フェミニストとは?
イメージされる一般的なフェミニストと外国で考えられているフェミニストは、違っているために注意しましょう。
まず、外国の定義をベースに、フェミニストの意味についてご紹介します。
女性と男性の権利を平等にする考え方
フェミニストというのは、女性の権利を認めて、多様性と男女平等を目指す人です。
フェミニストであることを外国のアーティストや俳優の中にも公表したり、自由にそれぞれが生きられる権利をアピールしたりする人がいるため、だんだん認められてきています。
多様性と男女平等というのは、例えば、家事を男女ともに行なってもいい、好きな人がメイクはすればいいなどのように、性別を基準に決められてきた行動や価値観に対して異議を唱える考え方です。
そのため、男性のフェミニストも当然います。
一方、一言で多様性や男女平等といっても、論者によって具体的な批判の対象になるものは違うため、議論がたびたび起きています。
特定の価値観を排除するものではない
フェミニストは、女性・男性のいずれかの権利をアピールするものではありません。
しかし、日本のみでなく欧米でも、フェミニストのイメージは男性嫌悪というものがあります。
フェミニストは性別や出身などの多様性を認めるため、特定の価値観・性別を排除しません。
また、自分が性別に囚われない生き方のジェンダーフリーでも、自分の考えを他の人に押し付けるのであれば、フェミニストではありません。
フェミニストとフェミニズムの違いとは?
辞典では、フェミニストは男女同権論者、女権拡張論者、女性解放論者と記載されており、フェミニズムは女性の社会的、経済的、政治的な権利を男性と同じにし、女性の役割や能力の発展を目指す運動および主張、女性解放論、女権拡張論と記載されています。
わかりやすくいうと、フェミニズムは、女性が性別を理由に不利益を被ったり、不当な扱いを受けたりすることのない世の中を目指す活動をいいます。
フェミニストというと、ひと昔前までは、女性に対して甘い男性、女性に対して優しい男性という意味がありました。
現在でも、このような意味でフェミニストを使っている方がいるかもしれません。
しかし、この意味は基本的に日本でだけ使われているもので、全く外国では使われていません。
岩波書店の『広辞苑』が、2018年1月に10年ぶりに大きく改訂されました。
この『広辞苑』では、「女性尊重を説く男性」という一節がフェミニストの説明にプラスされ、「性差別からの解放と両性の平等とを目指す思想・運動」とフェミニズムは定義されました。
フェミニズムは、男女の性差別自体の撤廃を目指すものであり、男性が優位の世の中に反対する女性の運動ではないという視点で修正されています。
フェミニズムの目的は、性別によって、男性は「男性らしくあること」、女性は「女性らしくあること」が要求される世の中の構図を変更しようということもあります。
このようなことからも、フェミニズムに対する日本の認識がだんだん変わっていることがわかります。
また、マスキュリズムというものが、「男性であるがゆえに強要されること」や「男性らしくあること」に対する抵抗としてあることも把握しておきましょう。
フェミニストといわれる人の特徴とは?
フェミニストの訳語としては、「男女同権主義者」というものがあてられることが多くあります。
しかし、フェミニストやフェミニズムが意味するものは、個人や時代、世の中によって違ってきます。
では、フェミニストというのは、現代においてどのような人をいうのでしょうか?
ここでは、フェミニストといわれる人の特徴についてご紹介します。
女性に対して優しい人
フェミニストの意味は、抑圧された女性の権利や解放の付与をアピールする人です。
しかし、日本においては、本来のこのようなフェミニストの意味とは違う使い方をすることもあります。
例えば、女性の地位の向上や権利の獲得に興味がなくても、女性に対して優しい人、特にレディ・ファーストの精神がある男性のことを、フェミニストと日本ではよく表現します。
状況を変更したいと考えている人
フェミニストが乗り切ろうとする課題や問題は、時代や世の中によって変わってきます。
例えば、19世紀の多くのフェミニストは、参政権がその頃の女性に認められていないことを問題にして、参政権の獲得をアピールしました。
また、フェミニストは、1960年代に、女性は子供を産まない権利が認められていないことや、女性は男性と仕事が同じでも賃金が少ないことを問題にして、社会運動のウーマン・リブというものを展開しました。
フェミニストという言葉は、女性の置かれた平等で差別的な状態を批判的に考え、この状況をよりいい世の中や環境を実現するために変更したいと考えている人も表現することができます。
フェミニズムの運動とは?
フェミニズムの運動というのは、男性と同等の権利を女性が獲得することで、対等な立場で女性と男性が生きていくためのものです。
このような運動や主張は、世の中の注目をたびたび集めます。
最近は、職場での女性のパンプスやヒールの強制に反対する「#KuToo」の運動や、女子学生の置かれている現実を東京大学の入学式でアピールした学生の東大祝辞などがあります。
また、男女間の格差をアピールした事件としては、東京医科大学が3割以下に女性合格者を抑えるために女性だけ入試の得点を一律に減点していたものがありました。
「#KuToo」の運動は、日本航空が2020年4月1日にヒールがない靴の使用をキャビンアテンダントに認めるという変革に繋がり、パンツスタイルの制服が同時に導入されました。
これ以外にも、ジェンダーフリー問題やセクハラ問題など、いろいろな問題をフェミニズムは提起しますが、解決方法の一定のものを提示するということではありません。
というのは、個人によって「女性であること」はそれぞれ違うため、女性同士間でも利害が対立したり、主張が違ったりすることがありうるためです。
女性同士間でも、違う立場の人のアピールを知って、尊重することが要求されるでしょう。