ランチェスターの法則とは?
ランチェスターの法則というのは、第一次世界大戦のときの飛行機の損害状況をイギリス人のランチェスターが調査して得たものです。
一言でいうと、ランチェスターの法則は、武器が同じ性能であれば、兵力数の多い方が必ず勝つということです。
現代は、商品、サービスを差別化するのが困難であり、相対価値として全てが比較されます。
企業活動においてもランチェスターの法則の多くが当てはまり、勝つための論理として利用されています。
ランチェスターの法則が日本で有名になったきっかけは、ランチェスターの法則をマーケティングコンサルタントの田岡信夫氏が研究したことです。
田岡信夫氏は、企業の経営戦略として大手企業と中小企業を戦場における強者と弱者に当てはめて体系化しました。
現在では、ランチェスターの法則を日本の多くの企業が実践しています。
ランチェスターの法則としては、第1法則の一騎打ちの法則ともいわれるものと第2法則の集中効果の法則といわれるものがあり、弱者の戦略が第1法則からは導き出せ、強者の戦略が第2法則からは導き出せます。
ここでは、弱者の戦略と強者の戦略についてご紹介します。
弱者の戦略の基本戦略は、違うものを持つ、違うやり方をする差別化です。
弱者の5大戦略としては、次のようなものがあります。
- 局地戦はスキマ市場(ニッチ市場)を狙う
- 一騎打ちはライバルの少ない市場を狙う
- 接近戦はスキンシップで戦う
- 一点集中はターゲットを決めて重点化する
- 陽動作戦は手の内を読まれないようにする
強者の戦略の基本戦略は、直ちに追随するミート作戦です。
強者の5大戦略としては、次のようなものがあります。
- 広域戦は大きな市場を狙う
- 確率戦は数打てば当たる
- 遠隔戦は広告、チャネルなどを有効に利用して離れて戦う
- 総合戦は全ての武器を総動員して戦う
- 誘導作戦はこちらの有利な場所へと誘導して戦う
戦争中に考え出された法則をベースに、勝者、敗者などというような考え方をすれば、何となく物騒な感じもするかもしれません。
しかし、ビジネスは勝者と敗者が決まる戦いの一種になるため、ランチェスターの法則が当てはまります。
ビジネス戦略の視点からランチェスターの法則を理解するときは、相手に勝つために兵力を相手より多くすることを考えないで、戦う相手がいないつまり、相手の兵力が0の状態で戦うことが大切です。
そのためには、自社の独自性をそれぞれの企業が捉えることによって、積極的に新しい敵がいない市場の開拓や、市場の差別化による再セグメント化などを行なうことが大切でしょう。
ランチェスターの法則の2つの基本法則とは?
ランチェスターの法則は、第1法則と第2法則にわかれています。
ここでは、ランチェスターの法則の2つの基本法則についてご紹介します。
第1法則
ランチェスターの法則の第1法則は、1対1で競合と戦うことを想定したものです。
もし、競合と自社が同じ武器効率であれば、多く兵力数があるほど戦いが有利になります。
例えば、同等の商品やサービスの品質、ブランド力の企業のときは、工場の設備数や社員数、座席数や売り場の面積が多いほど、シェアを得やすくなります。
しかし、兵数を多くするためには、多くの経営資源を大企業のように持つ必要があります。
限られた資源で中小企業が大企業と戦うときは、大企業の兵力をわけて考え、1点に集中して戦う方法が有効です。
第2法則
ランチェスター法則の第2法則は、戦う相手が多いときに効果的なものです。
複数の中小企業と大企業が戦うときは、第2法則を利用した戦略を取ると戦いが有利になります。
第2法則では、戦闘力が武器効率に兵数の2乗をかけたものになります。
両者が同等の武器効率のときは、競争に兵力が多いほど勝ちやすくなります。
例えば、同等の技術力や商品の品質のときは、売り場の面積や社員数、工場の規模や座席数が大きいほど戦いが有利になります。
第2法則では、大きな力を兵数が多いほど発揮するため、戦闘力は資本力が豊富な大企業ほどアップします。
ランチェスターの法則を採用すべき企業とは?
ランチェスターの法則は、弱者といわれる中小企業にも強者といわれる大手企業にも採用されますが、中小企業の方がより採用されるべきでしょう。
ランチェスターの法則を使うことによって、大手企業と戦う方法をその市場における弱者の中小企業でも考えることができます。
ランチェスターの法則を経営戦略としたときの弱者と強者はどの程度マーケットを得ているかで判断ができ、強者はシェアトップの企業、弱者は2位以下の全ての企業になります。
パレートの法則とランチェスターの法則の違いとは?
ビジネスにおいては、1社だけが競合する敵とは限りません。
そして、敗者の方が勝者より圧倒的に多いでしょう。
つまり、パレートの法則が当てはまるためです。
例えば、10社の競合する企業があると、上位の2社が勝ったりするでしょう。
そのため、ナンバーワン戦略をジャック・ウェルチが示しました。
勝つためには、小さくセグメントを絞ったターゲットにニッチ市場の局地戦を行なうことによって、ナンバーワンの地位を得ることが大切です。
しかし、このときに注意することは、前もってナンバーワンの地位を得た後の成長を計画しておくことでしょう。
ニッチ市場を制圧すると、成長するためには次のニッチ市場に攻め込むことが必要です。
初めのニッチ市場を手がかりにしてイノベーションを起こした側の新興企業のように市場をだんだん拡げていくためには、ボーリングで狙いをトップピンに決めるように前もって視野にその後のターゲットも入れておく必要があります。
ネット上でこれを実現するためには、高いロイヤルティーのユーザーのための拠点をまず準備することでしょう。
高いロイヤルティーのユーザーは売上に貢献する以上に、伝道師的な役割をその商品、サービスに対する情熱から果たします。
また、高いロイヤルティーのユーザーの期待を把握することは、商品、サービスの本当の価値を把握することにもなり、商品、サービスへの購買に繋げるためのコミュニケーションのためのヒントにもなるでしょう。
高いロイヤルティーのユーザーのマインド・シェアを制圧することによって、別のターゲットに効率的かつ効果的に攻め込むことができます。