「ボタニカルアート」とは?
「ボタニカルアート」というのは、植物学的な芸術ということです。
植物学的な芸術というのは、植物の品種の特徴が植物学の立場から正確に描かれた絵画であることを表現しています。
例えば、ゴッホの絵画のひまわりのように、心象を投影したイメージの花の絵などは、「ボタニカルアート」ではありません。
「ボタニカルアート」が成り立つ条件としては、植物学の立場から描かれているだけでなく、魅力的に美しく描かれたアートであることも大切です。
「ボタニカルアート」は、植物が美しく、正確に描かれた「植物の肖像画」といえます。
「ボタニカルアート」の歴史とは?
「ボタニカルアート」は、芸術と科学との融合から誕生したアートといえます。
「ボタニカルアート」の起源は、有用な薬草を判断するために、植物を調査して図化したことです。
古代のヨーロッパの時代から、精密に樹木や草花を描いて分類し、病気の治療などに植物を利用していました。
古代のギリシャの植物学者で医者のペダニウス・ディオスクリデスは、紀元1世紀に『薬物誌』という薬草をまとめた本草書を編集しました。
内容が優れていたため、18世紀まで基本的な西洋の医学、薬学の文献になりました。
もともとはテキストだけでしたが、後から本草学者のクラテウアスが描いた約400種の植物の精密画が取り入れられました。
植物画の入った『薬物誌』は、膨大な写本が中世の時代に作られ、一部が現在でも残っています。
特に、コンスタンチノープルで見つかった、「ウィーン写本」(6世紀)が有名です。
『薬物誌』は、薬学、医学の観点から作られましたが、写本から写本に写されるときに、美術的な観賞用のアートに医学的な実用書から変わってきました。
17世紀~18世紀のヨーロッパでは、宮廷をメインにした貴族文化が栄え、裕福な市民や貴族の間で植物に対する関心が高く、「ボタニカルアート」の鑑賞が人気になっていました。
多くの植物画家がこの頃に活躍し、「ボタニカルアート」を愛好する人が多くなってきました。
園芸を好む文化が浸透しているヨーロッパの中でも、その層がイギリスは特に厚く、植物を好む文化が発達してきました。
創刊が1787年で、一般市民のための専門の「ボタニカルアート」の『ボタニカル・マガジン』という雑誌は、現在まで継続しています。
マガジンを刊行しているのは、宮殿庭園として1759年に始まった「キューガーデン」の王立植物園です。
イギリスの植民地政策と非常に関係があり、イギリスが領有していたいろいろな地域の植物を研究していました。
膨大な植物画が研究するときに描かれ、植物画家が多く生まれました。
「ボタニカルアート」の魅力とは?
「ボタニカルアート」は、大航海時代の15世紀〜16世紀に、新しくたどり着いた土地で最初見た植物を記録し、盛んに本国に伝えるようになりました。
写真が無かったため、植物のみずみずしさや美しさまで、画家たちはよりリアルに伝えられるように描いたようです。
自然と関係することが少なくなった現代の人にとっては、身近な植物を改めて描くことによって、再度自然の造形の美しさを見つけることができます。
忙しい日々から離れ、植物に無心に向き合う時間は、心が豊かになるでしょう。
美しい花を主に描くため、特に女性に人気があるといえます。
描いた絵はインテリアとして額に入れて飾ってもいいし、絵をベースにして封筒や便箋などを作っていろいろ生活の中で利用する方のもいいでしょう。
「ボタニカルアート」の始め方とは?
ここでは、「ボタニカルアート」の始め方についてご紹介します。
「ボタニカルアート」のスクールを見つける
「ボタニカルアート」を始めるためのスクールとしては、通信講座やカルチャースクール、個人教室などがあります。
「ボタニカルアート」のスクールの回数や受講料はいろいろです。
自分に適した「ボタニカルアート」のスクールを見つけましょう。
自分で始める
とりあえず自分で始めたいときは、多くの描き方の入門書があります。
この入門書は、平均的に2,000円〜3,000円くらいの価格のものが多くあり、描き方がDVD付で学習できるものや、印刷がすでにされている下絵を塗り絵のように水彩絵の具で塗っていくものがあります。
必要な道具
「ボタニカルアート」の始めるときに必要な道具としては、水彩絵の具、筆、水彩紙、鉛筆、パレットなどがあります。
これ以外にも、細かな植物の部分を観察するためのルーペや虫眼鏡などもあれば便利です。
「ボタニカルアート」の12,000円くらい画材セットが販売されていますが、手軽に始めるのであれば高い画材を買わなくても、パレットや筆、水彩絵の具などを100円ショップなどでも買うことができます。
筆の大きさや種類、紙の種類や絵の具の色数については、詳しくテキストなどに載っているため、可能な限り使いやすいもの、身近なものを買うといいでしょう。
「ボタニカルアート」の描き方の技法とは?
「ボタニカルアート」は、いろいろな描き方の技法があります。
ぼかしは質感や遠近感を表現するために必要で、絵の具の塗り広げ方や濃さで実現することができます。
ぼかしをマスターして濃淡の表現力がアップすると、グラデーションが使えるようになります。
基本的な混合三原色が初心者は大切で、上達のコツは目的の色を生み出す基本になります。
植物の描き方
「ボタニカルアート」の目的は、作品を実物大に、対象の植物を背景なしで最大限に表現することです。
人工物の植木鉢や花瓶などは必要ないため、このようなものの質感を表現する技法は必要ありません。
しかし、ありのままの表現が植物については要求されます。
正確にこのような箇所を描く描き方のマスターが必要です。
初めは描く花を選びます。
形状が複雑なものよりも、大きな花びらや葉の方が描きやすいでしょう。
また、当然ですが、時間が描き終えるまでにかかります。
そのため、丈夫な日持ちする花を選びましょう。
下書きする前に、花の各部を採寸します。
そして、原寸大のままで用紙に正確に書き込みます。
採寸は花びらや葉っぱのみでなく茎も行っておくと、描くときに自信が持てるでしょう。
下書きは目立たないように薄っすらと書き込み、色をこの輪郭線をガイドに乗せていきます。