「及び」と「並びに」の意味と違いとは?
ここでは、「及び」と「並びに」の意味と違いについてご紹介します。
「及び」の意味
「及び」(および)というのは、複数の物事を「AとB」などと並べて述べるときに使うものです。
例えば、「ネクタイ及び上着の着用が義務付けられる」の意味は、「ネクタイと上着のどちらも着用が義務付けられる」ということです。
「及び」は前の物事に後ろの物事をプラスして述べるときと、2つを並べて述べるときに使いますが、いずれのときでも、同じ種類やレベルの固まりとして2つの物事を見なします。
「並びに」の意味
「並びに」(ならびに)も、「及び」と同じように、複数の物事を「AとB」などと並べて述べるときに使います。
例えば、「生徒並びに父兄は着席した状態とすること」の意味は、「生徒と父兄はどちらも着席した状態とする」ということです。
「並びに」を使うときは、2つの物事を他の種類やレベルの固まりと見なしています。
「及び」と「並びに」の違い
「及び」と「並びに」は、物事の種類やレベルが同じときとと違うときによって使い分けます。
「及び」は、物事の種類やレベルが同じときに使います。
一方、「並びに」は、物事の種類やレベルが違うときに使います。
「及び」も「並びに」も、いくつかの言葉を繋ぐ役目がありますが、使い分けが述べる内容によって違うことを把握しておきましょう。
「及び」と「並びに」の使い方とは?
ここでは、「及び」と「並びに」の使い方についてご紹介します。
「及び」は物事が2つ以上で使う
「及び」は、物事が2つ以上のときに使うことができます。
例えば、並べて「関係者」と「担当者」を述べるときは、「関係者及び担当者」になります。
また、並べて「生徒」「保護者」「先生」を述べるときは、「生徒、保護者、及び先生」になります。
なお、一般的に、「生徒及び保護者、先生」という表現はありません。
句読点の位置に「及び」は注意する
物事を2つ述べるときは、読点の「、」を使わないで「A及びB」と書きます。
読点の「、」を使うときは、「及び」の前につけて「A、及びB」と書きます。
「及び」は、「及ぶ」の動詞としても使われます。
「及び」が接続詞と使われているか、動詞として使われているかがわからなければ、文章の意味がわかりにくいことがあります。
2つの違う種類の物事に「並びに」は使う
「並びに」は、2つの違う種類の物事を繋ぐときに使います。
そのため、「A並びにB」が一般的な「並びに」の使い方です。
使うときは同列のものをAとBに入れますが、「並びに」の前後いずれにAとBを入れても意味は同じです。
例えば、「保護者並びに生徒」と「生徒並びに保護者」の表現は、同じ意味になります。
「及び」と「並びに」の使い分けとは?
「及び」と「並びに」は、同じ意味で日常的に使われていますが、法律用語として使われるときは使い分けられています。
簡単にいうと、「及び」のイメージは小さい、「並びに」のイメージは大きいということです。
例えば、ようかん、まんじゅう、タルト、シュークリーム、ケーキの言葉を区分けするときは、「和菓子」がようかん、まんじゅうで、「洋菓子」がタルト、シュークリーム、ケーキになります。
このように、大きく区分けすると、「和菓子」と「洋菓子」になります。
そのため、ようかん、まんじゅう、並びに、タルト、シュークリーム、ケーキというように、大きく区分けするときは「並びに」を使うようになります。
さらに、「和菓子」の中でもようかん、まんじゅうは違う食べ物であり、「洋菓子」の中でもタルト、シュークリーム、ケーキは違う食べ物であるため、このような食べ物も区分けすることができます。
そのため、ようかん及びまんじゅう、並びに、タルト及びシュークリーム及びケーキというように、「及び」を小さい区分けとして使うようになります。
「及び」と「並びに」の類義語とは?
「及び」と「並びに」の類義語としては、次のようなものがあります。
- 「かつ」の意味は、並行して2つの物事が行われることです。
- 「加えて」の意味は、現在あるものの上にプラスすることです。
- 「そして」の意味は、前に述べた内容を受けて、さらにプラスすることです。
- 「さらに」の意味は、重ねて、その上にということです。
- 「また」の意味は、述べることが他にもあり、これを続けていうことです。
「及び」と「並びに」の対義語とは?
「及び」と「並びに」の対義語としては、次のようなものがあります。
- 「もしくは」の意味は、どちらか一方を選ぶことです。
- 「または」の意味は、どちらか一方を選ぶことです。
- 「あるいは」の意味は、どちらか一方を選ぶことです。
「及び」と「並びに」の英語表現とは?
「及び」と「並びに」の英語表現のときは、結合状態の階層性を日本語のように示すようなものはありません。
基本的に、並列で全てが表記されるため、その結びつきを内容や文脈から判断する必要があります。
「and」と「as well as」が、「及び」と「並びに」の英語表現になります。
「and」
一般的に、並列な接合状態は「and」で表現します。
「and」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「Name,address and Nationallity」(名前、住所及び国籍)
なお、この意味合いを「名前及び住所、並びに国籍」にすれば、次のような英語表現になります。
- 「Name and address ,and Nationality」
均質に名前、住所、国籍を並べないで、カンマ「,」によって名前と住所の階層と、国籍をこれに並列する階層として置くことを表現しています。
英語表現のときは、階層性を日本語ほど厳密に表現することができません。
「as well as」
「as well as」の英語表現は、比較表現になります。
例えば、「A as well as B」の意味は、AはBと同じ程度であるになります。
「as well as」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「the pronunciation of letters as well as the production of utterances」(文字の発音及び発声の提示)
ポイントは、いずれも大切だという評価がプラスされていることです。