「MECE」の意味とは?
「MECE」というのは、全体をダブりなく、漏れなくカバーすることです。
「MECE」は、直訳すれば「お互いに重複しなくて、漏れが全体にない」ということで、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」を略したものです。
「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の意味としては、次のようになります。
- 「Mutually」(お互いに)
- 「Exclusive」(重複しなく)
- 「Collectively」(全体に)
- 「Exhaustive」(漏れがない)
物事を整理するときは、ある箇所が抜けていたり、重複していたりすることはよくあります。
「MECE」は、基本的に可能な限り抜けや重複を少なくするためのものです。
そのため、「MECE」は考え方であるといえます。
例えば、ネット通販の売上をアップしたいときは、どのような要素を見直すといいのでしょうか?
売上に影響するような要素としては、商品のレベル、商品の価格、ターゲティング、コンバージョン率、流入数などがあります。
このような要素を考えつくまま挙げるのみでは、漏れが起きるため十分ではありません。
売上に影響する要素で考えるときは、直接売上に影響する商品の価格やコンバージョン率以外に、コントロールが自分でできない天候などの要素まで入ります。
そのため、問題がはっきりしなくなって、もともとの目的の「売上アップ」の施策を考えにくくなります。
全体の売上をイメージしたうえで、改善する余地が売上アップのためにある要素はどのようなものかを考えることが「MECE」のスタートです。
考えつくままに要素を挙げていくブレインストーミングも大切ですが、このときは、本当にこのような情報で必要十分かがはっきりしません。
挙げた要素で十分か、漏れている要素はないか、重複した内容はないかを判断することが「MECE」です。
どのように「MECE」はビジネスと関係しているか?
ではどのように「MECE」はビジネスと関係しているのでしょうか?
一般的に、ビジネスのミッションとは、課題に対する解決策を探すことです。
そのため、解決策を検討するときに、複雑で大きな課題ほど、課題をよりシンプルに、小さく論理的にわける必要があります。
このようにしてわけた小さい要素ごとに考えて、これを積み上げる作業をします。
このような方法は、セグメント化や構造化といわれるものですが、この作業を行うときに漏れがあれば、落ち度が問題を解決するときにあります。
また、重複があるようにわけると、何回も同じ検討を繰り返すようになって効率が悪くなります。
そのため、「MECE」の考え方がおすすめです。
「MECE」のビジネスにおける重要性とは?
ここでは、「MECE」のビジネスにおける重要性についてご紹介します。
プロジェクトに関係する要素のリストアップ
「MECE」の考え方は、商品企画、ウエブサイトの策定、いろいろな対象の選定・調査項目というようなアイデアや要因を漏れがないように挙げる必要がある、網羅性が要求されるシーンでも使用されます。
例えば、新しい商品を企画するときは、全体の集合である商品を、「MECE」になるように販売価格帯や商品というような切り口で細分化し、ライバル商品がないジャンルの商品を優先して開発するというような利用方法も考えられます。
分類を演繹的に行うことによって網羅性がアップするので、予想していなかったような新しい商品が見つかるときもあるでしょう。
「MECE」のマーケティングや営業における必要性
ビジネスは、課題や問題を常に解決する必要があり、解決すべき課題や問題はよく複雑な構造になっています。
そのため、そのままでは取り組みにくく対処しにくいものです。
このような複雑な構造の課題や問題を「MECE」を使ってシンプルに小さくわけて考えることによって、どのようなことが本質的な課題や問題であるかを整理しながら検討することができます。
「MECE」のメリットとは?
「MECE」をビジネスにおいて使うメリットはいろいろあります。
特に大きなメリットは、客観性を思考に持たせて、整理が論理的にできることです。
何かを相手に説明するときは、ダブリや漏れがその対象にあれば、説得力がなく、スムーズに自分の考えをわかってもらえなくなります。
そのため、論理を「MECE」を意識して組み立てることによって、納得感を相手に与えることができるでしょう。
特に、考えていればどんどん視野が狭くなる人や細かなところによくこだわる人は、「MECE」を意識することによって思考を部分から全体に拡大できるので非常に効果が期待できます。
論理的に「MECE」で考えるコツとは?
「MECE」は、基本的に「全体を把握した上で、正しくいくつかの分類にわけること」です。
このときのポイントは、「どのような切り口でわけるか」「どのような視点でわけるか」です。
例えば、携帯電話の市場では、切り口が「年齢」のときは20代、30代、シニアなどというものです。
切り口が「携帯のタイプ」のときは、ガラケー、スマホです。
目的によって、どの切り口を使用してわけるかが大事になります。
また、切り口がいくつもあるとダブりや漏れが生じます。
「MECE」で注意することとは?
ここでは、「MECE」で注意することについてご紹介します。
わけられない事象に注意する
「MECE」によって、きれいに全てのことがわけられるということではありません。
本をわけるときは、同時にいくつかのカテゴリーに含まれることもあるでしょう。
例えば、ビジネス書と漫画ははっきりと違うものであるため容易にわけられますが、漫画でビジネス書を描いているときはどちらにわけるか迷うでしょう。
このようにグループ化がはっきりできないときは、効果があまりありません。
目的を忘れない
「MECE」にこだわり過ぎて、目的が「MECE」として考えることになるときがありますが、これでは全く意味がありません。
「MECE」でどうして考えるか、何のためにわけるかという目的をはっきりさせましょう。
目的がはっきりすると、大切な目的を達成するための要素もわかるでしょう。
要素の優先順位を考える
「MECE」にわけたときは、考えても意味がない要素もあるでしょう。
また、「MECE」にわけても、思い込みや主観に影響されやすいところがあるため、考えてもいなかったところからダブりや漏れが生じるときもあります。
しっかりと重視すべき要素を決めましょう。