「啓蒙」の意味とは?
「啓蒙」の意味は、正しい知識を人々に与えて、教え導いて知的レベルがアップするようにすることです。
「啓蒙」の「啓」の意味は、「教え導く」「わからないものを明らかにする」ということがあり、「蒙」の意味は「知識が足りない」ということがあります。
そのため、「啓蒙」の意味合いとしては、情報が無い普通の人々に、知識がある人が知識を与えて導くということがあります。
また、専門書の学術書などでなく、普通の人の教養をアップするために書かれた本を「啓蒙書」といいます。
「啓蒙」の使い方とは?
「啓蒙」は、「知らないことを人に教えること」です。
例えば、知識が無い人に専門的な内容を教えたり、本を書いたりすることなどが該当します。
言葉の使い方としては、「啓蒙事業」や「啓蒙的」などというようなものがあり、「教育の啓蒙事業」や「啓蒙的な本」などと使われています。
これ以外にも、「啓蒙された」という個人的に教え導かれたものなどもあります。
しかし、基本的に立場が上の人から下の人に使います。
例えば、専門家から素人、先生から生徒などに使います。
「啓蒙」の例文としては、次のようなものがあります。
- 「彼女は中学校時代の先生の言葉に啓蒙された。」
- 「啓蒙的な子育てについてのセミナーに参加する。」
- 「精神病の患者に心理学者が啓蒙する。」
- 「新しい制度についての資料が、国民を啓蒙するために作られている。」
しかし、「啓蒙」という言葉は、適切でない、あるいは差別的であるといわれています。
というのは、「啓蒙」という漢字の意味に由来しているようです。
「啓蒙」の「啓」の意味は「わからないことを教え導く」、「蒙」の意味は「無知で愚かなこと」というようなことになります。
そのため、「蒙」という漢字には「無知」や「愚か」と相手のことを思っていると解釈できるので、「啓蒙」は適切でない用語や差別的な用語として見られるときもあります。
漢字のこのような意味から、「啓蒙する」という言葉を使えば「侮辱している」「上から目線である」などと見られるときがあります。
このように「啓蒙」という言葉は適切でない用語や差別的な用語であるということから、「啓発」という言葉が代わりに使われています。
「啓蒙」が含まれている四字熟語とは?
ここでは、「啓蒙」が含まれている四字熟語についてご紹介します。
「啓蒙思想」
「啓蒙思想」の意味は、「思想の不変性と普遍性を理性によってアピールする思想」です。
なお、不変性の意味は影響を別の物事に受けないで変わらない性質、普遍性の意味は物事の全てに通じる性質です。
「啓蒙思想」というのは、フランスで18世紀に起きたもので、それまでの封建社会の中において、合理的な考え方をキリスト教的世界観に対して説いて、人間性を開放することをアピールした思想です。
フランスの哲学者のルソーやイギリスの哲学者のロックがメインになって唱えました。
「啓蒙活動」
「啓蒙活動」の意味は、無知な人を教え導く運動・活動です。
「啓蒙活動」というのは、一般的に団体や組織などが主張したいことや普及したいことを教え導くための活動です。
例えば、「ピンクリボン活動」という正しい乳がんについての知識を普及するものや、動物についての「愛護啓発・啓蒙活動」などがあります。
現状を伝えて、より良くするために資料を配ったり、声を掛けたりする活動です。
また、「啓蒙」の意味合いとしては、「無知な人に教える」ということが含まれているため、「啓発活動」を「啓蒙活動」の代わりに使うときが多いということを知っておきましょう。
「啓蒙」は差別的な言葉か?
「啓蒙」は差別的な言葉であるため使わない方がいいといわれることがあります。
では、どうして「啓蒙」は差別的な言葉であるといわれるのでしょうか?
ここでは、「啓蒙」は差別的な言葉かについてご紹介します。
差別的な言葉であるといわれる理由
「啓蒙」の意味として差別的な要素があるといわれる理由としては、次のような2つがあります。
「目が不自由な人」という意味が「蒙」という漢字にある
「蒙」という漢字の意味が差別的であるため、使うのを止める方がいいということです。
不遜である
愚か者に教えてやっている、相手を馬鹿にしているという意味合いが感じられるためということです。
よくわかっている人が上から目線で無知な人に教えるという意味にもとれるでしょう。
人柄としてはおごり高ぶっているということがイメージされます。
「啓蒙」は使わない方がいいか?
「啓蒙」の意味には差別的なものが含まれているため使わない方がいいという意見と、はっきりと差別的であるといえないため使ってもいいという意見があります。
実際に知識が普通にないような人に教えるというケースは、使っても問題ないでしょう。
しかし、教えてやっているというように見られたくないというときは、上から目線のような意味合いもあるため使うシーンを考える方がいいという意見があることを把握しておきましょう。
上の立場の人に教えるというようなシーンでは、「啓蒙」という言葉を使うのは止める方がいいでしょう。
「啓発」と「啓蒙」の意味は違う
「啓蒙」と同じような言葉として、「啓発」というものがあります。
では、「啓発」の意味はどのようなものでしょうか?
「啓発」の語源は、「憤せずんば啓せず、悱せずんば発せず」という孔子の言葉に由来しています。
孔子は、弟子が学習する姿勢についは非常に厳しい立場をとっていました。
この孔子の言葉の意味は、「問題を自分で考えて解決しよういう意欲が無い人は教え導かない、ヒントもよほどのことが無ければ与えない」ということです。
「啓発」の意味は、自分の力だけではわからないようなことについて教え、より高い理解や知性をマスターするように導くことです。
使うときは受身形で、例文としては「啓発される」「啓発をうける」などがあります。
代表的な「啓発」の言葉としては「自己啓発」があります。
「自己啓発」というのは、自分の意思で自分のスキルを開発し、メンタル的に成長するためにトレーニングをすることです。
「啓蒙」の類義語とは?
「啓蒙」の類義語としては、「啓発」「拡散」「教育」「伝達」「導き」「教え」「宣教」「指導」などがあります。
「啓蒙」の対義語とは?
「啓蒙」の対義語としては、愚か者や道理に暗く愚かなことである「暗愚」、愚かなことである「愚蒙」、ものの道理に暗く、馬鹿なことである「愚昧」があります。
「啓蒙」の英語表現とは?
「啓蒙」の英語表現としては、「enlightenment」(啓蒙)、「educated」(教育する、啓蒙する)などがあります。