「敷居が高い」の意味とは?
「敷居が高い」の意味は、本来とは間違ったものがあります。
「敷居が高い」の本来の意味は、「不真面目なことや不義理なことを相手にしてしまったので、その相手の家を訪問しにくくなること」ということです。
「敷居が高い」の「敷居」は、もともとは「仕切り」として家の出入り口や門などに設ける横木です。
また、部屋の仕切りとして家の中で使う「溝付きの横木」のこともいいます。
そのため、家の出入口や門の仕切りの敷居が高いというのは、敷居が跨げないため、最終的に家に入ることができないということになります。
「敷居が高い」は、相手に対して義理に欠ける行いをしてしまったり、申し訳ないことをしてしまったりしたときに、顔向けが相手に対してできないことをいうものであり、心境としては「このような状況で相手の家を訪問するのは申し訳ない、とんでもない」ということを表現しています。
日本には慣用句やことわざが非常に多くありますが、「敷居が高い」くらい間違った使い方をしている言葉はないでしょう。
「敷居が高い」は、実際に非常に間違った使い方が多い言葉です。
「敷居が高い」の間違った使い方としては、「上品過ぎる」「高級過ぎる」「レベルが高過ぎる」という意味で使われるものです。
「敷居が高い」のもともとの意味は、「相手に対して不真面目な行いや不義理な行いをしたことによって、相手の家を訪問しにくいこと」になるため、正しい意味を把握するようにしましょう。
「敷居が高い」の使い方とは?
ここでは、「敷居が高い」の使い方として、「高級であるため入りにくい」の意味での使い方と「不義理があるため会いにくい」の意味での使い方についてご紹介します。
「高級であるため入りにくい」の意味での使い方
「高級であるため入りにくい」の意味での使い方は、「自分はそのところの敷居を跨ぐレベルまで達していない」という意味合いです。
高級レストランや高級店などに対して使うときが多くありますが、お店だけでなく誰かの家などに対しても使えます。
ここでは、「高級であるため入りにくい」の意味での使い方の例文についてご紹介します。
- 「コース料理のお店は、自分にはまだ敷居が高い。」
- 「先生の家はびっくりするくらい大豪邸であるため、訪問するのは敷居が高過ぎる。」
「不義理があるため会いにくい」の意味での使い方
「不義理があるため会いにくい」の意味での使い方のときは、長期間連絡していなかった相手、迷惑を掛けた相手に使えます。
「不義理があるため会いにくい」の「不義理」というのは、「義理がないこと」をいいます。
「義理」は、恩を自分が受けたときに、お返しをその相手にすることというような意味があります。
「不義理」というのは、この義理が無いことです。
例えば、「不義理」としては、迷惑を掛けてしまったり、借金したまま返さなかったりすることが挙げられます。
これ以外にも、仲よくしていたが連絡ができなくなったようなときも「不義理」になります。
ここでは、「不義理があるため会いにくい」の意味での使い方の例文についてご紹介します。
- 「5回続けて理科の課題をさぼったので、理科の授業の敷居が高い。」
- 「あれほど良くしてもらったにも関わらず卒業してから会っていないので、今から会うのは敷居が高い。」
「敷居が高い」の類義語とは?
「敷居が高い」は、類義語がいくつかあります。
しかし、「敷居が高い」は間違った使い方が多い言葉であるため、別の言葉に状況によってはいい換える方がいいでしょう。
ここでは、「敷居が高い」の類義語についてご紹介します。
「頭が上がらない」
「頭が上がらない」の意味は、「相手と同じ立場に立てない」「引け目を相手の権威などに感じていること」です。
「敷居が高い」と「引け目を感じる」は同じような意味ですが、相手との力関係が異なります。
意味が同じような慣用句としては、「頭が下がる」があります。
「頭が下がる」は、「感服する」「敬服する」という意味です。
一見すると、「頭が上がらない」と同じような意味ですが、相手に対する尊敬の念があることが異なっています。
そのため、注意して使い分けるようにしましょう。
「門を塞ぐ」
「門を塞ぐ」の意味は、「不義理した人の家を、恥ずかしくて訪問しにくい」です。
ほとんど「敷居が高い」と意味が同じですが、あまり現代では使われません。
読み方は、「かどをふさぐ」で「もんをふさぐ」ではありません。
「門」の慣用句としては、これ以外に出家する、家を出るという「門を出る」、一族が多くなるという「門広し」などがあります。
このときの「門」は、全て「かど」と読むため注意しましょう。
「萎縮する」
「萎縮」の意味は、「小さく縮まること」「しぼむこと」です。
もともとは「非常に寒いため手が萎縮する」などというように、物が小さくなることを表現する言葉ですが、「敷居が高い」の類義語としては使い方が別になります。
「萎縮」の意味としては、「相手が怒鳴る声に萎縮すること」というように、気持ちや心が小さくなって、元気が無くなるということでも使います。
気持ちが恐怖や緊張などで小さくなった状態をいう言葉として使われます。
「敷居が高い」の対義語とは?
「敷居が高い」の対義語としては、明確なものはありません。
しかし、意味がそれらしいものである言葉はいくつかあります。
ここでは、このような言葉についてご紹介します。
「襟を開く」
「襟を開く」の意味は、「全てを打ち明けて隠し立てをしない」になります。
よく「襟を開いて話をする」などということで使われます。
「垣根が低い」
もともとの「垣根」の意味は「建物の家などの周りを囲っている仕切り」ですが、「他と隔離するもの」を表現するためにも使われます。
例えば、「彼との心の垣根が無くなった」などのように、主として「垣根」という言葉で人同士の心を隔離するものを表現し、これが無くなった、つまり心同士を隔離するものが無くなって距離が近くなったという意味になります。
「気安い仲である」
「気安い」の意味は、「気楽である」「遠慮する必要がない」になります。
例えば、「彼女は何でも気安く頼める」などというように、対人関係の仲の良さ、気楽さを表現するときによく使われます。
「気安い」の類義語として、慣用句の「気が置けない」があります。
「気安い」と同じ意味ですが、全く意味が逆でしばしば使われるときがあります。
「彼は気が置けない」の意味は、「遠慮する必要がある」と思っている人が相当います。
「気が置けない」の意味は「気を使う必要がない」であるため注意しましょう。