「以降」の意味とは?
「以降」という言葉は日常のいろいろなシーンで使用されており、「何時以降」「何日以降」「何月以降」などというように、時・日・月などを表現するシーンで使用されます。
いずれのシーンでも、「以後」の意味は「それより後」になります。
約束を顧客とするときなどに、「いつでも何時以降であれば打ち合わせは問題ありません」などと相手から言われることもあります。
このときの意味は、「何時より後であればいつでも問題ありません」ということになります。
「以降」は、文字の「以」がポイントになります。
「以」の意味としては、「用いる」「使う」があります。
また、「降」の意味としては「後(のち)」があるため、「以降」としては「あるときから後、しかも、そのときは使う」ようになり、「何時以降」のときは「何時」も含まれるようになります。
「以降」が含まれる範囲とは?
では、「以降」が含まれる範囲はどのようになるのでしょうか?
ここでは、書類や法律で使用するときの「以降」が含まれる範囲についてご紹介します。
書類で使用するときの「以降」が含まれる範囲
「以降」や「以上」という言葉を、応募書類などでも使用するときがあります。
例えば、仕事をしたい時間などを書くときは、「何時以降の仕事を希望します」などというような表現になります。
仕事のときは、分単位で8時10分などと仕事をする時間を設けることはほとんどありません。
そのため、基準の時間として「何時」というものを書いたときの意味は、基準の時間が含まれる時間から仕事を希望するようになります。
例えば、「午後3時以降の仕事を希望します」と書いたときは、午後3時から始まる仕事もあったり、午後4時から始まる仕事もあったりするということになります。
アルバイトなどで仕事ができる時間帯が曜日ごとに違うときは、「月曜日、水曜日、金曜日は午後5時以降の仕事を希望し、土曜日、日曜日は午前9時以降の仕事を希望します」などというように、曜日ごとに仕事ができる時間帯を書いておくといいでしょう。
法律で使用するときの「以降」が含まれる範囲
「以降」は、法律でも「基準になる日にちや事柄を含んでこれより後」という意味で使用されます。
例えば、「1日以降から」と書かれていたときは、「1日を含んでこれより後の日にち」という意味になります。
これ以外にも、「初めの日以降から」と書かれていたときは、「初めの日を含んでこれより後の全ての日にち」という意味になります。
法律では、基準になる日にちが含まれるかどうかで、意味が非常に違うときがあるため注意しましょう。
「以」が含まれている「以降」「以前」「以上」「以下」というような言葉は、基準点も含まれることを把握しておきましょう。
指定した範囲が「以降」は含まれるか?
「以降」の意味は、基準点を含むこれより後になります。
「何時以降」の意味は、基準点を含むこれより後は全部になります。
「何時以降」とのみ書かれているときの範囲としては、基準点を含めこれより後の全部になります。
「何時以降」の表現のときは、基準点を含めてこれより後は全部含まれるようになりますが、逆に言えば範囲としては基準点を含まないこれより前の全部が含まれないことになります。
特定の範囲や特定の期間を指定したいときは、「何時以降何時まで」というように終わりを指定することが必要です。
「日にち」を指定したいとき
「日にち」を当日を含んでこれより後というように指定したいときは、「何日以降」としましょう。
例えば、いつでも10日以降であれば問題がないときは、「10日以降でお願いします」と指定すると、「10日も含んでこれより後でお願いします」という意味になります。
決まった期間を指定したいときは、「1月10日以降から商品の販売を始めます。商品の販売は2月末日が終わりになっているため、この期間に購入ください」という表現にすると、「1月10日から商品の販売を始めて、2月末日で商品の販売を終わります」という意味になります。
当日を含みたいときは、基準点の「日にち」を始めたい日にするといいということです。
「以降」「以来」「以後」を使いわける方法とは?
「以降」と意味がほとんど同じ言葉としては、「以来」と「以後」があります。
では、どのように「以降」「以来」「以後」を使い分けるといいのでしょうか?
「以降」「以来」「以後」は相当微妙な意味合いの違いであるため面倒ですが、使いわける方法をこの機会に把握しておきましょう。
「以後」と「以降」の違いとは?
まず、「以後」と「以降」の違いについてご紹介します。
「午前8時以降に停電する」と「午前8時以後に停電する」では、微妙に意味が違います。
「午前8時以降に停電する」というときは、「午前8時からずっと」というように話の重点が時間の過程に置かれるときが多くあります。
一方、「午前8時以後に停電する」というときは、「午前8時から」に重点が置かれます。
例えば、午前8時に停電になる何かの要因になるようなことがあり、「あの午前8時の時点から現在でも停電している」というように言いたいときです。
本当にこれは微妙な意味の違いになりますが、このような使い分けを実際にしているときが多くあるということを把握しておきましょう。
「以来」と「以降」の違いとは?
「以来」と「以降」は、はっきりした違いがあります。
「以来」の基点は過去に限っていますが、「以降」は過去から現在、将来の範囲に使用することができます。
例えば、「明日以降」という表現はありますが、「明日以来」という表現はありません。
このように、過去がある時点だけが「以来」の基点になります。
さらに、「以降」と「以来」では、違いがその継続性にもあります。
「以降」は「(過去から現在、将来に関係なく)何時まで」という使用方法がありますが、「以来」は「現在に至るまで」という使用方法になります。
例えば、「今晩の午後9時以降、翌日の朝食までは飲食ができません」は、「将来のある時点から将来のある時点」という意味で使用されます。
「以降」は、自由に過去、現在、将来に終わる時点を設定することができます。
また、範囲の終わりを「何時まで」と明確にしないときは、終わる時点は「将来のいずれかの時点」と継続性を曖昧に持つようになります。
一方、曖昧な表現を止めて、「将来がどうなるかはさておいて、現在の時点までは確実に」という意味を持たせたいのであれば「以来」を使用するといいでしょう。
例えば、「人間は有史以来火を利用してきた」などというときで、論文などで客観性が大切になるときに使う表現です。