理学とは?
アドラー心理学というのは、アルフレッド・アドラーというオーストリアの精神科医が提唱した心理学で、「個人心理学」が正しい名前です。
しかし、「個人心理学」という名前は本当にアルフレッド・アドラーが意図していた意味合いが伝わらないため、日本では圧倒的にアドラー心理学といわれることが多くあります。
アドラー心理学を理解するためには、特徴について知ることが大切です。
ここでは、アドラー心理学の特徴についてご紹介します。
アドラー心理学の特徴は、「一人では人は生きていけないものである」として、人とその人を取り巻いている人の関係まで考慮していることです。
心理学の世界では、最近、環境と人との関係性を考慮したコミュニティ心理学が着目されていますが、このコミュニティ心理学の走りにもアドラー心理学はなっています。
例えば、立教大学の箕口氏は、コミュニティ心理学とアドラー心理学の共通点に早くから着目して研究しています。
では、「一人では人は生きていけないものである」ことをアドラー心理学が前提としているにも関わらず、「個人心理学」というような名前をどうしてつけたのでしょうか?
「個人心理学」は、「Individual psychology」と英語ではいいます。
この「Individual」は、「in(not)」(~ではない)に「devisible」(わけられる)をプラスしたものであるため、何からもわけることができないものとして人を捉えようとして、アルフレッド・アドラーは「Individual psychology」と自分の心理学を名付けました。
しかし、「Individual psychology」を直訳すると「個人心理学」になり、何からもわけることができないものとの意味合いが今一つわからないでしょう。
そのため、アドラー心理学と日本ではいわれることが多くあります。
アルフレッド・アドラーの考え方とは?
人の本能が制御できないものとフロイトは説いていますが、アルフレッド・アドラーの考え方は全く違っており、決断の自由を人は持っていると説いています。
ここでは、アルフレッド・アドラーの考え方についてご紹介します。
目的論
目的論の考え方は、目的が人生の全てにあるというものです。
例えば、トラウマの考え方は「○○がトラウマがあるためにできない」というものですが、目的論の考え方は「○○ができないのは、目的が傷つきたくないということのために〇〇をしない」というものです。
人は、行動や思考がどのような目的かによって違ってきます。
課題の分離
課題の分離というのは、自分の課題と相手の課題をわけることです。
例えば、課題として「業務ができないために相手に嫌われる」というときは、「業務ができない」のは自分の課題ですが、「あなたを相手が嫌いであると思う」のは相手の課題です。
また、自分の課題は自分の努力で変えられますが、相手の課題は自分の努力では変えられません。
そのため、相手の課題に対して必要以上に自分が気にする必要はありません。
劣等感
劣等感は、自分の理想になっていないと感じることです。
人は劣等感を持つことによって、理想の自分に現在の自分では達していないと感じます。
そのため、理想の自分に近づけようとして、より良く生きることができます。
つまり、理想が現実になるためには、どのようにして感じた劣等感を利用するかが大切です。
共同体感覚
共同体感覚というのは、人が一部の共同体であるということを感じるものです。
一人では人は生きていけません。
そのため、一部の共同体である人は、仲間に関心を持つことが非常に大切です。
また、幸せを感じることにも共同体感覚を持つことが繋がります。
ライフスタイル
ライフスタイルは、行動や考えの癖です。
性格を変えようとしても非常に困難ですが、行動や考えの癖を変えるのはそれほど困難ではありません。
例えば、引っ込み思案で他の人と話をするのが得意でないと考えている人でも、性格を変えることは困難ですが行動や考えの癖を変えることができます。
緊張しても話が相手とできるように、人が関心を示す知識を多く持つようにしたり、自分が話をするのが困難なときでも相手の話に関心を持って十分に聞いたりすると、他の人と話をするのが得意でないということも感じなくなるでしょう。
アドラー心理学は、自由な現代人に合った考え方が多くあります。
そのため、現在、アドラー心理学が着目されているのでしょう。
また、アドラー心理学は、幸せとは何か、人は幸せになれるのか、自由とは何かを説いています。
そのため、心理学として人の心の本質に迫るもので非常に魅力があります。
アドラー心理学のメリットとは?
ここでは、アドラー心理学のメリットについてご紹介します。
シンプルに物事が捉えられる
「自分の問題は誰への忖度もなく、自分で解決していい」「現在の自分の状況は、自分が選んできた道だ」「課題を自分で解決すると、自分の未来を希望するように変えられる」というような論理によって、シンプルに物事が捉えられます。
問題との向き合い方がわかる
問題に直面したときは、「どうすればいいか悩まなくなる」「自分の課題に対しては、解決方法を決めることのみを行う」というようになります。
周りとのしがらみを考えないで、自分で自分の課題に答えていくのみであるため、問題との向き合い方がわかるようになります。
どう生きるかがはっきりする
アドラー心理学によって、シンプルに自分の選択肢や課題について考えられるようになります。
そのため、哲学的な「どう自分が生きるか」というような人生観がはっきりします。
自分の全てが利用できる
アドラー心理学は、「自分で自分の課題に答えていく」「自他共に尊重される」ということであるため、自信を持って自分が前進できるようになります。
自分が持っているスキルや知識も十分に導き出せるため、自分の全てがフルに利用できるでしょう。
自分を変えられる
「柔軟に自分を変えていくと、将来も柔軟なものになる」「自分を変えて将来を変える」ということがわかると、抵抗感が自分を変えることに無くなるでしょう。
内発的な「自分を変える」という意識が芽生えると、自分を現実的に変えていけるようになります。