トップダウンの意味とは?
トップダウンというのは、企業を経営するための一つの方法であり、意味は上意下達になります。
企業の経営者などの指示を、下部の組織に的確に伝えて、この指示に従って迅速に従業員が行動するものです。
そのため、トップダウンの経営では、経営者などが指示したことが正しく適切である必要があります。
トップダウンの経営が行われるのは、一般的に規模が小さい企業が多くなります。
規模が大きい企業でもトップダウンはありますが、このときはカリスマの社長が企業を一代で築いたり、創業者の一族が経営者であったりしたときなどが多くあります。
また、企業の環境によって、トップダウンの経営が一時的に行われるときもあります。
例えば、営業面や財政面で企業が急に危なくなったときです。
また、構造的に重大な問題が将来に向けてあるときや長期的に企業力が衰えているときも、トップダウンは有効な経営方法になります。
一方、企業が安定して健全に成長しているときは、中間管理職として有能な人がいれば、トップダウンの経営方法は必要ないでしょう。
トップダウンは、上(トップ)から下(ダウン)で一方的に指示されることが由来です。
なお、トップダウンは、そのまま英語圏でも使えます。
しかし、英語の「top-down」の意味としては、全体、つまり上から下までということもあるので、この表現が英語であったときは、どちらの意味か前後の文脈から判断する必要があります。
トップダウンの使い方とは?
ここでは、トップダウンの使い方についてご紹介します。
企業の営業・経営方針
トップダウンは、企業の営業・経営方針などを表現する言葉として使われます。
例文としては、次のようなものがあります。
- 「あの企業は、意思の決定がトップダウンで速い。」
- 「トップダウンで成功する企業は多くある。」
また、経営者の指示のみでなく、上長の指示で動くという意味合いで使うこともできます。
例文としては、次のようなものがあります。
- 「当社では、入社して最初の年は仕事をトップダウンでしてもらう。」
トップダウン方式
経営体制・方針を表現するときは、トップダウン方式もよく使われます。
例文としては、次のようなものがあります。
- 「トップダウン方式の経営方法によって、大幅な利益を短期間に生み出した。」
- 「トップダウン方式は中小企業ほど多い。」
いずれも、決定権が経営者や上長にあるような経営体制・システムになります。
トップダウン処理
トップダウンという言葉は、トップダウン処理というように心理学用語として使われときがあります。
トップダウン処理の意味は、ものを見たときに、期待や知識によって見当をつけるような認知的処理・情報処理になります。
例えば、トップダウン処理の認知的処理は、動いたものを見たときに今動いたのは犬だろうと自分の期待や知識をベースに見当をつけることです。
概念駆動型処理」ともトップダウン処理はいわれます。
トップダウンアプローチ
投資信託などでは、トップダウンアプローチという言葉がポートフォリオを築く一つの方法としてあります。
トップダウンアプローチは、個別の銘柄を選ぶ前に、マクロな視点で経済動向を分析するなどして、資産をどのような地域・国に配分するかを決めます。
この後、資産を配分する中において個別の銘柄を決めます。
アプローチがマクロな視点からミクロな視点になるため、トップダウンの名前がつきます。
トップダウンテスト
トップダウンテストというのは、システムやソフトウェアの一つのテスト方法です。
最モトップのモジュールからテストを順番に行う方法で、バグがシステムの中枢部にあるときなどに早く見つかるというメリットがあります。
トップダウンを使った例文
ここでは、トップダウンを使った例文についてご紹介します。
- 「自社はトップダウンであるため仕方がない。」
- 「トップダウン経営をいつまで続けているのだ。もうそのような時代ではない。」
- 「トップダウンであると思って、指示されたことをやるしかない。」
- 「これほど部長はトップダウンであるとは思わなかった。」
- 「社長が責任はとってくれるため、それほどトップダウンも悪くはない。」
トップダウン経営の企業では、ほとんど指示をした人が責任をとるため、ある意味気が楽であるというときも多くあります。
トップダウンのメリトットとデメリットとは?
意思決定が早いということが、トップダウンのメリットです。
特に、ビジネスを辞めるようなときは、決断が遅くなればダメージが非常に大きくなるときもあります。
一方、トップダウンの逆のボトムアップのときは、時間が部署間の調整や利害関係の調整に掛かるときが多くあります。
しかし、トップダウンのときは、トップの掛け声ですぐに実行することができます。
トップの能力が高いときは、すばやく的確な判断をすることができるので、業績のめざましい伸びが期待できます。
しかし、判断をトップがミスしてしまえば大変です。
また、トップの能力が高いときでも、人望がないと現場の実行部隊の人は動きません。
逆に、デメリットとしては、トップの能力が高いために依存的な体質に全体の組織がなったり、違った意見がいえないようになったりすることもあります。
トップダウンに適したケースとは?
トップダウンが適しているのは、次のようなケースです。
- 創業してすぐのとき
- 企業が危機のとき
トップダウンは、経営者の能力に依存します。
そのため、経営者の経営能力が高いときはトップダウンが上手くいくことが多くあります。
このような傾向は、特に創業社長の企業に顕著です。
創業社長は最初から企業を育てているため、隅々まで企業の動向を把握した上で意思決定するため、ミスすることが少なくなります。
ボトムアップとトップダウンの違いとは?
ここでは、ボトムアップとトップダウンの違いについてご紹介します。
ボトムアップは、組織のトップの考え方を決めるために意見を部下などから聞いて、組織としての考え方をまとめ、まとめた理由や経緯、結果などを伝える方法です。
一方、トップダウンは、組織のトップが決めたことを、末端まで決まった伝達ルールで伝えて、指示された行動と意志の統一を行うことです。
末端まで決まったことを伝えて実行するまでは、スピード感がトップダウンはありますが、ボトムアップはありません。
トップダウンの類義語とは?
一般的によく使われる鶴の一声が、トップダウンの類義語です。
この言葉の意味は、全てがトップの一言で決まってしまうことであるため、相当トップダウンに近いといえるでしょう。
簡単にトップダウンからいい換えができ、例えば、「社長がトップダウンの企業」は、「社長の鶴の一声で決まる企業」といい換えができます。