「ペルセポネ」とは?
「ペルセポネ」というのは、ギリシャ神話に出てくる女神です。
なお、「ペルセポネ」は、「ペルセフォネ」や「ペルセポネー」と日本語で書くこともあります。
「ペルセポネ」の象徴は、自分が食べたザクロ、水仙、蝙蝠(こうもり)、あるいは松明と蛇です。
「ペルセポネ」は、豊穣の神の「デメテル」と大神の「ゼウス」の娘です。
もともとの「ペルセポネ」の名前は、乙女という意味の「コレー」です。
母神を助けて春を持ってきて花を咲かせて、彩りを大地に与える権能を持っているとされています。
後から冥王の「ハデス」の妻になったため、死者の赦免や減刑なども冥府の女王として果たすようになりました。
「ペルセポネ」の名前は、「ハデス」からこの時に与えられたものです。
「コレー」は、「ハデス」が与えてくれたこの名前が気に入って、この名前を名乗るときにも使っています。
また、説としては、「コレー」の名前は地上にあるときに使って、「ペルセポネ」の名前は冥府にいるときに使うというものもあります。
なお、土地の宝物を司る神に「ハデス」はなるため、農耕神としての側面も持っています。
冥界における「ペルセポネ」の地位は、「ハデス」の次の第二位になっています。
名実ともに「ペルセポネ」は冥府の女王です。
ギリシャの異端教団のオルフェウス教では、「ペルセポネ」は主神として「ディオニュソス」と共に崇拝されました。
ローマにも伝わりましたが、対応する神がローマ神話にはありませんでした。
そのため、「ペルセポネ」を「プロセルピナ」とローマ風に呼んで、ローマの神の一柱として神話と一緒に取り込まれました。
誘拐婚ということも初めはありましたが、冥府においては孤独な「ハデス」に情を寄せたためか、紳士的なところにひかれたためか、夫婦の仲はだんだんと円満になっていきました。
「ペルセポネ」と「ハデス」のギリシャ神話における関係とは?
ここでは、「ペルセポネ」と「ハデス」のギリシャ神話における関係についてご紹介します。
「ペルセポネ」は「ハデス」に誘拐されて妻になった
「ペルセポネ」は、「ハデス」という冥界の王の妻でした。
「ペルセポネ」に恋愛した「ハデス」が、冥界に彼女を連れ去る様子が、ギリシャ神話には書かれています。
母親の「デメテル」は、大事な自分の娘が奪われたことに非常に怒りました。
しかし、父親の「ゼウス」は、二人の結婚を「ハデス」の力を信じて許しました。
ザクロを食べて「ペルセポネ」は冥界に残った
「ペルセポネ」は連れ去られましたが、丁寧に冥界においては扱われました。
しかし、「ペルセポネ」は結婚することを希望していなかったため、「ハデス」の誘いを断りました。
「ハデス」は痺れを切らして「ザクロ」の実をお腹が空いていた「ペルセポネ」に食べさせました。
神々の間の掟としては、「冥界のものを食べたものは冥界に住む必要がある」というものがあったため、冥界にザクロを食べた「ペルセポネ」は残るようになりました。
なお、ザクロの実は12個ありましたが、4個を「ペルセポネ」は食べたために1年のうち冥界では4ヶ月間を過ごしました。
子供が「ペルセポネ」と「ハデス」の間にはいなかった
「ペルセポネ」は丁寧に「ハデス」から扱われたため、だんだんと妻になることを許しました。
「ハデス」のそばに「冥界の女王」としている「ペルセポネ」の様子が多くギリシャ神話には書かれており、厳しく「ハデス」が浮気した相手をときには罰しました。
しかし、子供が「ペルセポネ」と「ハデス」の間にはいませんでした。
死後の魂が冥界は集まるところであるために新しい命が誕生しなかったという説が、子供が二人の間にいなかった理由としてあります。
ギリシャ神話で「ペルセポネ」が出てくるシーンとは?
ここでは、ギリシャ神話で「ペルセポネ」が出てくるシーンについてご紹介します。
四つの春・夏・秋・冬の四季をつくった女神が「ペルセポネ」である
「ペルセポネ」は、「春をもたらす農耕の女神」ともいわれており、四つの春・夏・秋・冬の四季をつくった女神です。
「ペルセポネ」が誘拐されたため、自分の娘を探して母親の「デメテル」はいろいろなところを歩き回りました。
大地は、豊穣の女神の「デメテル」がいなくなると荒れてきました。
荒れていた大地は、「ペルセポネ」が地上に冥界から戻ることによって蘇って芽を草木が出しました。
しかし、大地は冥界に「ペルセポネ」が戻れば再度荒れてきました。
四つの春・夏・秋・冬の四季の起源はこの出来事であるといわれており、「春の女神」と「ペルセポネ」はいわれるようになりました。
「メンテー」は草に「ペルセポネ」に変えられた
「ハデス」の浮気に「ペルセポネ」がねたむ様子が、ギリシャ神話では書かれています。
「ハデス」は、美しい地上の精霊の「メンテー」に惹かれました。
「ペルセポネ」は、これにねたんで「メンテー」を「お前など雑草になってしまえ」と踏みつけました。
「メンテー」の姿は踏みつけられたために草に変わって、「ミント」というようになりました。
いろいろな説が話の結末にはありますが、「ペルセポネ」が自分のように攫われる未来を察して、草に「メンテー」を変えて姿を眩ませてあげたというものや、「メンテー」を踏みつけたのは「デメテル」で「ペルセポネ」ではないというものがあります。
「アフロディーテ」と「ペルセポネ」が少年を取り合った
人間の少年を「ペルセポネ」が溺愛する話が、ギリシャ神話にはあります。
「アフロディーテ」は「アドニス」という不幸な子供に恋愛し、「ペルセポネ」に子供の世話を頼みました。
「ペルセポネ」も非常に美しい少年を愛してしまって、迎えに来た「アフロディーテ」と取り合うようになりました。
この結果、1年のうち「ペルセポネ」と3ヶ月間は過ごし、「アフロディーテ」と次の3ヶ月間は過ごし、自由に残りの3ヶ月間は過ごすということになりました。
「ペルセポネ」が生んだ子供が「ザグレウス」である
唯一「ペルセポネ」が生んだ子供が、「ザグレウス」です。
「ペルセポネ」の父親の「ゼウス」は、娘に蛇の姿に化けて近づいて子供をもうけます。
妻の「ヘラ」は、「ザグレウス」を「ゼウス」の後任として大事にしていることに非常に怒りました。
「ヘラ」は、「ザグレウス」を復讐するために殺害しました。
しかし、「ゼウス」が別の女神と「ザグレウス」の心臓を食べて交わることによって、子供の「ディオニューソス」が「ザグレウス」の心臓を受け継いで誕生しました。