「お願いできますでしょうか」は間違い?
「お願いできますでしょうか」という敬語は、何気なく使っているかもしれませんが、文法的には間違っています。
ここでは、「お願いできますでしょうか」が間違っている理由についてご紹介します。
「お願いできますでしょうか」が間違っている理由
「お願いできますでしょうか」が間違っている理由は、丁寧語が2つ含まれているためです。
「できます」という「できる」の丁寧語と「でしょうか」という「だろうか」の丁寧語が一緒に使われており、重複して丁寧語が使われているために文法的に間違っています。
二重敬語は、このように丁寧語と丁寧語など、種類が同じ敬語を二重に使ったものです。
正しく「お願いできますでしょうか」をいい換えると、「お願いしてもよろしいでしょうか」「お願いできますか」などと表現できます。
ここでは、つい使われがちな「お願いできますでしょうか」のような二重敬語についてご紹介します。
「おっしゃられました」は、「おっしゃる」の尊敬語に尊敬の意を表現する「られる」の助動詞をプラスしたものであるために間違いで、「おっしゃいました」が正しいものです。
「伺わせていただきます」は、「伺う」の謙譲語に「させていただく」の謙譲語をプラスしたものであるために間違いで、「伺います」が正しいものです。
「お帰りになられる」は、「お帰りになる」の尊敬語に尊敬の意を表現する「られる」の助動詞をプラスしたものであるために間違いで、「お帰りになる」が正しいものです。
最近は「お願いできますでしょうか」を使う人が多い
「お願いできますでしょうか」は、文法的に厳密には間違っていますが、最近は使う人が多いために使用が許されつつあります。
そのため、「お願いできますでしょうか」という表現を今まで何回も使っていたとしても、それほど落ち込む必要はありません。
しかし、相手によっては二重敬語を使っていると思うかもしれません。
特に、上長や目上の方、取引先に対しては、信頼関係を築くために正しい敬語を使う方がいいでしょう。
文法的に「お願いできますでしょうか」は間違いであることを考慮して、状況によって使いわけましょう。
「お願いできますでしょうか」が使われる理由
「お願いできますでしょうか」が間違っているにも関わらず使われているのは、根底に「敬意を相手に示したい」という考えがあるためです。
「目上の方や取引先に対して失礼にならないように…」「お願いする立場であるために丁寧な表現を使わないと…」などというような気持ちが強くなって、二重敬語を使っているのでしょう。
ビジネスシーンで態度が無礼になると、顧客との取引ができなくなったり、自分の評価が下がったりするなどのリスクがあります。
「お願いできますでしょうか」と相手からいわれても、寛大な態度で対応しましょう。
「お願いできますでしょうか」の正しい敬語の使い方とは?
ここでは、「お願いできますでしょうか」の正しい敬語の使い方についてご紹介します。
部下や同僚に使うケース
部下や同僚などの目上の方以外に使うときは、「お願いできますか」とシンプルに表現することができます。
また、よりシンプルに表現したいときは、「お願いします」と表現することもできます。
しかし、これは口調が命令のようにも聞こえるために、注意する必要があります。
より丁寧に表現するためには、「いたします」の謙譲語を使って「お願いいたします」と表現することもできます。
上長などの目上の方に使うケース
「お願いできますか」を目上の方に対して使うと、感じが少しぞんざいになります。
このようなときは、より丁寧に、「お願いできればと存じます」「お願いできればと思います」「お願いしてもよろしいでしょうか」などと表現するのがおすすめです。
書き言葉としてビジネスメールなどで使うケース
書き言葉のビジネスメールやビジネス文書などでは、「お願い申しあげます」と表現することもできます。
「お願い申しあげます」は、非常に丁寧な表現であるため、上長や取引先などの目上の方に対しても使うことができます。
「お願いできますか」と「お願いできますでしょうか」の違いとは?
ここでは、「お願いできますか」と「お願いできますでしょうか」の違いについてご紹介します。
「お願いできますでしょうか」は間違った「お願いできますか」の使い方
「お願いできますでしょうか」は、間違った「お願いできますか」の使い方です。
お願いすることの敬語は、「お願いできますか」になります。
「お願いできますでしょうか」は間違っている
一般的に、「お願いできますでしょうか」という表現はありません。
表現が似ているため、ほとんどの人は「お願いできますか」を間違えて「お願いできますでしょうか」を使っています。
「お願いできますか」は正しい
正しい「お願いできますか」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「伝言を彼女にお願いできますか」
- 「次回の予約をお願いできますか」
- 「この件について一言お願いできますか」
「お願いできますか」はありますが、「お願いできますでしょうか」はありません。
「お願いできますでしょうか」の英語表現とは?
ここでは、「お願いできますでしょうか」の英語表現についてご紹介します。
「Can I ask that ~?」(~をお願いできないでしょうか?)
この英語表現は、動詞の「ask」が使われていますが、意味が「頼む」という動詞表現になるため、「お願いできないでしょうか」と訳すことができます。
「Could you help that ~?」(~していただけないでしょうか?)
この英語表現は、動詞の「help」が使われていますが、意味が「助ける」という動詞表現になるため、「していただく」と訳すことができます。
「お願いできますでしょうか」の英語表現は、状況によって使いわける必要があります。
ここでは、代表的な「お願いできますでしょうか」の英語表現の例文についてご紹介しましたが、表現する方法はこれ以外にもあります。
その状況に応じた英語表現にすると、ここでご紹介した例文以外のものになるかもしれませんが、それでも問題ありません。
状況に応じた「お願いできますでしょうか」の英語表現を、その都度使うようにしましょう。