大切な人へのお手紙やビジネスレターでは、季節の挨拶である「時候の挨拶」を使います。今回は、ビジネスレターで使える時候の挨拶や慣用句を紹介していきます。挨拶に迷ってしまう人は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
そもそも「時候の挨拶」とは何なのか?
手紙を書くときのルールとして浸透している時候の挨拶ですが、そもそもどうして書かねばならないのでしょうか。時候の挨拶の始まりを考えつつ、種類も合わせて見ていきましょう。
「時候・季節の挨拶」は季節感を表す日本ならではの風習
時候の挨拶というのは、日本独特の風習です。日本には、移り変わる美しい季節があります。四季折々にたくさんの素晴らしい風景を見せてくれる日本だからこそ、手紙の冒頭に季節感を書くことで、移り変わる時間を示してきたのです。
「時候の挨拶」には種類がある
時候の挨拶には、大きく分けて「漢語調」と「口語調」の二種類があるのをご存知でしょうか。どちらもよく見る表現なので、種類が違うのはあまりに気にしたことがないかもしれませんね。
「漢語調」の時候の挨拶は、「猛暑の候」「蛍雪の候」というように、「の候」を付ける表現です。「候」は四季ではなく、暑さや寒さなど、気温が起点となっています。
「口語調」は、「最近は益々暑さが増してまいりましたが」といったように、手紙と同じ口語体で季節の移り変わりを表現します。
漢語調の挨拶は文章の始まりが格式高く仕上がるので、ビジネス文書で使われることが多い形式です。口語調の場合は、フランクな印象に仕上がります。ソフトに挨拶を伝えたいときや、親しみやすさを演出したいときにおすすめです。
「時候の挨拶」を使ったビジネスレターの書き方
ここからは、時候の挨拶を実際に例として使いつつ、ビジネスレターの書き方を紹介します。時候の挨拶に加えて、手紙の構成なども解説していきますので、参考にしてみてください。
ビジネスレターの書き方1 「拝啓」から始まり「敬具」で終わるのが一般的
仕事で手紙を書くときは、友人にあてる手紙と異なるルールがあります。基本的に、手紙は「前文」「主文」「末文」の大きく3つで構成されています。その前文に当たるのが、「時候・季節の挨拶」です。
この手紙の三つの構成を包むのが、頭語・結語です。ビジネス文書では「拝啓」「敬具」を入れるのが一般的です。
ビジネスレターの書き方2 時候の挨拶は季節に合わせたものを使う
時候の挨拶は、天気や気候、季節の移り変わりや寒暖を表す挨拶の言葉です。それと同時に、相手の健康を気づかう役割も果たしています。
この季節には絶対にこれというルールはなく、季節感と気遣う気持ちがあればどのような文でも大丈夫です。ただ、季節を表す目安として、二十四節気にちなんだ書き出しをするのが一般的です。気候にあった挨拶ができるようになっておきましょう。
【例文】
新春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
春風待ち望む今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
雨後の新緑がひときわ濃く感じられる今日この頃です。
ビジネスレターの書き方3 ビジネスレターなら季節を問わずにつかえる時候の挨拶もある
ビジネスレターだと、ある程度のテンプレートを準備しておいて、内容を差し替えるという方法を取ることもあります。特に、送り状など、毎日何枚も書くものだと、一つ一つ変えたり、季節によって返るのが大変なものもあるのです。
そんなときに役に立つのが、「時下」という時候の挨拶です。時下は、「このところ」「今現在」という意味の言葉で、季節を問わず使用できます。
【例文】
「拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。」
まとめ
いかがでしたか? 時候の挨拶はビジネスレターでは欠かせない要素だというのがわかっていただけたと思います。
丁寧な手紙というのは、受け取ったほうも気持ちがいいものです。季節を肌で感じられる日本ならではの風流な慣習を絶やさないために、時候の挨拶はビジネスレターだけでなく、友人宛の手紙にも取り入れてみてはいかがでしょうか。些細な季節の変化もどこか新鮮に感じられるかもしれませんよ。