放念(ほうねん)の意味とは?
放念は、忘れる、気にかけない、心配しないという意味です。
気に留めないで欲しい、あることを忘れて欲しいと相手に伝えたい時には、便利に使える言葉でしょう。
放念とよく間違えるのは、失念という言葉です。
失念の意味はうっかり忘れることであるため、意味が放念とは違っています。
失念は自然に忘れることですが、放念は自分で忘れることです。
そのため、失念と放念を間違って使わないようにしましょう。
放念の由来とは?
放念は、現在ではビジネスメール、時節柄の挨拶などで使われていますが、放念の由来については知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、放念の由来についてご紹介しましょう。
放念という言葉そのものが、どこからいつやってきたかははっきりしていません。
しかし、放つと念ずるという言葉が組み合わさって、放念という言葉が成り立っています。
放つの意味は、四方八方に広げるということです。
一方、念ずるの意味は、すっぽりとあるものを覆うということです。
そのため、放念の意味合いは、すっぽり包んだ状態を四方八方に解放するというようなことになります。
放念という言葉がどのような文献からいつ登場して現在に至っているかなどについては、歴史的な詳しいことはわかっていません。
しかし、一説によると、関連が仏教の中の言葉とあるのではないかともいわれています。
特に、念を放つということが、念という言葉からも一層そう感じさせるということです。
念とは、念仏を唱えるという言葉があるように、心の現在の状態のことをいいます。
放念の使い方とは?
放念という言葉は普段あまり使わないため、使い方がわからないのではないでしょうか。
ここでは、放念の使い方についてご紹介します。
間違ってメールを送った時
放念を使うのは、間違ってメールを送った時です。
例えば、急いで社内の目上の方に間違ってメールを送った時などです。
間違ってメールを送ったことがわかった時は、お詫びのメールを可能な限り早く送ることが大切です。
このような時の例文としては、次のようなものなどがあります。
「先ほどのメールは間違って送ったものです。どうかご放念ください。」
また、メールを複数の人宛に送る時に該当しない相手が中にいる時には、該当しない方は、どうかご放念ください、などと締めることができます。
一度頼んだ用件が必要なくなった時
ビジネスシーンにおいては、一度頼んだ用件が何らかの理由によって必要なくなる時があります。
必要なくなったということでも、いろいろと相手に頼んだことについて対応していただいたにも関わらず、もう必要ないため結構ですなどとはいえないでしょう。
一度頼んだ用件が必要なくなった時の例文としては、次のようなものがあります。
「新しいプランの件について検討いただきありがとうございます。しかし、事情が変わったため、このプランの件についてはご放念ください。」
自分の都合で商談などに一方的に誘う時
放念は、自分の都合で商談などに一方的に誘う時にも使えます。
例えば、「お時間を次の水曜日に割いていただけないでしょうか。ご都合がもし悪い時はご放念ください。」などといえます。
この意味は、相手の都合がいいと打ち合わせしたいが、都合が悪ければ時間を無理に取ってもらう必要はないということです。
放念を入れることによって、相手に対して気配りを示すことができます。
自分の都合で商談などに一方的に誘う時の例文としては、次のようなものがあります。
- 「前回の件についてご相談したいため、お時間をいただけないでしょうか。ご都合が悪い時はご放念ください。」
元気でやっていることを年賀状で伝える時
放念を年賀状で使うことによって、元気でやっているということを伝えることができます。
例えば、放念を年賀状では次のように使います。
- 「皆さんのおかげで楽しく毎日過ごしております。どうかご放念ください」
この意味は、楽しく毎日過ごしているため、心配しなくても問題ありませんということです。
また、ご放念くださいは、高齢になったり、入院したりして年賀状のやり取りが今後難しいと判断した時も使うことがあります。
元気でやっていることを年賀状で伝える時の例文としては、次のようなものがあります。
- 「ご無沙汰しております。おかげさまで私は元気にしております。どうかご放念ください。」
気を使わないようにお中元の返事としてお願いする時
放念は、お中元などをもらった時に、申し訳ないので今後は送らなくていいですということを伝えるために使うことがあります。
気を使わないようにお中元の返事としてお願いする時の例文としては、次のようなものがあります。
- 「この度は結構なお中元をいただき、本当にありがとうございました。今後は、どうかご放念ください。」
放念を使う時に注意することとは?
放念を使う時は、どのようなことに注意すればいいかわからないのではないでしょうか。
ここでは、放念を使う時に注意することについてご紹介します。
放念するという使い方は止める
放念の意味としては、気にかけない、気にしない、忘れるということがあります。
そのため、自分が気にかけない、忘れたという時に、放念しておりました、放念いたしますと使えると考えがちです。
ニュアンスとしては間違っていませんが、基本的に放念は相手に対して使うものであるため、自分のことを表現する時には止めましょう。
失念するが忘れるの丁寧表現である
自分に対して忘れるを使う時は、失念と言い換えるのが適切であるため、自分に対して忘れるを使う時は、勘案いたしません、失念しおりましたなどが適切な表現になります。
放念の英語表現とは?
放念という言葉のみを考えた時の英語表現としては、「ease」になります。
「ease」の意味は、容易さということです。
また、動詞として「ease」は使う時もあり、この時の意味は、緩和する、弱めるということになります。
「easy」が「ease」の形容詞になります。
心が解き放たれた状態に放念そのものが近いため、「ease」が最も適した放念の英語表現になります。
「ease」を使った例文としては、次のようなものがあります。
「I like the ease of use of this fountain pen.」(私はこの万年筆の使いやすさが好きです。)
また、ご放念くださいの英語表現としては、「Please do not worry about it.」というものもあります。
この「worry」の意味は心配するということであるため、「Don’t worry」で心配しないという意味になります。
この英語表現は、ポピュラーで相当浸透しています。