いただけますという言葉は、ビジネスシーンでも日常生活でも非常によく使う言葉です。毎日なんとなく使っている「いただけます」ですが、本来の意味を知って使っているでしょうか。今回は「いただけます」について、「いただきます」との違いを踏まえて解説します。
「いただけます」の本来の意味とは?
まず最初に、「いただけます」の本来の意味についてみていきましょう。漢字表記の場合やひらがな表記の場合、さらに用法についても一気にここでおさらいしていきます。
「できます」の敬語が「いただけます」
ひらがなで「ご覧いただけます」など、「いただけます」という言葉を書く場合、「~することができます」の敬語としての意味が乗ります。
メインとなる動詞を丁寧に表現する役割を果たします。「ご連絡をいただけますか?」と疑問形にすれば、相手にその意思があるかどうかを確認する丁寧語にもなります。
疑問形も通常系も同様に丁寧語なので、身内に使うことはできません。また、自分に使うこともできないので、注意しましょう。
〇例)取引先に「弊社までお越しいただけますか?」
×例)自分が他の第三者に「連絡いただけます」
「頂けます」と書くときは食べものに関する
漢字で「頂けます」と書く場合、ひらがな表記と違って「食べることができます」「飲むことができます」という意味を表します。かつ、ひらがなが「相手に対するときしか使えない」のに対して、「頂けます」は「自分が食べる・自分が飲む」意味を表しています。
〇例)自分が他の第三者に「特にアレルギーはないので頂けます」
×例)相手へ「(あなたは)コーヒーは頂けますか?」
「いただけますでしょうか」で依頼文に
相手に何かをしてもらいたいとき、「~していただけますか」という言い方をします。これをより丁寧に言いたい倍は、「いただけますでしょうか」という表現になります。「してください」というよりも強要する言い方ではないので、相手へ不快感を与えることはありません。
ちなみに、丁寧な言い方としてやりがちなのが「いただけますようお願いいたします」という表現です。ついやってしまいがちなのですが、「いただけます」には「相手へ判断をゆだねる」という意味があります。そのため、こちらからお願いする場合は「~のほどお願い申し上げます」というように、いただけますを使わないほうが無難です。
〇例)「お送りしたメールをご確認いただけますでしょうか」
×例)「名前をおっしゃってください」
「いただけます」と「いただきます」の違い
ここからは、「いただけます」と「いただきます」の違いについてみていきます。たった一文字違うだけですが、意味合いには大きな違いが生まれてしまいます。メールなどでの誤用が見られますので、しっかりチェックしてから送るようにしてください。
「していただきます」には強制的な意味がある
「していただけます」とは異なり、「いただきます」となると、行動を強制する言葉に変化します。前述の通り、「いただけます」にはある程度判断を相手に委ねる意味があります。ですが、「いただきます」になると、発言者のほうが強い力を持っていることになるのです。
例を挙げてみていきましょう。何かの会に参加してもらいたいという意思で、相手へメールを打つとします。
「ご出席いただけます」とした場合は、「出席も欠席も自由ですが、出ていただけたら嬉しいです」といった意味が読み取れます。
「ご出席いただきます」とした場合は、「必ず出席してください」といった意味を読み取れます。
このように、こちら側の意志を強く伝えたい場合は、「いただきます」を使うのが一般的なのです。
まとめ
多用してしまいがちな「いただけます」ですが、使い方を間違えると相手へ失礼な意味を与えてしまう可能性もあります。自分がどのような意思を相手に伝えたいのかを良く判断し、「いただけます」がいいのか、「いただきます」が適切なのかを考えなくてはなりません。
相手へ決断を迫らず、どちらでもよいという意思や、柔らかな印象を与えたければ「いただけます」を使っておおむね問題ないでしょう。正しい使い方をマスターして、一社会人として恥ずかしくないビジネスメールを打てるようになってくださいね。